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中川晃教「ミュージカルとミュージシャンとしての活動は繋がっているもの」 3つの異なるコンサートで25年の歩みを披露

  • 2026.11.7
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中川晃教コンサートビジュアル

2001年のデビュー以来、シンガーソングライターとして独自の音楽世界を築くと共に、ミュージカルの舞台でも活躍を続けてきた中川晃教。デビュー25周年という節目を記念するアニバーサリーコンサートを開催する。11月21日に開催される「中川晃教25th Anniversary Concert at Tokyo Opera City」では、アコースティックギタリスト・押尾コータローをゲストに迎えた特別ステージを披露。そして、2027年2月7日には「中川晃教 25th Anniversary Acoustic Special in Osaka」、3月6日には「中川晃教 25th Anniversary Concert『I Sing』」も控えており、アニバーサリーイヤーを駆け抜ける。25年間精力的な活動を続ける中川にそれぞれの公演への思いや、シンガーソングライターとして、ミュージカル俳優としての歌への向き合い方などを聞いた。

【写真】歌声が紡ぎあげる世界観に惹きこまれる! 中川晃教、コンサートの様子

◆3つの異なるコンサートで、25年間で培ってきたものを披露

――25周年を迎えたアニバーサリーコンサートの開催が決定しました。それぞれのコンサートについて教えてください。

中川:今年の8月1日にデビュー25周年を迎えたことから、コンサートという形で今の歌声を届けようという思いで開催することになりました。東京で行われる11月21日のコンサートは、チェンバーオーケストラの編成でお届けします。今回、初めてこうしたコンサートを開催するということもあり、ギタリストの押尾コータローさんをゲストとしてお迎えします。僕から「ぜひ出演してほしいんです」というお願いをさせていただいて実現しました。押尾さんは僕のデビューした翌年の2002年にデビューされているんですよ。なので、ほぼ同じ時代を歩んできているという思いがありましたし、年齢が僕よりも少し年上なので、先輩に対するリスペクトをずっと持っていて。以前に、押尾さんのラジオ番組にゲストで呼んでいただいたことがあったり、セッションをさせていただいたり、僕の番組にもゲストで来てくださったりという交流があったので、今回のゲストが実現しました。

――2027年には2つのコンサートを予定しています。まず、大阪での公演はどのような内容を予定していますか?

中川:音楽シーンでは周年は年をまたいで3年に渡って行うことが多いんです。なので、今年、来年、そして再来年という形でこの先もいろいろなコンサートの予定があるのですが、まず、2月7日には、大阪のサンケイホールブリーゼで、アコースティック編成のコンサートを行います。僕が2015年にクリエーションした『THE SHOW INFECTED “CONNECTION”』という公演がありますが、これは「ミュージカルの水脈をたどっていくと、そこは音楽のあるシーンに続いていた」というコンセプトのショー仕立ての舞台で、この中でミュージカルにつながる楽曲を選曲しました。例えば、ジャズをシアターで表現したボブ・フォッシーや、舞台よりも前から映画でミュージカルを表現してきた流れ、そしてそこにつながるマイケル・ジャクソン。そうしたミュージカルの水脈を辿っていくような構成でした。

マイケル・ジャクソンのパフォーマンスには、古い時代のミュージカルやショーの影響が見られるんですよ。「Puttin’ on the Ritz(プッティング・オン・ザ・リッツ)」というオールドスタイルの楽曲に影響があったり、ボブ・フォッシーが生み出した“フォクシー・スタイル”と呼ばれるダンスの流れをマイケル・ジャクソンも踏襲しています。そして、その流れは、(マイケルの楽曲の)「Billie Jean」にもつながっていく。なので、一見するとミュージカルとマイケル・ジャクソンは全く違うものに思えるかもしれませんが、実はミュージカルという水脈をたどったときにはつながっているんです。

そして、もうひとつ、僕は『AKINORI NAKAGAWA’s “THE WIZ”』という、一人で『THE WIZ』という映画の楽曲を歌うコンサートも行いました。この『THE WIZ』という映画は、オズの魔法使いを題材にした、マイケル・ジャクソンやダイアナ・ロスが出演している有名な映画です。その中の楽曲を僕が一人で全て歌うという試みでした。今回のサンケイホールブリーゼでの公演では、この2つのクリエイションを中心に、25年の歩みの中で行ったクリエーションについて改めて考えてみたいと思っています。

大阪でのコンサートは、アコースティックギターとピアノという編成ですが、実は今回、ピアノを担当してくださる大坪正さんは『THE SHOW INFECTED “CONNECTION”』と『AKINORI NAKAGAWA’s “THE WIZ”』の制作にも携わってくださった方です。ですので、これまでご一緒した、そしてこれから新しく作るクリエーションをコンセプトにして、大阪ならではのコンサートが作れたらと思っています。

◆「I Sing」と名付けたコンサートで原点に回帰


――3月の東京国際フォーラムでの公演はいかがですか?

