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日曜劇場『VIVANT』乃木(堺雅人)と野崎(阿部寛)や柚木(二階堂ふみ)、ドラム(富栄ドラム)から目が離せない!(1・2話レビュー)

  • 2023.7.30

堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、役所広司、松坂桃李らが出演する日曜劇場『VIVANT』が熱い。初回放送は90分スペシャルと尺も映画級で、7月23日に放送された第2話も拡大版。初回の視聴率を上回る11.9%を記録している。

※以下ネタバレを含みます。

キャストもストーリーも尺も映画級

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ドラマは本来、放送前から登場人物やあらすじなどを情報開示するものだ。そうでなければ、興味を持って「見てみよう」と視聴者に思わせることができない。

しかし、日曜劇場『VIVANT』はやすやすと、そんな暗黙の了解を越える。初回放送前に発表されていたのは、堺雅人や阿部寛など、最低限のキャストのみ。予告動画こそ公開されたものの、どんな物語なのか一切明かされることはなく、反対に“謎が謎を呼ぶ”状態になっていた。

2023年7月に公開されたジブリの最新映画『君たちはどう生きるか』も、事前に物語や声優、予告動画が発表されず、画像さえキービジュアル一枚のみという攻めの宣伝姿勢だった。映画パンフレットさえ公開後の販売である。ギリギリまで情報をシャットアウトする宣伝戦略は、賛否両論を生んだ。

『VIVANT』初回90分スペシャルが放送されるや否や、物語やロケ地の壮大さ、キャストの豪華さに、まさに開いた口が塞がらない状態になった方も多いのでは。尺もあいまって、映画が放送されているのかと勘違いしてしまう。

中毒性の鍵は“RPG”

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『VIVANT』好調の理由はいくらでも分析できる。その一つに、続きが気にならざるを得ない“RPG”的構成が挙げられる。なんとも人の本能に働きかけた、中毒性たっぷりの要素が多い。

まずはキャラクター。堺雅人演じる乃木憂助は、丸菱商事という会社の社員。

9000万ドルを誤送金してしまった疑いをかけられ、それを取り戻すためにバルカ共和国に向かうことになる。これが、この物語の発端だ。

乃木自身はどこにでもいる朴訥な男性で、腰も低く、悪いことなどできそうにない。それなのに、あれよあれよと国家間の大問題の中心になってしまう展開が、なんともRPGの主人公っぽい。

彼を助け、仲間として加わる野崎守(阿部寛)や柚木薫(二階堂ふみ)、ドラム(富栄ドラム)らも、それぞれ個性的だ。

少しずつ仲間が増えていく様は、RPGでパーティが充実してくる過程を思い出させる。

ストーリー展開も秀逸だ。きっかけは仕事のミスだが、それが国家間を揺るがす大問題に繋がってしまう。2話の終盤では、敵に捕まらないように砂漠を抜けて国境を目指すことになるのだから、その壮大さが知れるだろう。

危険が迫っては必死で回避し、ちょっとした平和が訪れる束の間、またもや次の危機がやってくる。

そのテンポが遅すぎず早すぎず絶妙で、「次は何がくるのか」と否応なしに視聴者をワクワクさせる。この心の動きはまさに、睡眠時間を削ってRPGをやり込んだときと重なる。

超映画級の『VIVANT』、3話以降はどんな展開を見せてくれるのか。

 

※記事内の情報は記事執筆時点の情報です。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_

イラスト:わんわん(Instagram