一枚の硬貨を投げる場合、結果は表が出るか裏が出るかの2パターンのみになります。
しかし、複数の硬貨を投げる場合は「どれだけのパターンがあるか」を正しく数え上げられるでしょうか?
今回は、百円玉を複数投げる場合の確率計算に挑戦してみましょう。
問題
百円玉を四枚同時に投げます。
四枚すべてが裏になる確率を答えなさい。
ちなみに、百円玉は「100」と大きな数字がある方が裏になります。
解答
百円玉を同時に四枚投げて、すべてが裏になる確率は1/16です。
確率は「特定のケースが起こる場合の数(パターン数)÷起こりうるすべての場合の数(パターン数)」で求められます。
パターン数を数えるときの大前提として、確率では同じように見えるものでも別のものとして考える必要がある点に注意しましょう。
今回は、四枚の百円玉を区別するため、100円A、100円B、100円C、100円Dと名前を付けて、起こりうるすべての場合のパターンを数えていきましょう。
まず100円Aを表に固定して考えます。
パターン数は以下の表のとおりで、合計8バターンになりますね。
次に100円Aが裏のときを考えます。
以下の表のとおり、同じく8パターンになります。
つまり起こりうるすべての場合のパターン数は8+8で16です。
この中ですべての百円玉が裏になるのは1つのパターンしかありません。
「特定のケースが起こる場合の数÷起こりうるすべての場合の数」の計算式に当てはめると次のように計算できます。
1÷16=1/16
これで答えが出ましたね。
ポイント
この問題のポイントは、百円玉四枚の裏表パターン数をもれなくすべて数えられるかどうかです。
先の解答では表を使ってパターン数を数え上げました。
また次のように考えてもOKです。
100円Aには表か裏が出る2パターンあり、それぞれのパターンに対して百円B、百円C、百円Dも各々2パターンの出方がある。よって、すべてのパターン数は2×2×2×2=16。
では、次のような数え方はアリでしょうか?
表になる百円玉の数に注目し、以下のように考えると5パターン。
・四枚すべてが表
・三枚が表
・二枚が表
・一枚が表
・表なし(すべて裏)
16あるはずのパターン数が5パターンになってしまいました。
どこがおかしいのかは、解答の表と見比べてみればすぐわかります。
例えば、表の中で三枚が表になる場合は1パターンではなく4パターンありました。
これは、四枚の百円玉がA、B、C、Dと区別して考えられているからです。
このように同じ種類のものを区別せずに考えると、すべてのパターン数を上手く数えられないことがあります。
まとめ
確率問題に登場する硬貨、サイコロ、ボールなどのアイテムは同じ種類のものでも別物と考えることが大事です。
実際に手元の百円玉を見てみても、発行年が違ったり、汚れがついていたりとぴったり同じものはまずありませんよね。
他の確率問題に挑戦するときでも、「同じ種類のものでも区別する」というポイントを忘れないようにしてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文:編集(監修):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
もう一問 次はサイコロを使った確率問題に挑戦!