1. トップ
  2. 【大人も悩む数学】「無限+無限」には答えがある…?!

【大人も悩む数学】「無限+無限」には答えがある…?!

  • 2023.12.4

「この料理、おいしいから無限に食べられる!」なんて言ってしまうことないでしょうか。

「無限」と言っていますが、本当の意味での無限ではないですよね。日常生活では比喩的に使うことが多いはずです。

では、数学では「無限」をどのように扱うのでしょうか。

「無限」の不思議な世界を考えてみましょう!

問題

無限の客室があるホテルがある。このホテルは現在、満室です。ここに、無限の人数の新たな宿泊客が来ました。ホテルは、宿泊客を受け入れることができますか?

この問題、言い換えると「無限+無限=??」ということを考えています。

undefined

満室になってしまったホテルは、無限の宿泊客を受け入れることができるのでしょうか。

 

さて、今回の問題の答えは「受け入れることができる」です。

解説

満室にもかかわらず、無限の人数のお客さんを受け入れることが可能です。

矛盾しているように感じますが、これは「無限」を扱っているから、このような結果となるのです。

「無限」と「大きな有限の数」は異なります。客室の数が有限であれば、満室になればこれ以上のお客さんを受け入れることはできません。

しかし、「無限」の客室がある不思議なホテルだからこそ、満室であってもお客さんを受け入れることが可能になります。

では、どのように受け入れるのを考えてみましょう。

新しく来た客がひとりだった場合

まずは、新しく来た宿泊客がひとりだった場合を考えてみます。無限にある客室はすでに満室となっています。

そこで、すでに泊まっている客に次のように移動してもらいます。

1号室の客は2号室に移動。
2号室の客は3号室に移動。
3号室の客は4号室に移動。
・・・
n号室の客は(n+1)号室に移動。

客室は無限にあるわけなので、すでに泊まっている客は、部屋をひとつ移動するだけです。そして、移動したことによって、1号室が空きました。

新たに来たお客さんは、ここに泊まればいいですね。

これは「無限+1=無限」という計算をしたことになります。

新しく来た客が無限だった場合

では次は、今回の問題である、新たに無限のお客さんが来た場合を考えてみましょう。

今回は、すでに泊まっているお客さんに次のように移動をしてもらいます。

1号室の客は2号室に移動。
2号室の客は4号室に移動。
3号室の客は6号室に移動。
・・・
n号室の客は2n号室に移動。

つまり、今いる部屋番号の2倍の番号の部屋に移動をしています。

すると、移動先の部屋番号はすべて偶数なので、奇数の部屋番号が空くことになります。

奇数は無限に存在します。

新たに来たお客さんは、無限に存在する、奇数番号の部屋に泊まれば良いのです。

ここでは「無限+無限=無限」という計算をしたことになっていますね。

満室だったホテルですが、無限の人数の宿泊客を受け入れることができました。

なんだか不思議な感じがしますが、これは数学的にも正しい考えとなっています。

まとめ

数学で扱う「無限」の概念は、日常生活とは大きく異なるため、直感とは違う結果が出てくることがよくあります。

今回紹介したホテルの問題は、「ヒルベルトの無限ホテル」と言い、20世紀を代表する数学者ヒルベルトによって考えられたものです。

「無限」はとても面白く、不思議な結果がたくさんあるので、興味がある方はぜひ調べてみてください!


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」