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小田切ヒロが伝授するキスの作法とセンシュアルな唇を作る厳選リップアイテム

  • 2026.11.6
Getty Images, courtesy of brands

話を伺ったのは……

小田切ヒロ:ヘア&メイクアップアーティスト。Nous主宰。唯一無二のメイクセンスとテクニック、ユーモアあふれるトークで幅広い世代を魅了し、日本のビューティシーンをけん引。YouTube「HIRO BEAUTY CHANNEL」の登録者数は約170万人、SNS総フォロワー数は400万人を突破。“J-BEAUTY”の魅力を国内外へ発信し続けている。

言葉を超えて魂を確かめ合う儀式

私たちは日々、数え切れないほどの言葉を交わし、名刺を差し出し、自分という存在をプレゼンテーションしている。けれど、どれほど洗練された会話を重ねたところで、相手の本質を瞬時に見抜くことはできない。大人の女性にとって、キスとは単なるエロティシズムのプロローグではないのだ。

「キスという行為は、互いの魂が共鳴するかを確かめ合う最も高尚なコミュニケーション。言わば、“ソウルチェック”。だからこそ、“準備”を怠ることは、大人の社交マナーにおいて致命的と言わざるを得ない。大切な取引先にクシャクシャの名刺を差し出すようなものですね(笑)。

では、その完璧な名刺(キスシーン)を用意するために、一体どこから手を付けるべきか。それは、表面的なリップクリームの増量ではなく、もっと本質的なアプローチ。まずは自分自身の内側──ストレスをマネジメントし、内臓のコンディションを整え、口腔ケアを完璧にすること。これらができていない人に、誰かの魂をジャッジする資格なんてないと思う。

そうやって自分を内側から完璧に満たした私たちが、次に意識したいのは、ただ欲望をぶつけ合うような無粋なまねをしないこと。20代の頃なら、本能のままに溺れるようなキスも愛嬌。けれど、経験を重ねた世代が目指すべきは、どこまでも爽やかで、情景と品格が美しく調和した、胸が締め付けられるほど情緒的な瞬間。それは、唇が重なる10㎝手前の“プレキス”の距離からすでに始まっている。近距離で見つめ合う瞬間の香りとたたずまい、その余裕にこそ、あなたの生き方がすべて表れるのだから」

誘う唇には、丸みのあるフォルムと清潔感を

色気のある唇にするために、ヒアルロン酸を入れようか……と考えた。今の時代、美容医療で簡単に理想のボリュームを手に入れることができる。けれど、ちょっと待って。その唇を大きくする理由は、ただの“エゴとしてのエロス”になっていないか?

「顔の下半分、とりわけ唇というパーツは、“下半身”と直結しているセンシュアルの象徴。ここを不自然に誇張しすぎると、品格を失った顔になってしまい、性的に過剰に誘惑するリスキーな体質が前に出てしまう。だからこそ、まずは洗練されたメイクアップの手法を試してみてほしい。目指すべきは、“戦うキャリアウーマン”のようなシャープな唇ではなく、思わず触れたくなるような、むちっとした丸みを感じさせるフォルム。

そのための秘密兵器が、リップペンシル。唇全体をオーバーに描く必要はなくて、失敗しないコツは、上下の唇の中央にだけ丸みを仕込むこと。上唇の山の角をほんのり削るようにしてみて。あるいは、コンシーラーで口角の下部分を消してからリップラインを上向きに2㎜ほどはみ出すように影を仕込むだけで、媚びていないのに吸い込まれる、ほどよく引き締まったフォルムが完成する。

そして忘れてはならないのが、色と質感の引き算。色みは生命力をもたらす粘膜系のピンク、テクスチャーは、クリーンなセミマット質感を選ぶのが正解。注意してほしいのが、ちまたではやっている大粒のラメは、大人の唇にのせた途端、どこか古くさい印象に転びかねない。キスしたくなる唇に、過剰なツヤ、輝きは不要。唇にボリューム感がない人は、唇の中央部分のみグロスでふっくらさせるのはあり。

さらに、ほうれい線の内側、人中、顎にかけての“唇周辺エリア”は必ずマット質感に。そこにツヤやテカりがあると、途端に清潔感を欠いた印象になってしまう。メイクの前に、リップラインまでしっかりとマットパウダーでセッティングを。メイクの持ちも劇的によくなるし、あなたの唇は“欲しがる顔”ではなく、高潔な美しさを放つはず」

