「負の数(マイナス)」の計算方法を覚えている方は多いと思います。
しかし、なぜその計算式になるのか、その理由まで知っていますか?
計算法則の理由を理解すると、数学がもっと楽しくなります。
今回は、負の数の掛け算と割り算を使って、「なぜそのような計算式になるのか」を説明できるようになりましょう。
問題
次の計算をしなさい。
(1)(-4)×(-6)
(2)35÷(-7)
マイナスを含んだ掛け算・割り算は、符号と数字を分けて計算しましょう!
解説
今回の問題の答えは次の通りです。
(1)24
(2)-5
プラス・マイナスの規則は以下のようになります。
(ここでは、掛け算で記載していますが、割り算でも同様です)
(+)×(+)=(+)
(+)×(-)=(-)
(-)×(+)=(-)
(-)×(-)=(+)
そして、掛け算・割り算では、符号と数字を分けて求めることができます。
(1)(-4)×(-6)の場合
符号:(-)×(-)=(+)
数字:4×6=24
よって、答えは「(+)24」
(2)(+35)÷(-7)の場合
符号:(+)÷(-)=(-)
数字:35÷7=5
よって、答えは「-5」
負の数の掛け算・割り算
正の数と負の数の計算はイメージがしやすいはずです。
例えば、(-5)×(+4)という計算のとき、「(-5)が4個分」と考えることが可能です。
つまり、(-5)+(-5)+(-5)+(-5)=-20ということですね。
同様に割り算でも、(-30)÷(+5)であれば、「(-30)を5等分」と考えられます。よって(-30)÷(+5)=-6です。
では、「(-)×(-)=(+)」や「(-)÷(-)=(+)」はどうでしょうか。
「(-5)が-4個分」というのは、意味が分かりません。
これは、実は「計算法則に矛盾がないように決められたルール」なのです。
※「(-)×(-)=(+)」の説明はさまざまの方法があり、紹介するのは一例です。
次の計算をみてみましょう。
(-5)×(+3)=-15
(-5)×(+2)=-10
(-5)×(+1)=-5
(-5)×0=0
掛ける数が+3,+2,+1,0と1ずつ小さくなるにしたがって、計算結果は-15,-10,-5,0と5ずつ大きくなっています。
では、掛ける数をさらに1小さくしてみましょう。この規則に従うと、計算結果は5大きくならなければいけません。
(-5)×(-1)=+5
さらに続けると、次のようになります。
よって、「(-)×(-)=(+)」が成り立てば、計算の規則に矛盾が生じません。
このようにして「(-)×(-)=(+)」が決められているということが分かります。
(割り算の場合も、同じように説明が可能です)
まとめ
中学生のときに「(-)×(-)=(+)と覚えなさい!」と教わった方もいるかもしれません。
これはきちんと理由が説明できるのです。
しかし、ただ単に暗記するより、「なぜ」ということを知っている方が、計算も分かりやすくなるのではないでしょうか。
※当メディアでご紹介する数学関連の記事においては、複数の解法を持つものもございます。
あくまで一例としてのご紹介に留まることをご了承ください。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
負の数(マイナス)を含む計算式にもう一問挑戦!