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イタリアのトイレでびっくり!元国際線CAが見た、便器と似たもう1つの正体とは?

  • 2024.5.7
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「どうして便器が2つあるの?」と、旅行でイタリアにいらっしゃった際にトイレを見て驚かれる方は少なくありません。それはイタリアのトイレには、日本では見慣れない「あるもの」が設置されているためです。そこで本記事では、日本人にはビックリするようなイタリアのトイレ事情を、イタリア在住20年・元国際線CAの筆者がお伝えします。

便器が2つある!?便器ともう1つの正体は…

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出典:photoAC

日本から来られた方が「どうして便器が2つあるの?」と驚くイタリアのトイレ。1つは便器で間違いないのですが、もう1つは「ビデ」と呼ばれるトイレで用を足した後におしりを洗うためのものです。

上記の写真のように、イタリアのトイレには便器とビデが並んでいます。ビデに馴染みのない日本人の私たちからすると、まるで便器が2つあるように見えてしまいますよね。

ただ、ビデと便器を見分けるのは簡単ですので、ご安心ください。ビデにはフタがなく蛇口が付いている点が、便器と異なる特徴です。これからイタリア旅行にお出かけになる方は、頭の片隅に置いておいてくださいね。

イタリアのビデの普及率は驚きの〇〇%!ビデが義務化されていた過去も

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出典:photoAC

現在イタリアのビデの普及率は90%超えと驚異的な高さですが、イタリアはビデの発祥国ではありません。ビデはフランスで発案され、イタリアに伝わったといわれています。

そんなビデ発祥国といわれているフランスは、ビデを設置すると場所を取るといった理由などから、ビデを設置する家庭が減り普及率は下がったそう。一方でイタリアでは、1975年に各家庭でビデの設置が法律で義務化された時期もあったということで驚きを隠せません。こうした理由から、イタリアではビデの普及率が上がり、現在も各家庭やホテルの部屋にもビデが設置されていると考えられます。

ちなみに、イタリア最初のビデはイタリア南部ナポリ郊外のガゼルタ宮殿で、ナポリ王妃のマリア・カロリーナが自分専用のビデを設置したものといわれています。このイタリア初といわれるビデは、観光客に一般公開されています。カゼルタ宮殿は1997年に世界遺産として登録もされた荘厳で華麗な宮殿ですので、ご興味がある方は足を伸ばされてみてはいかがでしょうか。

「ホテルの部屋にビデがない」と嘆くイタリア人!イタリア人にとってビデとは?

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出典:photoAC

イタリア人にとってビデの重要性は、私たち日本人の想像を超えるものです。

以前、イタリア人の友人たちと国外に旅行へ出かけた際に宿泊したホテルにはビデがありませんでした。すると「部屋にビデがなかった、どうしよう」「ビデがないなんて信じられない」と悲嘆に暮れているのです。このときは、イタリア人と日本人のトイレに対する価値観の違いを感じずにはいられませんでした。

実際、イタリアでは体調を崩してシャワーを浴びられないときにおしりを洗ったり、足湯をしたりと日常生活になくてはならないものになっています。イタリア人にとってはたとえ海外旅行中であっても、ホテルの部屋にビデがないと不便を感じてしまうのかもしれませんね。

日本の温水洗浄便座は近未来的ビデ!?

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出典:photoAC

円安の影響や日本ブームも相重なってか、私たちの周りのイタリア人も観光で日本を訪れる人が増えています。そして、日本旅行の感想を聞くと「近未来的なビデに驚いた!」「ボタンが多すぎてどれを押していいか分からなかった」「トイレから音や風まで出てきた」と口を揃えるように答えが返ってきます。

イタリアのビデに慣れ親しんだ彼らには、日本の温水洗浄便器は衝撃的だったようです。ですが、なかなかイタリアでは日本式の温水洗浄便座が普及しないのが現実。特に日本製の温水洗浄便座は、値段がウン十万円と高いことやビデとしての用途の違いが考えられます。

それでも我が家のトイレには、引っ越しを機に温水洗浄便座を導入(日本製は高すぎて断念し、スイス製のものにしました)。息子の友だちが遊びに来てトイレを使うと、なかから「ギャー」「オー」と悲鳴まじりの笑い声が響いてきます。

トイレ1つとっても、国や文化によっていろいろ。イタリアにお越しの際には、お土産話にイタリアのビデをご利用になってみてはいかがでしょうか。

 

※記事内の画像はイメージです
※記事内の情報は体験者の渡航時および記事執筆時点の情報です



Webライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに6年乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職しイタリアへ移住。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、日々記事を執筆中。