一桁の掛け算「九九」は、多くの人が暗記しているはずです。
では、二桁の掛け算だとどうでしょうか。
筆算をしたり、電卓を使ったりして、答えを求める方が多いかもしれません。
しかし、もし二桁の掛け算が暗算でできれば、簡単に早く計算を進めることが可能になるはずです。
今回は、ある性質を満たすときの二桁の掛け算を暗算でするインド式計算法を紹介します。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
63×67
暗算では難しいと感じるかもしれませんが、「インド式計算法」を利用すれば簡単に答えを出すことが可能です。
まずは、自分自身で答えを出してみましょう。
解説
今回の問題の答えは「4221」です。
ここでは、インド式計算法を用いた考え方を紹介します。
「インド式計算法」の中には、計算式をパターンごとに分けて簡単な計算式に変換する方法があります。
今回の計算式には、次のようなパターンが当てはまります。
掛け算をする二つの数は、「十の位が同じで、一の位の数の和が10」である。
(63と67は、十の位が共に6、一の位は3+7=10)
この性質を満たす二つの数の掛け算であれば、これから紹介する手順で求めることが利用できます。
計算の手順
計算の手順は次のとおりです。
(カッコ内の計算は、今回の問題の数字を使っています。)
【手順1】
十の位の数と、十の位の数に1を足した数を掛け算する。
(6×7=42)
【手順2】
一の位同士の掛け算をする。
(3×7=21)
【手順3】
手順1、2で出た答えを並べると、元の計算の答えになる。
(42と21なので、答えは4221)
繰り上がりなどもなく、簡単な九九の計算だけで答えを出すことができました。
計算式が成り立つ理由
ここでは、インド式計算法が成り立つ理由を考えてみましょう。
知らなくても計算は可能ですが、理由まで知っていると計算ミスを減らすことができます。
今回は面積図を用いて考えます。
「63×67」の計算は、縦63m、横67cmの長方形の面積を求めるのと同じです。
その長方形を下図のように4つに分割しましょう。
手順1では、「十の位の数と、十の位の数に1を足した数を掛け算する」ということをしました。
これは3×60の長方形を向きを変えて、7×60の長方形の横に置き直す操作に対応します。
すると、下図のように、大きな長方形(赤枠)の横の長さが67+3=70cmとなっています。
よって、赤枠の長方形は「60×70」であり、「6×7」という手順1と対応しています。
(60×70=4200ですが、手順3で桁の調整をしています)
次に、黄色の長方形の面積を求めます。(手順2の計算)
3×7=21
そして最後に、それぞれの長方形の面積を足すと、答えとなります。
4200+21=4221
(手順3では、それぞれの数を並べると考えています)
まとめ
初めは難しく感じるかもしれませんが、少しの練習で誰でも暗算で計算できるようになるはずです。
十の位が同じで、一の位の和が10になる掛け算が圧倒的スピードで計算できるようになり、計算がとても楽しくなりますよ!
ぜひ練習を繰り返してマスターしましょう。
今回ご紹介したパターンとは違う方法は、別の記事で解説しているので、そちらもぜひ確認してみてください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文・編集:SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
監修:堀口智之(ほりぐち ともゆき)
和から株式会社代表取締役
大人のための数学教室「和」(なごみ) 創業者
大人の数トレ教室 代表
一般社団法人ビジネス数学協会 理事
2010年に、日本で初めて「社会人専門の数学教室」を創業。講師40名、累計受講者20,000人を超えるほどに成長。日本最大級数学イベント「ロマンティック数学ナイト」の企画・創設。延べ10万人以上が参加。2022年に、youtube「大人の数トレチャンネル」を本格稼働を開始。約1年でチャンネル登録者数4万人を超えるまで成長。
インド式計算にもう一問挑戦!