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最終回!『あなたがしてくれなくても』みち(奈緒)と陽一(永山瑛太)、誠(岩田剛典)、楓(田中みな実)それぞれが選ぶ道とは(10話レビュー)

  • 2023.6.22
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奈緒、永山瑛太、岩田剛典、田中みな実が名を連ねる木曜ドラマ「あなたがしてくれなくても」は、夫婦関係を脅かす問題「セックスレス」に焦点を当てた作品。

漫画家・ハルノ晴による同名漫画を原作としており、これまで触れられなかった夫婦間のタブーに正面から切り込んでいる。6月15日に放送された10話を振り返る。

「セックスレス」の影に隠された幼児性

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セックスレスに悩んできた吉野みち(奈緒)は、ついに夫・陽一(永山瑛太)へ離婚を切り出す。どうして急にそんなことを、と陽一は慌てるが、決して急なことではない。

これまでの回をとおして、みちは必死にセックスレスの現状を訴え、陽一と話し合いの場を設けてきた。「みちがいなきゃ俺は何もできない」の一点張りで、真剣に向き合ってこなかった天罰とも受け取れる。

みちの様子がおかしくなってからというもの、脱いだそばから放り出していた靴下はカゴに入れるようになり、できる限り家事を手伝い、みちの送迎まで請け負うようになった陽一。

しかし、依然として彼のスマートフォンの画面には、ヒビが入ったままなのだ。結局みちがなんとかしてくれる、みちさえいればなんとかなる、と思っているだらしなさ、幼児性が垣間見える。

10話でみちが言ったように、陽一は「みちのことが好き」なのではなく「自分のことが好き」なのだ。みちに捨てられる自分がかわいそうで、泣いたのだ。

誰も選ばず、一人で強く生きていくEND

吉野夫妻の離婚は無事に(?)成立。みちと心を通わせ合っていた職場の上司・新名誠(岩田剛典)も、妻・楓(田中みな実)とのセックスレス問題に頭を悩ませていた。

しかし、新名夫妻も離婚に至る。その直後に誠はみちを水族館へと連れ出し、自分の想いを告げている。

待ってました、と言わんばかりのスピード感に、楓が気の毒に思えてしまうが……みちは、誠の告白を退けた。「ひとりで強く生きていきたい」と主張しながら。

恋愛ドラマでありながら、主人公が誰も選ばずに、ひとりで生きていく道を進む。

2019年に放送された金曜ドラマ「凪のお暇」(TBS)のエンディングを彷彿とする方も多いのではないだろうか。このドラマも、主人公の凪(黒木華)はひとりを選んだ。

最終回。昇進試験に再挑戦し、生き生きと人生を突き進むみちと、未練たらたらな陽一&誠と、落ち込みつつも仕事に救いを求める楓の背中が想像できる。いつの時代になっても女は強し、だなんて、ステレオタイプな結末になることだけは避けてほしい

 

※記事内のイラストはイメージです



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_

イラスト:わんわん(Instagram