中川:国際フォーラムホールCでのコンサートは、バンド編成で、テーマはタイトルの通り「I Sing」です。僕は、「歌を歌うことで自分の原点に戻る」という場所が、このコンサートと出会うまでなかったんです。もちろん、ミュージカルでもそうですし、いろいろな場所で歌う機会はあったのですが、「I Sing」というタイトルを掲げて、自分が歌と向き合うことで、原点に帰ることができた。もしかしたら、ミュージシャンの方々は、楽曲を制作していく過程が音楽と向き合う、自分と向き合うという実感を得られる時間なのかもしれませんが、僕の場合は、リリース活動やレコーディングをするということよりもステージに立つことが活動の中のメインになっているので、やっぱりステージに立つことに意味があります。なので、国際フォーラムでは、自分の中の引き出しにあるものを調合して、「こんな世界が見られるよ」と、この25年の歩みの中で僕が培ってきたものを感じていただけるコンサートにしたいと思っています。

――内容も形態も全く違うんですね。これまで周年をあまり大々的にやられていなかったということですが、今回、こうして開催されるのは、何か思いがあってのことなんですか?

中川:機が熟したというタイミングなのかもしれませんね。会場に足を運んでコンサートで音楽を聴くのと、CDやサブスクで聴くのとでは、また違った感動が詰まっていますよね。コンサートは、アーティストにとっても勝負の場所だと思います。僕は、2001年にデビューしたのですが、デビュー当時は、クラブサーキットといって、クラブを回ってショータイムに出たり、ライブハウスを巡るツアーを行ったりという経験をさせてもらいました。そのときに、あるプロデューサーの方が「ライブが本物でなければ本物じゃない」とおっしゃっていたんですよ。その言葉はずっと僕の心に焼き付いています。今は、何でもエディットすることができる時代ですが、その場の空気感やそのときの歌声、音楽は、生だからこそ感じられるものだと思います。そう思って続けてきて、さまざまな経験をさせていただいたからこそ、今、こうした機会が生まれたのだろうと感じています。満を持してというとおこがましいですが、心を込めて歌を届けたいですし、ぜひ足を運んでいただきたいです。

――音楽や歌と向き合うというところでいうと、それぞれのコンサート、そしてミュージカルなどの舞台公演もまた、違ったものなのでしょうか?

中川:気持ち次第だとは思いますが、全部違うものだと思います。若いときとは違って、今も情熱は変わらずに持ち続けていながらも、「僕はこういうものを持っていた」「こういう色が好きだった」と自然体で自分が持っているものを表すことができるようになってきました。一つひとつの歌やステージで、「ここを大切にしてみよう」と出していけたらいいなと思っています。ただ、たまには冒険もしたいし、自分の中にないものは吸収したい。そのバランスが取れてきていることをこの25周年で実感できたらいいなと思っているんです。

もちろん、技巧的な話になったらまた変わってきます。例えば、女性の曲を歌うときと男性の曲を歌うときでは、使う音域が違います。僕は、デビュー当時から、声が高いと言われていましたし、自分でもそう思っていますが、年を重ねるにつれて高音がより出しやすくなっているんです。それはミュージカル『ジャージー・ボーイズ』という作品に出会ったことが大きいと思います。さまざまなミュージカルと出会って、いろいろな声を磨いてきたからこそ今があるので、そうした技術的な面では、違いはあると思います。

◆独立したことで生まれた楽曲制作時の意識の変化


――中川さんご自身も作詞・作曲をされていらっしゃいますが、曲を作るときは、どのように歌、そして音楽に向き合っていらっしゃるのですか?

中川:僕はいつも自分のスタジオにこもって曲作りをしています。若い頃は、キャッチーなサウンドを意識していたこともありましたが、25、6歳のときに独立してからは、そこに何の目的があるのかを考えるようになりました。自分が誰かのためにできることは何だろう、と。それは、独立していなかったら考えていなかったことだろうなと思います。そして、歌うことや音楽が好きだからこそ、「どれだけ根っこを張れるか。空に向かってまっすぐ伸びていくことができるのか」が大切なのだと感じます。根っこを張るためには必要な栄養もあるだろうし、上に伸びるためには手入れをしないといけない。そういう意識になったのも、自分に何ができるのかを考えたからこそだと思います。そうした中で、曲を作る、歌を歌うことにしっかりと向き合うようになりました。それをテーマに曲を書いているわけではないですが、自然と自分というものがそこにあるのだと思います。

――そうすると、楽曲を作ろうとなったときは、そのときに思っていることや考えていること、伝えたいという思いからスタートされるのですか?

