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【セックスレス AND THE CITY -女たちの告白-】CAと結婚した元カレと再会して…

  • 2024.4.19

日本では半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。47歳の亜矢さん(仮名)は「セックスレスなんて20代の頃から慣れている」と話します。若い頃からセルフプレジャーに抵抗はなく、初めて性交渉を経験した年齢も遅かったという亜矢さん。今も10年以上セックスレスですが、「万が一、機会があって気が向いたらくらいでいい」と気楽に考えているそうです。

■アイドル時代に処女だった理由は「付加価値」

20歳の女の子と19歳の男の子、大学生2人の母である亜矢さんは、通販番組のモデルをしている主婦。上品な語り口調のせいか年齢以上に落ち着いた雰囲気ですが、若い頃にはアイドル活動をしたこともあるそう。「20代前半だった当時、私、処女だったんです。深く考えてそうしていたわけではないのですが、あえていえば自己満足。アイドルらしい付加価値が欲しかったんじゃないでしょうか」。
そう話す亜矢さんは、当時の自分のことを「胸が大きくスタイルはまぁまぁでしたが、同じグループの他の子と比べて目立つほど美人ではありませんでした。差別化するために『高校時代に留学をしていたから帰国子女風』『実は清純派』というキャラ設定を、自分の中で勝手に確立してプライドを保っていました」と自虐気味に評します。

元アイドルといっても主な仕事は広告モデルやイベントコンパニオン。「地方局のバラエティ番組に『ひな壇の女の子』として出演していた頃、司会のベテランタレントがアシスタントたちをプロデュースしてアイドルグループを作る企画が立ち上がって参加することになりました」。短期のお祭り的企画で、フリーアナウンサーやグラビアアイドル、モーターショーに出ているようなコンパニオンなどが中心の年齢層高めのグループで、今で言う地下アイドルのような存在。
「私は女子校育ちで『好きな相手には好かれず、口説いてくる相手は好きになれない』というありがちな理由で20歳過ぎても処女。でも『アイドルらしくていいじゃないか、ここまで来たらもうバージンロードをバージンで歩こう』と開き直っていました。子供の頃から決めたら頑固なところがあって……」。アイドルグループとしては2曲収録されたCDを1つ出しただけで、有名になることはなかったと振り返ります。

■3カ月付き合ってもセックスをしなかったJリーガーの元カレ

バブルはとうにはじけていたとはいえ、エンタメ文化が賑わっていた2000年前後。六本木のクラブでイベントを行うなど華やかな舞台に出ることもあり、週末ごとに飲み会に呼ばれてスポーツ選手や芸能人とも交友を持っていたと言います。「事務所の女性マネージャーやモデル女子、サッカー選手男子の6人グループでよく遊んでいて、Jリーガーに口説かれて付き合ったこともあります」。
しかし、同じ年の彼との交際は長くは続きませんでした。「セックスはしていません。心のどこかで『結婚まで処女宣言は売りになる』『彼は理想の結婚相手ではないかもしれない』と思っていたのかな。3ヵ月くらいは物珍しそうに大事にされましたが、浮気をされて別れました。まぁ当然ですよね」

そんな彼女が結婚相手としてロックオンしたのは、友人に誘われた鍋パーティーで知り合った5歳年上の春樹さん(仮名)。外資系証券会社に勤める現在の夫です。ぽっちゃり体型で背の小さな春樹さんですが、愛嬌があり誰にでも好かれるかわいらしいタイプ。加えて、都内屈指の超難関中高出身の同級生たちに「化け物」と呼ばれる高偏差値の持ち主でした。
「彼は当時、中高の同級生達と、自宅でモノポリーをしながら鍋を食べる会合を定期的に開いていました。メンバーは、弁護士や中央官庁で働く公務員など『真面目に生きてきたけどこれからは少し遊びたい』と目論んでいるお坊っちゃまが多い印象がありました」。

春樹さんは、公務員から外資系証券会社に転職したばかりの頃。「遊び人じゃないの?」と警戒する亜矢さんに、学生時代のボランティアの話をして、「農家のおじさんたちに『メガネの小さい兄ちゃん』って気に入られて、今よりずっと楽しかった。自分は派手な遊びを好む人間ではない」とアピール。頭の良さやエネルギッシュな雰囲気に引かれた亜矢さんは、春樹さんと交際することに。
「この人と結婚したい」と決めてしまえば、「バージンロードをバージンで歩く」というこだわりはさほど重要でなく、付き合って3ヵ月目の彼の誕生日に2人は性交渉を持ちます。ちょうどドイツに赴任するタイミングで「日本で結婚をしてから行きたかった」という春樹さんに流されるように2人は結婚し、数年後に年子の子供も誕生します。

