インド式計算というのを聞いたことがある方は多いでしょう。
「インド人は19×19までのかけ算を暗記している」なんてことも言われますが、インド人が計算が早いのは、なにも暗記をしているからだけではありません。
パターンに応じて、計算の工夫をしているからです。
問題
次の計算をしなさい。
84×86
普通に計算しようとすると、筆算での計算となってしまいそうです。
しかし、ある計算方法を知っていれば、暗算で一瞬で答えを出すことができます。
まずは、答えを出してみましょう。
今回の答えは「7224」です。
解説
今回の計算問題の特徴は次のとおりです。
・十の位が同じ(どちらも8)
・一の位の和が10(4+6=10)
この性質を満たす2つの数のかけ算であれば、これから紹介する計算で求めることが可能です。
計算の手順は次のとおりです。
(カッコ内の計算は、今回の問題の計算です。)
【手順1】
十の位の数とそれより1大きい数をかけ算する。
(8×9=72)
【手順2】
一の位同士のかけ算をする。
(4×6=24)
【手順3】
手順1、2で出た答えを並べると、元の計算の答えになる。
(72と24なので、答えは7224)
いかがでしょうか。とても簡単な計算で求めることができました。
いくつか練習をしてみましょう!
練習問題
次の計算をしなさい。
(1)38×32
(2)41×49
(3)25×25
ここでは、(1)のみ解説をします。
【手順1】
十の位の数とそれより1大きい数をかけ算する。
(3×4=12)
【手順2】
一の位同士のかけ算をする。
(8×2=16)
【手順3】
手順1、2で出た答えを並べると、元の計算の答えになっている。
(12と16なので、答えは1216)
答え
(1)1216
(2)2009
(3)625
まとめ
この計算方法を知っていれば、日常生活でも活用できるはずです!
一見すると難しそうな計算も暗算でできるとかっこいいですよね!?
これであなたも計算マスター!
【補足】数学的な証明
以下では、今回の計算が成り立つ数学的な証明をしています。興味がある方は、ぜひ数式で確認をしてみください。
①2つの数の十の位が同じ。
②2つの数の一の位を足すと10になる。
この条件を満たす2つの数を10a+b、10a+(10-b)とする。(a,bは1桁の自然数)
このとき
(10a+b)(10a+(10−b))
=100a²+10a(10-b)+10ab+b(10-b)
=100a²+100a-10ab+10ab+b(10-b)
=100a(a+1)+b(10-b)
よって、
上2桁は「十の位の数と、それより1大きい数の掛け算、a(a+1)」、
下2桁は「元の数の一の位の掛け算、b(10-b)」
となっていることがわかります。
文・監修:SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。
編集:TRILLニュース