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スウェーデンだけで確認された「あきらめ症候群」に着想 『生存放棄 クワイエット・ライフ』12月公開

  • 2026.11.7
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映画『生存放棄 クワイエット・ライフ』ポスタービジュアル (C)les films du worso

スウェーデンのみで確認された実際の症例「あきらめ症候群」に着想を得た衝撃の社会派ヒューマン・スリラー『QUIET LIFE(原題)』が、邦題を『生存放棄 クワイエット・ライフ』として12月11日より公開されることが決定。日本版ポスタービジュアルと場面写真3点が解禁された。

【写真】地面に静かに横たわるカティア・・『生存放棄 クワイエット・ライフ』場面写真

2018年、スウェーデン。母国ロシアで迫害を受けたセルゲイとナタリアは、二人の娘を連れて逃れてきた。働き、言葉を学び、当局の審査に従いながら、家族は普通の生活を始められる日を待っている。しかし難民認定申請は却下され、その直後、末娘カティアが突然倒れ、外界への反応を失う。医師が告げたのは<あきらめ症候群>。娘を目覚めさせるには、家族に安全と希望を取り戻す必要があると告げられた両親は、再審査に望みを託す。そして姉アリーナに求めたのは、彼女の記憶にはない出来事の証言だった。妹を目覚めさせるため、家族の未来をつなぐため、少女はある“真実”を語り始める――。

本作は、スウェーデンに難民認定申請中の子どもたちの身に実際に起きた「あきらめ症候群」に着想を得て、ロシアから逃れてきた一家の危機と選択を描く。第81回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に正式出品されインターフィルム賞を受賞したほか、数々の海外映画祭で高い評価を得た。

監督は『ミス・バイオレンス』でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞に輝いたアレクサンドロス・アブラナス。無機質な行政施設と医療現場をカフカ的な不条理として映し出し、家族を守ろうとする愛が、いつしか嘘と圧力へ変わる瞬間を、冷徹な映像美と息詰まる緊張感で描き切った。

■「あきらめ症候群」とは

「あきらめ症候群」とは、1990年代後半にスウェーデンで初めて報告された実際の症例。2003年から2005年には400件以上の症例が報告されている。血圧も正常、反射神経もすべて正常に機能しているのに、歩くことも話すことも食べることも、目を開けることすらできない。そして、この症例はスウェーデン国外では確認されていない。

20年以上にわたるこの謎の病気との闘いの末、スウェーデンの医師たちは「世界があまりにもひどいので、子どもたちは絶望し、脳の意識的な部分を切り離してしまった」という一つの結論を導き出す。苛烈な暴力に晒され、安心して住む場所すらもままならない不安や極度のストレスは、脆弱な立場である子どもたちの心を蝕んでいく。正式に病気として認められ、トラウマ体験後に働く防御機制であることがわかったのは2014年のことだ。

■「無関心」に対抗する映画

初めて症例が報告されてから30年以上。現在、世界は戦争や貧困、移民問題で混沌の中にある。アブラナス監督は「共同脚本家のスタヴロス・パムバリスと私は2人とも、クーデターや戦争、住む場所を追われた経験の記憶が、まだごく生々しく残る国で生まれ育ちました。自ら体験したものであれ、前の世代から受け継いだものであれ、政治的混乱のトラウマは私たちの血の中にあるのです」と語る。

続けて「近年の世界の出来事が進行する中でこの物語を練り上げてきたことで、私たちにとって、その背景はいっそう重みを増しました。周囲の至るところで戦争が起こっているように見えます。そこから生まれる難民たちは、西側社会によって、ますます二級の人間として扱われるようになっています。一方で、世界は気候危機の渦へと落ち込んでいるように見えます。この危機は私たち全員に影響を及ぼし、すでに新たな気候難民の波や、経済的な理由による移住を生み出しています」と訴える。

そして「政治の仕組みがこうした事態に示してきたのは、冷淡さの増大、ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)、そして壁を築こうとする姿勢です。共感するのではなく、無関心になることです。この映画で私たちは、人間性と愛を通して、そうしたあり方に対抗するものを見いだそうとしました」と制作の背景を明かした。

■親はどうすれば子どもたちを守れるのか

さらに「何百万人もの子どもたちが、戦争や貧困、政治的抑圧によって住む場所を追われ、人間らしい暮らしを求めて移動しています。しかし、決して楽観できない現実を知りながら、親はどうすれば子どもたちを守り、安定した生活を与えられるのでしょうか」と問題提起。

「庇護申請を却下され、末娘が『あきらめ症候群陥ったとき、父・セルゲイと母・ナタリアはまさにその問題に直面します。これは深い絶望の状態で、スウェーデンだけでも何百人もの子どもたちが陥っています。懸命に努力しさえすれば、何もないところから何かを生み出すことはできるのでしょうか。結局、幸福は私たち自身がつくり出すものなのでしょうか。本作はどんな代償を払ってでも希望と安定を取り戻そうとする彼らの闘いを、そして非人間的な状況の中に光を見いだそうとする姿を描いた映画です」と作品に込めたメッセージを語った。

併せて解禁された日本版ポスターには、難民認定の申請のため、冷徹な審査員に対峙し、証言をしなければいけない子どもたちの姿が。これを失敗すれば、家族全員が苛烈な暴力が待つ母国に送り返されることになる…。真実を知る妹。彼女に代わり、嘘の証言を両親からも求められる姉。同じ状況下で心理的圧迫を受け止める姉妹を捉えた構図となっている。

映画『生存放棄 クワイエット・ライフ』は、12月11日より全国公開。

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