「ご覧になる」の正しい使い方、理解できていますか?ビジネスシーンでは多く使われる表現ですが、似た表現で、「ご覧になられる」という言葉も耳にしますよね。
今回は、「ご覧になる」の正しい使い方や、言い換え表現についてご紹介します。
「ご覧になる」の意味と使い方
「ご覧になる」は、目上の相手の「見る」という行動を敬意を込めて表現するための言葉です。「ご覧ください」などと、文末を変えて使用することも可能です。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。
尊敬語:相手の行動自体に敬意を表す言葉
謙譲語:へりくだることで相手に敬意を払う言葉
丁寧語:「です」「ます」を文末につけたり、「御(お・ご)」を語の前につけたりすることで言い回しを丁寧にした言葉
「ご覧になる」は3つのうち、「尊敬語」に当たります。いずれも相手を敬うための言葉ですが、それぞれを重ねて使用すると、「二重敬語」という誤った表現になってしまいます。
よくある間違いの例としては、「ご覧になられる」という表現が挙げられます。「ご覧になる」に「られる」という丁寧な言葉が加わっており、一見、「ご覧になる」よりさらに気を遣ったようにも思えます。しかし、「ご覧になる」と「られる」の2つの尊敬語が使われているため、二重敬語に。
このように、言葉を分解してみると、実は間違っていることがあるため、注意が必要です。
「ご覧になる」の例文として以下が挙げられます。
例文1:あちらの窓から富士山が見えるのですが、もうご覧になりましたか?
例文2:手元の資料14ページのグラフをご覧ください。
言い換え表現
「ご覧になる」の代わりに使える表現をご紹介します。
・「ご高覧(ご賢覧)」
主に書き言葉で使われる強い敬語表現です。「高覧(賢覧)」だけでも敬語として成立しますが、「ご」をつけることでより丁寧な印象を与えられます。取引先など、特に丁寧に接したい相手に対して使われるため、部下や上司を相手に使う表現としては不自然です。
例文:まずはお送りした資料をご高覧いただけますと幸いです。
・「見ていただく」
「ご覧になる」よりくだけたニュアンスで使えます。
例文:パソコンの調子が悪いようなので、見ていただけますか?
正しい敬語表現で、スマートに敬意を伝えよう
「ご覧になる」は「見る」の尊敬語です。言い換え表現として、「ご高覧いただく」や「見ていただく」などが挙げられます。
相手の立場やシーンに合わせてうまく使い分けて、正しい敬語で敬意を表しましょう!
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※シーンなどによってマナーが異なる場合があります。
監修:能美黎子(のうみれいこ/Instagram)
新卒で入社した最大手保険会社で約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。