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36歳で会社を退社。3つの仕事をこなし、自分のやりたいことを突き詰める

  • 2019.4.23
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世間でいう「普通」とはちょっと違う働き方をしている女性を紹介している「#ワタシらしい働き方」企画。今回は自分がやりたいことを実現するために、芸術教育士とケーキデザイナー、そしてコンサルティングをビジネスにしているという太田さちかさんにお話をお聞きしました。

太田さちかさんの3つのお仕事
01/芸術教育士
02/ケーキデザイナー
03/コンサルティング

3つの肩書きを持つ太田さちかさんの「私らしい働き方」とは?

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Q.まず初めに芸術教育士というお仕事が世間一般的にはなじみが薄いように思うのですが、どんなお仕事なんでしょうか?

大学院ではずっと子供芸術という学問を研究してきました。
「空が綺麗だな」とか「花が可愛いな」っていう気持ちは、頭で考える理論というより、心で感じるところ。外部環境や人間関係、歴史など一人一人の背景が関係するので、単純に説明できることではないんです。「理論」と「感受性」、そのどちらも身につけるためにはどうしたらいいのかということを、私は研究しています。私の芸術教育士としての活動は、「理論」を大切にしながら、「感受性」を一緒に育む“場所づくり”をしていることが主な内容になります。言い換えると、芸術環境を介して、子どもたちに感受性や創造性を刺激するような価値を提供する場所づくりです。

ーー現在、3つの仕事をしていらっしゃいますが、その中に本業と副業の概念はありますか?

昔はありました。新卒からPRとマーケティングの会社で働いていたので、会社員の頃は仕事が休みの土日にやっている子供向けワークショップが副業に当たるのかなと思っていたんです。ただ、ボランティアでやっていたので、副業というよりソーシャルワークでしょうか。現在は、ケーキデザイナーやコンサルはお仕事をくださる企業から収入をいただけるビジネス。芸術教育士は自分がこの世の中で大事だと思って活動している、いわゆる自分の生きがいという感じで考えています。

ーーということは、芸術教育士の仕事での利益などはあまり考えていないのでしょうか?

私が開催している子供向けのワークショップは参加費はいただいていますが、あくまで運営に必要な最低限の費用。そこで莫大な利益を出すという考えはないです。今、この世界に大切だと信じて活動している仕事です。
ただ、やりたいことを実現するためには収入も必要なんですよね。自分にはたまたまケーキデザイナーとコンサルティングというスキルがあったので、その2つでメインの収入を得るための“仕事”として成り立たせて、そこで得られた収入を原資としつつ、芸術教育士の活動をしているのが、今の私の働き方です。だから全部本業といえば本業(笑)。そろそろ本業・副業という概念に代わる、新しいワードが出てくるかも知れないですね。

ーー今の働き方になったのは会社を辞めたことが大きかったのですか?

会社員の頃から本当にやりたいのは芸術教育士の活動でした。でもその一方で自分のやりたいことを実現させるには収入がないと成り立たないということは感じていました。
会社を辞めた理由は、自分の子供たちのことを考えてです。私には子供が3人いるのですが、平日フルタイムで働いていた時に、自分の子供の環境は今の状態で大丈夫なのかと考えさせられる機会があって。それから、今の働き方を変えないと、私が本当にやりたいことの活動が成り立たないということに気がついたんです。でも会社を辞めたら辞めたで、会社員の収入があったから成り立っていた部分が一気になくなるんですよね。どうしたものかなと思っていたらありがたいことに、いろんなご縁でフリーランスになってからもお世話になった方々からお仕事をいただいて、全て繋がっているんだと思いました。その後ケーキデザイナーの仕事も入ってくるようになり、芸術教育士とは別の柱で“コンサルティング”と“ケーキデザイナー”という3つの仕事の軸を3年かけてつくってきたって感じですね。

段取りを組むっていうところで「余裕」の伸びしろができる。“自分を俯瞰的に見る”ことが大切

Q.3人の子供さんの子育てをしながら3つのお仕事を成り立たせるコツって何かありますか?

