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ムリに直すのをやめたら変わった! 【ADHD】言うことを聞かない子どもに親が取った「意外な行動」とは

  • 2026.11.5
cocrecoイメージ写真:photoAC

ADHDと聞いたとき、どんなイメージが浮かびますか?

「不注意」「多動性」「衝動性」

多くの方は、この3つの特性を思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし、長年の研究によって、ADHD脳はこれら3つの特性よりもはるかに多くのポジティブな特性を持っていることがわかっています。

「超ポジティブ」「桁外れのエネルギー」「先陣を切る自発性」──ものの見方やこだわりが規格外だからこそ、ADHD脳は並み外れた能力を秘めているのです。

ADHD脳の子どもが自己肯定感を削られず、そのすごい脳の特性を開花させるためには、まず親御さんがネガティブな面だけ見るのではなく、ポジティブな視点を持つことが重要です。

この記事では、書籍『すごいADHD脳 ─天才的な能力を200%引き出す方法─』(加藤俊徳著/ワニブックス刊)より一部を再構成し、最新の研究で明らかになったADHD脳の真実と、困りごとが起きたときの適切な対応方法を紹介します。

ADHD脳には天才の素質がある

●周りの子よりも落ち着きがない

●なまけているように見えてしまう

●気が散りやすく、すぐに目移りする

そんなわが子はADHDではないか。そう不安に思っている親御さんや、ADHDにネガティブな印象を持っている人は多いかもしれません。

私は、現在「ADHD専門外来」を開設して、日々、魅力的な子どもや大人に接しています。

すごい潜在能力──宝石のような輝きを脳の奥にひそめている人々と接する私の毎日は、神様がくれたご褒美のような日々です。

私の仕事は、そんなADHD脳の人が持つ不思議な魅力を発見することです。

そんな私自身も、ADHD脳の特性を持っています。幼少期から「音読がうまくできない」「人の話を長く聞けない」「すぐに眠たくなってしまう」などのADHDの弱み症状がありました。

しかし、持ち前の「超ポジティブ」「桁外れのエネルギー」に加えて、直感的な「ノンバーバル思考」(※注:言語を介さず、表情やジェスチャー、声のトーンや姿勢などから物事を認知、理解する能力)を駆使して、脳科学の最前線にたどり着きました。

ADHDと聞くと、ほとんどの人は「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性を思い浮かべるでしょう。

しかし、この3つの特性はADHD症状のほんの一側面にすぎません。そして、これらの症状があるからといって「発達障害」と断定する必要もないのです。

本稿では、診断の有無にかかわらず、ADHD傾向にある人を含め、ADHD特有の優れた能力を持つ人たちを「ADHD脳」と呼ぶことにします。

ADHD脳は、これら3つの特性よりもはるかに多くのポジティブな特性を持っていることが、長きにわたる研究によってわかってきました。

「超ポジティブ思考」「先陣を切る自発性」「驚異の集中力」「桁外れのエネルギー」……これらはすべて「ADHD脳」が持つ天才的な能力です。

ものの見方、こだわりが規格外だからこそ、人が気づかないことに気づき、これまでにない発想で新境地を開拓し、あり得ないパワフルさで偉業を成し遂げていく人たちなのです。

才能の種をたくさん持っている、それがADHD脳です。

ADHD脳の弱み症状は対策できる!

ADHD脳の弱みとして挙げられている症状は、その強烈な能力が裏目に出ている状態だと思ってください。突き抜けた能力には、弱点がつきものです。そして、その弱みによって起こる困りごとには、対処方法があります。

ただし、ADHD脳の本人が弱みを自覚することは難しいでしょう。生活の中にある危機を取り除き、わが子を天才にできるのは親しかいません。

ADHD脳の言動に困ったときには、まずその弱みは強みがあるがゆえの弱点であることを大前提に見てあげてください。

強みを知ったうえで弱みと向き合えたら、子どもが能力を発揮するため、裏目に出ないように回避してあげればいいと思えるようになります。より適切な理解と対応をすることができるようになるでしょう。

ここからは、ADHD脳の強みの反動で、弱みとして表れやすい困りごとを取り上げていきます。ADHD脳の困りごとがなぜ起こるのか、親はどう接すればいいのか参考にしてみてください。

自発的ゆえにわがままに見える

cocrecoイラスト:くぼあやこ

なんでも自分のやり方でやりたい、口も手も出してほしくないという娘。

料理に興味がありますが、包丁の持ち方や食材の混ぜ方など、基本的なことを教えようとしても「これでいいの!」と聞く耳を持ちません。

【処方箋】さらりと大人の技を見せる

ADHD脳は、自分のやり方が一番で、そのほうが頭も働きやすいために、自分のやり方を主張します。これは、本人の脳がそう要求しているのです。

たしかに、自発的で「こうしたい」という意志が強いゆえに、意志を曲げない姿がわがままに見えたり、周りと同調できない人と見られることがあります。まずは親が、これはわがままなのではなく、本人の脳が働くためのすばらしい自発性なのだと、捉え方をチェンジしましょう。

さらに、「親の言うことは聞かなくていい」と思ってあげてください。自発性の強いわが子は、親の言うことは聞かないと認めることが大切です。

自分流が一番だと信じているADHD脳が振り向くのは、「これはかなわない」という技を親が見せつけたときです。親が細くてきれいな千切りをしている、メレンゲを崩さずにふんわりと混ぜているなど、自分にはできないことをしていると気づいたときには、「どうやったの?」と自ら聞いてくるはずです。

