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野球の"ビールかけ"はいつから始まったの?…きっかけは日系二世選手の祝勝会での乾杯!?

  • 2024.3.1
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写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

NPBの優勝後の恒例行事「ビールかけ」。選手たちがビールをかけ合いながら喜びを分かち合う姿は、野球ファンならずとも、観ているだけで高揚しますよね。

長いシーズンを戦い抜き、優勝の喜びを分かち合い、試合中には見られないような表情でビールをかけ合う選手たちの様子は、テレビでも中継され、SNSでも話題に上がるなど、ファンとしてもみていて楽しいシーンでもありますよね。

近年では選手だけに留まらず、ファン同士がビールかけをするなど、1つのイベントとなりつつあります。

そこで今回は、野球の「ビールかけ」に注目。そのルーツを辿ります。

ビールかけの誕生と発展

野球の本場アメリカでは、MLBなどで優勝チームがシャンパンをかけ合う「シャンパンファイト」が行われますが、その歴史は日本よりも長く、そのルーツを辿ると、フランスの皇帝・ナポレオンが戦いの勝利の記念に行ったことに行き着きます。古くから根付いていたアメリカとは異なり、日本では、優勝した際には、ビールで乾杯をしていました。

日本でのビールかけの起源は主に2つの説があります。

  • 南海ホークス(現ソフトバンクホークス)が1952年にリーグ優勝を達成し、打ち上げとして行なった説
  • 同年に南海ホークスが日本一に輝いた後、喜びを分かち合うために行なった説

この2つの説が現在有力です。

それが起こったのは、南海ホークスの選手宿舎で開かれた祝勝会の席でした。カールトン半田選手が、いきなり周囲の選手に持っていたビールを頭にかけたことが始まりとされています。

前述の通り、アメリカの大リーグでは「シャンパンファイト」が一般的なため、半田選手は「アメリカの形式を真似たい」という思いからこの行事が始まったと伝えられています。

では、一体どのようにしてこの起源が現在のような大規模な行事に変わっていったのでしょうか。

きっかけは祝勝会での乾杯⁉

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写真:PIXTA

日本でのビールかけの始まりとされるのは1952年。この年に、野球の本場アメリカのマイナーリーグでのプレー経験があったカールトン半田選手が、優勝の立役者でもあった杉浦忠選手の頭にビールを掛け流し、彼の偉大な奮闘を称えました。その後、杉浦選手も負けじとかけ返し、そこから周りの選手も入り乱れて、あたり一面はビールのかけ合いで大騒ぎになったようです。

また、当時参加した野村克也選手は、宿泊した旅館の畳をビールで汚してしまい、従業員にひどく叱られたと後に語っています。畳は水分に敏感なため、祝勝会後に畳部屋だった会場は使用できなくなってしまったそうです。

日本一を決めた後にもビールかけは行われ、選手たちは濡れたユニフォーム姿で風呂に飛び込みました。そうしてビールかけは、NPBにおける優勝後の恒例行事として定着。1960年にはリーグ優勝を果たした大毎オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)が、1962年には阪神タイガースがビールかけを行い、各球団の宴として現在も続いています。

なぜビールをかけるのか

ビールかけの起源が、一人の選手の行動にあったというのは驚きだったのではないでしょうか?

近年では、未成年選手の参加を問題視する声に配慮して、参加を自粛させたり、ノンアルコールで代用したりする球団も増えています。直近では、2023年優勝球団の阪神タイガースが合計2度のビールかけを行いました。ちなみに、現在祝勝会で使用されるビールは全て常温という説もあります。

実際、1998年に横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)がリーグ優勝を達成した際、当時のピッチャーだった佐々木主浩選手がラジオ番組で証言しました。当時は冷えていたビールをかけられたため、優勝後に風邪を引くという珍事件が発生しましたが、発熱が続く中で日本シリーズ第1戦に登板し、38年ぶりの優勝に貢献。ビールかけの歴史における偉業ともいえますね。

野球はチームスポーツ。勝利の喜びを皆で分かち合いたいという気持ちが、現代のような大規模な宴のように浸透していったのでしょう。


※情報は2月22日時点のものです。

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