皆さんは「2桁×2桁」の掛け算をどのように考えますか。
数字によっては暗算で簡単にできることもありますが、大抵は電卓を使ってしまうのではないでしょうか。
しかし、「インド式計算法」を使えば、誰でも素早く暗算で行うことができます。
思考力を集約した「インド式計算法」を用いて、計算力を養いましょう!
問題
次の計算を暗算でしなさい。
43×37
「インド式計算法」を知っていれば、一瞬で計算できてしまいます。
やり方を知らない方は、まずは普通に計算してみましょう。あとから紹介する「インド式計算法」を知れば、その計算スピードの違いに驚くはずです!
解説
今回の問題の答えは「1591」です。
ここでは、インド式計算法を用いて計算する手順を紹介します。
インド式計算法では、「どのような計算式か」によって、解法のパターンが異なります。
今回は、以下の条件のときに使用できます。
掛け算をする二つの数が、10の倍数から“ある数”を足した数と引いた数になっている
「43×37」では、
43= 40+3
37= 40-3
となり、「40に3を足した数」と「40から3を引いた数」を掛けています。
(「40」を基準にして「3」を足し算・引き算しています)
計算の手順は以下の通りです。
【手順1】
「基準にした数」を2乗する。
40×40=1600
【手順2】
「足し算・引き算した数」を2乗する。
3×3=9
【手順3】
手順1で求めた数から、手順2で求めた数を引く。それが答えとなる。
1600-9=1591
とても簡単に計算することができましたね。
慣れていると一瞬で答えが求められるはずです。
計算が成り立つ理由
ここでは、なぜこの計算が成り立つのかを考えてみましょう。
これを知らなくても計算はできますが、理由まで知っていると計算ミスを減らすことができます。
二つの方法で理由を説明します。
展開公式
今回使った計算の手順は、実は中学校で学習する「展開公式」の一つを用いたものです。
(a+b)(a-b)=a²-b²
今回の問題に当てはめると
(40+3)(40-3)
=40²-3²
=1600-9
=1591
となり、確かに正しい答えとなりました。
面積図
中学数学が苦手という方も、小学校までの知識で確認ができます。
「43×37」の計算は、縦43cm、横37cmの長方形の面積を求めるのと同じです。
その長方形を下図のように2つに分割しましょう。
次に、「3×37」の細長い長方形を、向きを変えて置き直します。(下図参照)
すると、縦の長さは「40(=43-3)」になります。そして、横の長さも同じく「40(=37+3)」が作れました。
「40×40」の正方形(赤い太枠)になり、とても計算がしやすいですね。
しかし、注意しなければいけないので、右下部分です。縦の長さはピッタリ合っていないので、空白ができています。この部分は引き算しなければいけません。
この白い部分は「3×3」の正方形です。
したがって、面積の計算は次のようになります。
「40×40」の正方形(赤い太枠)
→1600cm2(【手順1】の計算)
「3×3」の正方形(白い正方形)
→9cm2(【手順2】の計算)
求める面積(水色部分)
→1600-9= 1591cm2(【手順3】の計算)
今回は43×37の計算をしましたが、以下の条件を満たす計算であれば同じように考えることができますね。
掛け算をする二つの数がそれぞれ、10の倍数からある数を足した数と引いた数になっている
まとめ
「インド式計算法」は練習を繰り返すことで誰でも利用できるようになります。
ただし、すべての計算が一つの方法でできるわけではないので、どのようなときにインド式計算が使えるのかを見極めましょう。
今回紹介したパターンとは違う方法は、別の記事で解説しているので、そちらもぜひ確認してください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
インド式計算法「18×16」→もう一問どうぞ!!