親は押しつけるのではなく、さらっと技を披露するだけ。興味を持たせる場面を作るのです。1回披露したらすぐに聞いてくるほど即効性があるとは限りませんが、子どもが教えてほしいと自ら寄ってくる場面を積極的に作りましょう。

自発性の高いADHD脳に伝えたいことがあるときには、子どもから聞いてくるように戦略的に動くほうが効果的です。自分から教えてほしいと聞いてきたときには、こちらの意見もしっかり伝えることができます。

振り返ることが苦手

cocrecoイラスト:くぼあやこ

娘は行事を振り返って作文を書くことができません。実行委員を務めた行事でも、「別に書くことがない」と数行で提出していると先生から心配され連絡がありました。

あんなに積極的に参加していたのに、どうして書くことがないのでしょうか。

【処方箋】質問をして一緒に振り返る

意識が前に向いているADHD脳は過去の記憶の振り返りが苦手です。特に「どう感じた」「どう思った」など自分の感情記憶は振り返りにくい特性があります。振り返ることができないのは、記憶が整理されていないことが原因です。

この場合の対処法は、子どもと一緒にカレンダーを見ながら、「この日は何があった?」と質問していく方法です。

「わからない」「思い出せない」と返ってきたら、「一生懸命、放課後に応援を練習してたよね」「リレーで一番だったよね」とヒントを出してあげましょう。

例えば、こんなふうに対話していきます。

子ども……何があったか思い出せない

親……10月15日は、カレンダーに運動会って書いてあるよ

子ども……あ、そうか。運動会だった!

親……そうだよね。今年は応援団になったよね

子ども……うん。頑張った

親……応援団で何を頑張れた?

子ども……大声を出すこと

イラスト:いらすとや

本人に話をさせることを意識して質問を続けてください。しゃべらせて情報を引き出すことが大切なので、親が話してしまわないように注意しましょう。

①しゃべらせて、本人から情報を引き出す

②情報を整理する

③出てきた情報を整理して書く

ADHD脳が振り返るようになるためには、この1~3の段階が必要です。これを同時に行うのではなく、1つずつ段階を分けて行うのもポイント。

親の質問力が問われますが、プレッシャーを感じなくても大丈夫です。親子で繰り返し行うことで、親の質問力も、子どもの振り返る力も伸びていきます。

何かイベントがあったときは振り返るいい機会なので、ぜひトライしてみましょう。

勝手な思い込みで動いてミスする

cocrecoイラスト:くぼあやこ

いつもテストで小さなミスをしていて、なかなか点数が伸びません。

見直せば絶対にできる問題なのに、問題文を自分の勝手な解釈で読んで回答してしまい、間違えてしまうことが多いようです。

【処方箋】ほかの解き方がないか考えるクセをつける

ADHD脳は、1回やってしまうと、もう一度確認する動機が足りず、見直せないことがあります。ですから、日頃から、「再確認で完了」「間違いを直して賢くなる」という認識をしっかり刷り込む必要があります。

ADHD脳の特徴である「早合点」はノンバーバル思考によるものです。瞬時に理解できるという強みでもありますが、それで理解したつもりでいると、物事に対する考えが非常に浅い状態のまま進んでしまう恐れがあります。ノンバーバルの思い込みによるミスが起こっているのです。

今回のようにテストでミスをする場合は、即座に解いた後、そこで終わりにせずに「もっと違う解き方はないか?」と考えるクセをつける必要があります。

1回解き終わるとADHD脳の集中力はそこで切れてしまっているため、解き直しなさいと言われても、まったくやる気が出ません。そこで「解き直し」ではなく「違う解き方を考える」という方向にシフトすれば、新たな集中力を呼び起こすことができるのです。

子どもには「ほかの解き方はないかな?」と、モチベーションを上げるような声かけをしましょう。最初に解いたときとは別の視点で理解しようと脳が働くため、思考が深まり、思い込みで解いたときの間違いにも気づくでしょう。

---------------------------加藤俊徳氏の新刊『すごいADHD脳 ─天才的な能力を200%引き出す方法─』では、ほかにも「ノンバーバル思考」「超ポジティブ」など、ADHD脳の天才的な能力について詳しく解説されています。

また、ADHD脳の最新のトリセツとして、「太陽の光を浴びる」「睡眠時間を10時間以上にする」など、症状を半減させる生活習慣も紹介。ADHD脳の子を育てる親御さんにとっても、お子さん自身にとっても心強い一冊になっています。

加藤 俊徳(かとう・としのり)

脳内科医、小児科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700ヵ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD注意欠陥多動性障害、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後は、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、子どもから超高齢者まで1万人以上を診断、治療を行う。クリニックではADHD専門外来を開設し、ADHD症状のある人の脳画像を診断し、学習指導、適職指導など、その人の才能を開花させるため、薬に頼らない治療を行っている。著書は、『脳の強化書』(あさ出版)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)など多数。

cocreco『すごいADHD脳 ─天才的な能力を200%引き出す方法─』(ワニブックス刊)

著:加藤俊徳

イラスト:くぼあやこ、いらすとや

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