中川:降ってくる、降りてくると思っていつも書いているんですよ。でも、降りてこない(笑)。もう時間がないとなっても、全然降りてこなくて(笑)。書くしかないとなったときに書ける気がします。当たり前ですが、「これを書きたい」と思って書くのと、「書かなくちゃ」と思って書くというのは、違いますよね。書きたいという気持ちに自分を掻き立てる。そのために、自分の中でルーティーンとして、軸足を音楽において1週間くらい生活するようにしています。他のことは入れずに、ギュギュッとジップロックを閉めたような状態にして楽曲を書かないと、降ってきませんから(笑)。

――なるほど。中川さんが作詞・作曲された「アルゴリズム」や「Family」などの楽曲は、言葉が最初に飛び込んでくるような楽曲だと感じたので、思いが最初にあって書いたのかなと思ったんです。

中川:もちろん、それも僕の中にどこかであると思います。ただ、僕は押し付けがましいのは嫌なので、そうならないように書こうと思ってはいるんです。音楽を届けるときに、そこで初めて表情がついて生まれてきて、初めてその歌を生み出した理由を知るというのが、理想ではあります。「アルゴリズム」も「Family」も自分の日常の中で感じたことを書いたものなんですよ。「Family」は一緒に暮らしていた祖母が亡くなり、祖母が死んだという事実や悲しみ、さまざまな思いが走馬灯のように1曲にならないかなと思ったときに、祖母の家にあった家系図を見て、自分の時間を辿りたくなったんです。祖母と一緒に住んでいた家にあった柿の木を眺めながら、いろいろと思い出して。それまでは、そうしたことを歌いたいと思うとは思ってもいなかった。人に押し付けるような歌は嫌だけど、祖母への思いはお酒を飲みながら話すことでもないだろうし、周りの人に話すにしては重い話題だし、でもやっぱり…と思ったときに、曲にしたら共感が生まれるのかなと思って書いたものでした。

◆ミュージカルとミュージシャンとしての活動は繋がっているもの


――まずは、このアニバーサリーイヤーだと思いますが、シンガーソングライターとしてはどのような夢や目標がありますか?

中川:今は、有名になるとか、メジャーになるとか、スターになるといった時代ではないように思います。誰もがスターになれる時代なので。そうした今だからこそ、これまでやってきたこと、自分が思っていることを、これからも丁寧にやっていくのだろうと思います。僕は、ミュージカルをはじめとしたさまざまなものと出会い、誰も歩いていないまっさらな道を、一歩一歩踏み締めて、歩んでいきたいと思ってきました。ただ、自分が何をどうやってきたのかというのを自分ではうまく説明できないんですよ。自分がミュージカルをやっていると音楽から離れているように感じていましたが、実はそうではないということを、『THE SHOW INFECTED “CONNECTION”』を開催したことや、ミュージカルに出会ったことで感じましたし、自分の目標をより高く持てるようになったと思います。

――中川さんにとって、ミュージカルとミュージシャンとしての活動は繋がっているものなのですね。

中川:そうなんです。本当は分けて考える方が良いんでしょうが、少なくとも僕が通ってきたミュージカルという世界はつながっていると感じました。僕は、ミュージカルとの出会いが早かったんですよ。当時は、インタビューで「二足の草鞋ですが、自分ではどちらだと思っていますか?」と聞かれたら、「僕はシンガーソングライターです。ミュージカル俳優ではないです」と答えていました。そう断言することが美学だと思っていたんです。自分の中でミュージカルはこういうものだ、音楽はこういうものだと言えるようになるにはどうしたらいいんだろうと本当に悩みながらやっていました。

――華々しいミュージカルデビューだっただけに、そうした葛藤があったというのは意外でした。

中川:本来は、なだらかに坂道を登っていくというのが良いんでしょうね。いきなりバーンと上がると、あとは下り坂しかない。やっぱり、一つひとつにしっかりと向き合って、吟味して、咀嚼して、飲み込んで、味わって。ときには味もわからないことがあるかもしれないけれども、他のものを食べた後に、もう1回思い出してみると、「あれってこういう味だったんだな。もう一回、食べに行ってみようかな」と思えることもある。そうやって、1秒1秒の時間が大事なんだなと、歳を重ねていけばいくほど思うようになりました。なので、先ほどの目標ではないですが、この先も緩やかな右肩上がりでやっていきたいと思います。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

中川:デビュー曲はもちろん、ミュージカルデビュー作の『モーツァルト!』の楽曲もお届けします。11月の東京オペラシティでは洋楽のカバーもさせていただいたり、邦楽も歌ったりと、僕の25年を彩ってくれたさまざまな楽曲を、パズルのピースのようにお見せしていきたいと思っています。皆さんもぜひ僕の25年を感じていただいて、一緒に盛り上がって楽しんでいただけたらと思います。

(取材・文:嶋田真己)

「中川晃教25th Anniversary Concert at Tokyo Opera City」は11月21日に東京・東京オペラシティ、「中川晃教 25th Anniversary Acoustic Special in Osaka」は2027年2月7日に大阪・サンケイホールブリーゼ、「中川晃教 25th Anniversary Concert『I Sing』」は3月6日に東京・東京国際フォーラム ホールCで開催。

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