手土産やお祝い、お礼などを渡す際によく使われる「つまらないものですが」という言葉。さまざまなシーンで耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。謙遜や相手をおもんぱかる表現として使われていますが、そこまで謙遜する必要はないという風潮も高まっています。
そこで、今回は「つまらないものですが」の意味や使い方、気の利いた言い換えや例文についてご紹介します。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
「つまらないものですが」の意味
「つまらないものですが」は、「取るに足らない」という言葉の敬語表現となります。語源は、教育者・思想家である新渡戸稲造の著書「武士道」と言われています。「立派なあなた様と比べてしまうとつまらないものに見えてしまいますが」という意味合いからきた、相手を立てて自分をへりくだる謙遜の意味を込めた敬語表現です。
目上の人や取引先に対してお土産を差し出す場合などに使われることが多い言い回しですが、注意しなければいけないのは、本当につまらないものを送るわけではないという点です。相手によっては「つまらないものならいらない」と考えてしまう人や皮肉と受け取ってしまう人もいるため、現代の風潮では言い換えて伝えるほうが無難でしょう。
言い換えフレーズ1「ささやか」
「ささやか」とは、「寸志」「小ぢんまりとして目立たないながらも価値があるもの」を意味する言葉です。敬語ではないですが、目上の人に対してもビジネスを円滑にするクッション言葉として活用できます。
〈例文〉
- ささやかながら、贈り物を用意しましたのでお受け取りください
- 先日は申し訳ありませんでした。ささやかですが、お詫びの品をお送りしました。どうぞお納めください
言い換えフレーズ2「心ばかり」
「心ばかり」は「心許り」と書き、「心がこもっているだけのもの」を意味する表現となります。「つまらないものですが」と同じように謙遜を意味する敬語表現として使い回しのいい言葉となります。
〈例文〉
- 心ばかりですが、どうぞ皆様でお召し上がりくださいませ
- 心ばかりですが、どうぞ気兼ねなく笑納ください
- 心ばかりではありますが、お土産をご用意いたしました。 家に帰ったら、ぜひ召し上がってください
言い換えフレーズ3 「ほんの気持ちですが」
「ほんの気持ちですが」は、相手に対する感謝の心や慶弔の意という意味であり、謙遜の意が込められた表現となります。
〈例文〉
- 先日は大変お世話になりました。ほんの気持ちですが、どうぞお受け取りください
- ほんの気持ちですが、皆様へお土産を準備しております。お帰りの際に、お持ち帰りくださいませ
- ほんの気持ちばかりではございますが、どうぞ召し上がってください
相手や状況にあわせて使い分けよう
「つまらないものですが」という言葉は、日本人ならではの気遣いが詰まった素敵な言葉です。しかし、時代の変化とともに捉え方に変化が生まれてきているのも事実です。決して使ってはいけないフレーズというわけではありませんが、相手や状況に合わせて言葉を選ぶことが大切です。
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※シーンなどによってマナーが異なる場合があります。
ライター:能美黎子(のうみれいこ/ Instagram:@reikonohmi)
新卒で入社した最大手保険会社で約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。