美しい素の唇と所作で、“プレキス”を制す

どれほど高価なドレスをまとっても、その下に身につけているアンダーウエアがくたびれていたら、すべてが台無し。唇もまったく同じこと。“素の唇”そのものが健康的かつ美しくなければ意味がないし、話し方、笑い方などの所作も同様だ。

「よく“唇が乾燥するから、リップクリームを一日に何度も塗っている”という声を耳にするけれど、それはただの表面的なコーティングにすぎず、根本的な解決にはなっていない。乾燥が気になるということは、そこに古い角質がたまっているサインです。必要なのは保湿の前に、代謝を底上げすること。

私が長年愛してやまないのは、上質なリップスクラブによるケア。湯船に漬かりながら、蒸気の力を借りて優しくスクラブで古い角質をオフ。そのあと、唇用の美容液をたっぷりとなじませ、小さく切ったラップでピタッと密着させてパックする。10分後、ラップを剥がしたときの唇は、まるで生まれ変わったようにふわふわで、内側からじゅわっと湧き上がるような血色感を取り戻しているはず。

それと同時に、大人に必要なのは口輪筋のストレッチ。デスクワークに夢中になっていると、一日の大半を無言で過ごすことも多く、驚くほど口周りの筋肉が緩んでしまっている。年齢とともに口角が下がり、いつの間にか口元がポカンとだらしなく開いてしまうのは、この筋肉の衰えが原因。気づいたときに唇をきゅっと引き締め、動かすストレッチを習慣にして。

話すとき、笑うときの所作は、上下の唇と開いた口の面積が『1:1:1』になるように意識すると上品に見えるんです。そして、キスをする日にグロスをベタベタに塗るなんて、“プレキス”の瞬間、相手をちゅうちょさせるだけ。ティントリップを薄くベースに仕込んで血色をキープした上で、色持ちとうるおいをスマートに両立するリップバームを重ねる。これこそが、いつでもソウルチェックに応じられる、パートナーへのエチケットであり、真のビューティマナー」

センシュアルな唇を作るためのコスメ7選

ディオール「ディオール アディクト リップグロウ バター」

Hearst Owned

鮮やかな血色感をプラスするフレッシュピンクのリップトリートメント。ペプチド、セラミドを配合し唇のバリア機能も強化する。ディオール アディクト リップグロウ バター 105 ¥5,060 Dior

プラダ ビューティ「リップ バーム ブラッシング ケア」

Hearst Owned

唇のpHに合わせて発色するテクノロジーを搭載。ブルーのバームを唇にのせるとピンクに色づき、唇をふっくらなめらかに。リップ バーム ブラッシング ケア U001 ¥7,260 Prada Beauty

イヴ・サンローラン・ボーテ「YSL ラブ ヌード リップステイン」

Hearst Owned

みずみずしいテクスチャーが洗練されたソフトブラーな質感に変化し、うるおいとカラーをロック。「1」は、センシュアルなヌードピンク。YSLラブ ヌード リップステイン 1 ¥5,940 Yves Saint Laurent

ナーズ「アフターグロー リップシャイン」

Hearst Owned

重ねても厚みが出ず上品に仕上がるリップグロス。ツヤめくモーヴピンクは粘膜を思わせるセンシュアルカラー。アフターグロー リップシャイン 288 ¥4,180 Nars

エスト「ザ リップ セラム」

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水分を長時間とじ込め、うるおいが続く濃厚美容液リップ。唇がボリュームアップして見え、リップベース、リップグロス、ナイトパックとマルチに活躍。エスト ザ リップ セラム 10g ¥3,300 Est

メイクアップフォーエバー「アーティスト カラーペンシル エクストリーム」

Hearst Owned

クリーミーな描き心地で乾燥知らずのリップライナー。自分の唇の色より2トーン下げた色を選べば自然な影色に。アーティスト カラーペンシル エクストリーム 606 ¥3,080 Make Up For Ever

サラハップ「リップスクラブ」

Hearst Owned

小田切ヒロ自身が長年愛用しているリップスクラブ。黒糖のシュガースクラブが角質を優しくオフし、唇本来のトーンを引き出す。リップスクラブ ブラウンシュガー 14g ¥3,740 Sara Happ

Editor: NAOYUKI TSUYA

 

From Harper's BAZAAR 2026 September Issue

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