■「俺はもう一生、恋愛はできないわけ?」という逆ギレ

学生時代まで真面目に生きてきた春樹さんは、先輩に連れて行かれる夜の街や華やかな人脈に魅了されて、浮ついていた時期もあったそう。「銀座のクラブって、見たこともないようなスタイルの美人が向こうからニコニコ話しかけてくるから、騙されているんじゃないかと身構えちゃうよ」と男友達に話しているのを小耳に挟んだ頃は、むしろ「初々しいな」と思った亜矢さんですが、共通の友人に「銀座のお姉さんと付き合っているって噂があるよ」と言われた時はパニックになります。

30代で子育てに忙しく、すでにセックスレス気味になっていたこともあり、泣きながら問い詰めたところ、「彼女はただの友達で浮気はしていないけど……。でもさ、それじゃあ俺はもう一生、恋愛はできないわけ?」と、既婚者として意味不明な逆ギレ。「当たり前でしょう。恋愛したいなら離婚してからすればいいじゃない」と言い返したものの、「本当にされたら困る」と思っていたのも事実。「その頃は専業主婦で、実家の親も高齢。子供2人の将来はどうなるのかと考え込んでしまいました」。

大きなケンカをした後だけは、関係を修復するように性交渉。「それを目的にケンカを吹っ掛ける」振る舞いをしたこともあったそうですが、続けたら早々に離婚問題に発展することは目に見えていました。多忙な夫とすれ違い、子育ての合間にふと考え込んでしまい気分が落ち込む日々が続いた頃、かつての女性マネージャーと再会します。「モデル事務所を引き継いで社長になった彼女に誘われて、通販番組などでウォーキングをして服を見せるモデルの仕事をはじめて、少し気分が上昇しました」。

■元カレはCAと結婚してパパに。再会にときめいて…

通販モデル業にも慣れてきた頃、亜矢さんはJリーガーだった元カレと再会します。「事務所の社長とSNSで繋がった直後、『友達ではありませんか?』という欄に元カレの写真が。勢いで友達申請とメッセージを送ってみたら、彼も今は一般企業の営業マンをやっていて、結婚して2人の子供の父親になっていました」。
妻は年下のCAで、プロフィール写真は仲が良さそうな家族写真。
「すごく懐かしい。みんなで会いたいね。あの頃の仲間に声をかけてみるよ」。そんな返信があり、旧友4人を交えて6人で久しぶりに会うことに。同窓会のような飲み会で、2人きりになったタイミングで、「亜矢ちゃんがお母さんなんて信じられない。俺の中で亜矢ちゃんは永遠のマドンナだから。結ばれなかった切ない恋というか、手をつなぐだけであんなにドキドキしたのは後にも先にもあの時だけだよ」と言われ、久しぶりにときめきを感じたそうです。

■実は「夫だけ楽しそう」という嫉妬をしていたことに気がついた

「今度また集まろう。年に1回くらいは同窓会をしようよ」と約束して、かつての遊び仲間たちと別れた亜矢さん。1週間後に元カレから、「昔、猫飼っていたよね?猫カフェって興味ある?」とお誘いが届いたそうです。2人きりで猫カフェに行った後にランチをして、旧友の近況などの話に花が咲きましたが、今のところ深い仲にはなっていないとのこと。
「お互い家庭を壊すつもりはなく、軽いときめきが欲しかっただけかもしれません。男女に好意がある場合、セックスをしていない時期って、逆に色気のある雰囲気になりやすいですよね。まぁ、そんな空気が長続きするはずはないですが」。

今も昔も、貞操観念が強いつもりはないけれど、不倫や恋愛のシリアスなシーンを想像すると心が萎えてしまうという亜矢さん。「彼に限らずママ友や仕事仲間とも、深入りしないで楽しい話だけする関係が心地良いです。別にセックスがしたかったわけでもないですし。20代で性欲がある頃もセルフで発散すれば平気だったので、40代でセックスレスなんてたいした問題ではありません。それより『夫だけ外で遊んで楽しそう』という嫉妬をして腹が立っていたことに気がついたので、ほどよく息抜きをして今はうまくやっています」。

最近、夫のダウンジャケットのポケットに、クラブの女性の名刺が入っているのを見つけたという亜矢さん。「以前なら破り捨てて問い詰めていましたが、今回は夫が自室に飾っている恐竜模型の口の中に挟んで返却しました。女性の影があるのはもちろんおもしろくはないですけど、苦笑いって感じです……。夫は逆に、ゾッとしたと思いますけど(笑)」。
セックスレスは続いていますが、仕事を楽しんで友達と食事をする時間を持つことで、夫の「遊び」も冗談で流す余裕ができ、昔よりずっと過ごしやすくなったそうです。

 

※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。

取材・文/星子 編集/根橋明日美

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