当選確率が数百万分〜数千万分の一のような宝くじは、どうせ何回やっても当たらないだろう、と思ってしまうかもしれません。
では、逆に当選確率がある程度高く、何回も挑戦できるとしたらどうでしょうか?
何回目かには必ず当たる気がしませんか?
この直感が本当かどうかは、確率の考え方を使えば証明できます。
問題
当選確率10%の宝くじがあります。
20回買ったら絶対に当たりが出るでしょうか。
※いつ買っても当選確率は変わらず常に10%であるとします。
当選確率10%の宝くじは、10回買うとと1回は確実に当たりが出る!と思う人や、そうとは限らないだろうと思う人がいるかと思いますが、その理由を考えてみてくださいね。
解答
この問題の解答は、「20回買っても絶対に当たりが出るとは限らない」です。
この解答が正しいことを証明するには「当選確率10%の宝くじを20回買って1回以上当たる確率は100%ではない」が言えればよいわけです。
これは、別の言い方をすれば、「当選確率10%の宝くじを20回買って1回も当たらない確率は0%ではない」ということですよね。
では、当選確率10%の宝くじを20回買って1回も当たらない確率を求めてみましょう。
いつ買っても当選確率が10%ということは、いつ買っても当たらない確率は90%=90/100です。
つまり、20回すべて当たらない確率は次のように計算できます。
(90/100)^20=0.12157665459
%表記に直せば約12%の確率で20回買っても当たらないことになります。
確率は少ないものの、0%ではありませんね。
ポイント
この問題のポイントは、「20回買って1回以上当たる確率は100%ではない」をどう証明するかです。
「20回買って1回以上当たる確率」をそのまま考えるとすると、「1回当たる確率」「2回当たる確率」…「20回当たる確率」のように場合分けをして確率を求めなくてはなりません。
さらに1回当たる場合も、「1回目で当たりが出て、残りの19回当たらない確率」「2回目で当たりが出て、1回目と3回目以降は当たらない確率」…「20回目で初めて当たりが出る確率」と様々なパターンで場合分けをする必要があります。
3回当たる確率、4回当たる確率…それぞれにおいても同様の場合分けが必要です。
このような場合分けを行って「20回のうち1回以上は当たる確率」を求めようとするのは、スマートな方法ではありません。
一方「20回のうち1回も当たらない」確率は、場合分けの必要がありません。
解答の中では、0.9を20乗するだけですぐ求められましたね。
今回の問題は「20回のうち1回も当たらない」確率を求めれば十分でしたが、もしさらに「20回のうち1回以上は当たる確率」を求めたいなら次の方法で計算できます。
1-0.12157665459=0.8784233454
全体である1から「20回のうち1回も当たらない確率」を引けば、「20回のうち1回以上は当たる確率」が求められます。
まとめ
当選確率10%の宝くじは、10回買うと1回は確実に当たりそうなイメージがあります。
しかし、実は10回の2倍、20回買っても当たりが出ない確率は10%以上もあります。
30回、40回と買うごとに1回も当たりが出ない確率は小さくなっていきますが、0%にはなりません。
この問題のように、確率は思い込みによる間違いを正してくれることが多々あるので覚えておきましょう。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:株式会社かえでプロダクション(公式HP)
「編集技術で過去と未来をつなぐ」小学生・中学生・高校生の学習用教材を執筆・編集・校正する編集専門のプロダクション。英語・算数/数学・国語・理科・社会の主要5科目のテキストやドリル、テストや模試、デジタル系の教材など幅広く制作。教材からできる教育を目指し、教育業界を支える会社。会社独自の福利厚生が充実しており、社員が働きやすい環境を整え、新しい働き方で第三者機関から認定を受けている。
確率の問題にもう一問挑戦!