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大人が意外と解らない「勝率1/2のゲームは2回やれば勝てる」→これって本当?!

  • 2024.6.25
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確率を使った嘘には、非現実的なことをさも本当のことのように相手に信じさせる力があります。

ありえない、という感覚を身に付けるためには、確率の正しい計算方法を知っておく必要があるでしょう。

今回は、勘違いしやすい確率の問題に挑戦してみましょう。

問題

いつでも勝率が1/2のゲームがあります。
「1/2の確率で勝てるのだから、2回やれば少なくとも1回は必ず勝てる」
これは本当でしょうか、噓でしょうか。
※ただし、引き分けは無いものとします。

どうしてそうなるのか、理由も答えてください。

解答

答えは、「嘘」です。

「2回やれば少なくとも1回は必ず勝てる」ということは、言い方を変えれば2回とも負ける確率は0%ということです

さて、勝つ確率が1/2であれば、勝たない確率、つまり負ける確率も1/2です。

2回ゲームをするとき、1回目にはいつでも1/2の確率で負け、2回目にもいつでも1/2の確率で負けるのですから、2回とも負ける確率は絶対に0にはならないです。

つまり、「2回やれば少なくとも1回は必ず勝てる」は嘘ということになります。

ポイント

この問題のポイントは、「いつでも勝率が1/2になる」という点です。

つまり、1回目の勝ち負けと2回目の勝ち負けは、互いに全く関係ないということです。

数学的には、1回目と2回目の試行は「独立」であると言います。

1回目に負けたから2回目の勝率が上がったり、1回目に勝ったから2回目は負けやすくなるという状況はありえません。

そのため、負ける確率は1回目も2回目も1/2であり、0にはなりません。

そして、独立している試行同士の確率は掛け合わせて求めることができます。

この問題でいえば、2回のゲームで2回とも負ける確率は、1/2×1/2=1/4(1回のゲームで負ける確率×1回のゲームで負ける確率)と計算できます。

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2回とも負ける確率が1/4である以上、「2回やれば少なくとも1回は必ず勝てる」とはいえません

 

一方、当たりくじ1つとはずれくじ1つが入っている袋からくじを引く場合を考えてみましょう。

1回目に袋からくじを引くとき、はずれを引く確率は、勝率1/2のゲームと同様に1/2です。

では、1回目にはずれを引いた後、そのくじを袋に戻さずに2回目のくじを引いたらどうでしょうか。

袋の中にはもう当たりくじしか残っていないのですから、2回目ではずれを引く可能性は0になりますよね。

つまり、1回目もしくは2回目に必ず当たりを引けるのです。

このようなケースでは「2回中1回は必ず当たる」というのは嘘ではありません。

今回の問題との違いは、1回目の結果が2回目に影響を与えているため独立ではないという点です。

2回ゲームを行うのと2回くじを引くことは同じように見えますが、2回の試行が独立かどうかによって確立の計算方法が変わってきますので、注意してください。

まとめ

今回は、勘違いしやすい確率の問題に挑戦しました。

各試行が独立であるかどうかは確率の計算に大きな影響を及ぼします。問題の設定をよくみて解くことが大事です。

※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。



文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。

監修:株式会社かえでプロダクション(公式HP

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「編集技術で過去と未来をつなぐ」小学生・中学生・高校生の学習用教材を執筆・編集・校正する編集専門のプロダクション。英語・算数/数学・国語・理科・社会の主要5科目のテキストやドリル、テストや模試、デジタル系の教材など幅広く制作。教材からできる教育を目指し、教育業界を支える会社。会社独自の福利厚生が充実しており、社員が働きやすい環境を整え、新しい働き方で第三者機関から認定を受けている。


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