女性は子供がいると圧倒的に効率的になると思うんです。私自身の経験になりますけど、会社員時代は時間がいくらあっても足りなかった。仕事が終わらなければ、残業すればいいと考えてしまうのでね。でも子供が生まれてからの時間の使い方は、有限の時間の中でいかに仕事をするかという発想で研ぎ澄まされていきました。子供の学校や習いごとの時間は自分で変えられないですからね。

ーー効率よく時間を使うためにやっていることはありますか?

TO DOリストを作っています。家庭の予定を全部1つのカレンダーに書き出すんです。だから今日の家族全員の予定がどうなっているか、何時に帰らないとお迎えに行けなくなるなとか、そういうことが全部頭に入っています。その中で余っている時間を使って何ができるかを考えるようにしています。そして仕事のTO DOは仕事用のスケジュール帳に書き出しています。そうすると逆算して、何日までにこれが終わらないといけないということが全部出てきますから。

ーースケジュール、段取りを組むことがとても重要なんですね。

そうですね。だからカフェに行って、自分を俯瞰して見るようにします。やらなければいけないことと、その月にやることを俯瞰で見たときに、本当に抜け漏れがないかというところまで段取りをします。そうすれば忙しくても大丈夫。子供と過ごしていても気持ち的にあせることがなくなります。ここまでは終わっているからもう問題ないでしょうって気持ちになれて、余裕の伸びしろが見えてくる。余裕の時間があるということを把握してるからこそ、思いきり遊ベるし、仕事もこなすだけじゃなく提案型になって楽しめるんです。

ケーキ作りはもともと純粋な趣味。自分が好きなものや世界観を“お菓子という媒体”で表現しました

Q.ケーキ作りはいつからお好きだったんですか?

小さい頃から好きで、クッキーを作ったりしていました。社会人になってお給料をもらうようになり、週末にいろんなお菓子の先生に習いに行くのが趣味でしたね。純粋な趣味でやっていたけど、やっぱりいつかはフランスに学びに行きたいと思って、会社を休職して留学しました。

ーーフランスに製菓の留学に行ったのは、できればお菓子作りを仕事にしたいという気持ちがあったからですか?

当時、将来仕事にしたいからという気持ちは一切ありませんでした。おいしいものを作れるようになりたいとか、純粋にお菓子という世界に惹かれて学びに行きました。きっと結婚したら行けないだろうから、独身のうちに行かないと一生行けないってどこかで思っていたんでしょうね。といっても、フランス留学中は、半分は食べていただけなんですけどね(笑)。

ーーケーキデザイナーという仕事を始めたきっかけは?

ケーキデザイナーの仕事もコンサルと同様、ご縁が大きいです。趣味の延長で、自分が好きなものや世界観を“お菓子という媒体”で表現をしていたら、「他で見たことがないものを作って欲しい」という方がオーダーしてくださるようになって。私のクリエーションの場でもあります。ですが、スキルとして受け入れられて、ビジネスとして成り立つのならその道も極めていこうと思い、ケーキデザイナーという仕事としてもスタートした感じです。

会社員の中で学べる機会っていっぱいある。仕方なくではなく、ポジティブに会社員をやれるといいかな

Q.これからパラレルワークなどの新しい働き方をしてみたいと思っている方にアドバイスをお願いします。

私は36歳まで普通に会社員として働いて、管理職も経験しました。今思うと会社員を経験したからこそ、身につけられたスキルというのもたくさんあったと思うんです。今は会社員で、これから新しいことを始めようと考えている人へのアドバイスとしては、いつでも夢見る道に精進できるように準備をしながら、今ある環境に感謝して学べることはとことん学ぶということですね。スキルや経験、資金など、中途半端に何も持たないうちに会社を辞めて好きなものに走ってしまうとなかなか形にしづらいと思うので。
私は今好きなことが仕事になっているわけですが、裏側では自分で段取りを組んで、過去に学んだビジネスマナーを活用して自分の責任でクライアントとやりとりをしています。他にもお金の管理、経理、法務、そういったものも全部ひとりでできないといけないので、会社員時代に培ったスキルを思う存分発揮しています。“仕方なく”ではなく、“ポジティブに”会社員をやれるといいかなと思いますね。

 

Special Thanks
太田さちか

 

Writing:佐久間裕子
Edit:TRILL編集部

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