小学校や中学校で習った計算の法則は、たくさんあって忘れてしまったものも多いかもしれません。
しかし、これらの法則を使いこなせると、計算がずっと楽になります。
どんな計算法則があったかを思い出してみると、意外な解法が見つかるかもしれません。
今回は、105×(8+6)を正しく計算するにはどうすればよいか考えてみましょう。
問題
次の問題を計算機を使わずに解いてください。
105×(8+6)
ある計算の法則を使うと筆算なしでも答えが出せるでしょう。
解答
正解は、「1470」です。
この計算式をそのまま解いていくと、次のような流れになります。
1.()内の8+6を先に計算(答えは14)
2.105×14を計算
この方法は()から先に計算するという計算式の優先順位に沿ったものです。
もちろん、この方法でも1470を導くことはできます。
しかし、三桁×二桁の計算は「難しい」と感じる人が多いのではないでしょうか。
簡単に解くためには、次のポイントをチェックしてください。
ポイント
この問題を簡単に解くポイント、それは分配法則を使うことです。
分配法則とは、「二つの数の足し算にある数を掛けたときの答えと、二つの数それぞれにある数を掛けて足したときの答えは同じものになる」という法則です。
言葉だけだと分かりにくいので、式の形で見てみましょう。
a×(b+c)=a×b+a×c
これが分配法則です。
括弧の中の足し算をしてからaを掛けても、括弧の中の数それぞれにaを掛けてから足しても同じということです。
では、さっそく分配法則を今回の問題に当てはめてみましょう。
105×(8+6)
=105×8+105×6
=840+630
=1470
この式の中には、三桁×二桁の式は登場しません。
105×8も105×6も105×14に比べれば簡単な式といえるでしょう。
今回の問題は、分配法則を使えば計算しやすい式に変形できたというわけです。
分配法則が成り立つのはなぜ?
分配法則がなぜ成り立つかは、長方形の面積をモデルにすると理解しやすいです。
縦の長さがaで横の長さがb+cの長方形について考えてみましょう。
考え方は次の二通りあります。
1.長方形全体の面積をa×(b+c)で一気に求める
2.横bの長方形と横cの長方形に分けて面積を求めてから後で足す
1でも2でも同じ長方形の面積を求められますから、a×(b+c)=a×b+a×cが成り立つ、といえます。
まとめ
今回は、分配法則を使うことで、計算を簡単にできる問題に挑戦しました。
この問題では、a×(b+c)からa×b+a×cへの変形を行いましたが、逆にa×b+a×cから共通のaをまとめて掛けるa×(b+c)の形に直すことも多いです。
分配法則は計算の工夫によく使われるルールなので、ぜひ身に付けて計算スキルを鍛えましょう。
文:VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:堀口智之(ほりぐち ともゆき)
和から株式会社代表取締役
大人のための数学教室「和」(なごみ) 創業者
大人の数トレ教室 代表
一般社団法人ビジネス数学協会 理事
2010年に、日本で初めて「社会人専門の数学教室」を創業。講師40名、累計受講者20,000人を超えるほどに成長。日本最大級数学イベント「ロマンティック数学ナイト」の企画・創設。延べ10万人以上が参加。2022年に、youtube「大人の数トレチャンネル」を本格稼働を開始。約1年でチャンネル登録者数4万人を超えるまで成長。
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