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【小関裕太が探す 癒やしのデザイン#9】築190年の古民家再生で見いだした、自分と向き合う豊かな時間

  • 2026.11.5
FUTOSHI OSAKO

第9回はライフスタイリスト・大田由香梨の案内で、新たな生命を吹き込んだ江戸末期の日本家屋を訪ねた。



FUTOSHI OSAKO

田園地帯の一角に立つ長屋門を抜けると、庭にそびえる大きなダイオウマツの葉越しに、格式ある庄屋造りの大屋根が現れる。その土間から顔をのぞかせ、「いらっしゃい」とにこやかに小関裕太を出迎えたのは、この家の主人であり、ライフスタイリストとして活躍する大田由香梨だ。

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千葉にあるおよそ190年の歴史を持つ家と現代の暮らしを融合させたい。そんな思いから建築家・隈研吾に相談。3年の月日をかけて完成したのがこの「シラコノイエ」だ。

「隈さんとは、どんな対話をされたんですか?」と興味津々で問いかける小関裕太に、大田が答える。

「長年この家を守り続けてきた太い梁。そこにツバメがつくった巣が落ちないように土台を付けた跡がある。このように確実なものづくりの中に、なにげない日常と自然の移ろいが美しく循環している様子を、どうすれば自分たちの時代に見合う形へと転換できるか。造りや建材を一つ一つ確認しながら、隈さんと話し合いを重ねました」

<写真>圧倒的な存在感の大屋根が、雨や風、強い日差しから家と住む人の暮らしを守ってきた。

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できること、すべきことの気付きから全てが始まる

昭和期に増改築を重ねた部分は解体し、その奥から現れた江戸時代の名残を丁寧に補修。そこに現代の左官や和紙職人の技も交えて時代をつなぎ、調和の取れた空間へと仕上げていった。

<写真>長さ4.3mの巨大なカウンターの右にガスコンロ、左にかまどを設置。新旧のスタイルを組み合わせたキッチンでは、大田が食に関するイベントやワークショップを開催することも。

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<写真>離れを改修し、浴室に。バスタブは、自然の巨大な川石を切り出したものを使用している。

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外の景色を見ているだけで、時が過ぎるのを忘れてしまいます

<写真>庭を望む広い土間には、古材を用いたダイニングテーブルを設置。背後に見える障子には、職人の指導を受けて、大田自身がすいた和紙を設えた。

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土間から奥へと歩みを進めていった小関が「時代劇のセットで見たことはありますが、リアルに使われているものに触れるのは初めてです」と目を見張ったのが、キッチン脇に設けられたかまどだ。

「庭の木々を薪にして、かまどに焚べ、煮炊きをする。味噌や醤油も自家製ですし、食材はご近所からのお裾分けや近隣で採れたものばかり。東京に住んでいる時は気付かなかったけれど、ここにいると自分でできること、しなければいけないことがどんどん見えてくるんです」

<写真>かまどでの米炊きに初挑戦。息を吹き入れるたびに炎が赤く煌めく様子に感動する。

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<写真>かまどで炊き上げたごはん。ふっくらとした粒に、炊きたてならではの香りが広がる。

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四季の移ろいと共に花が咲き、果実が実り、葉を落とす。庭の手入れだけでも大仕事だが、体を動かすほどに心が満ちるのを実感するという。インフラが整った都会暮らしでは味わえない体験の中で、自身と向き合う時間を過ごし、さらなる暮らしの奥行きに気付く。

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<写真>「シラコノイエ」で過ごすようになって、お茶を点てるようになったという大田。現在は宗徧流で侘び茶を習っている。

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この「シラコノイエ」で過ごすたびに、感覚が鋭敏になり、集中力が高まったように感じる。風にそよぐ庭の木々を眺めながらそう話す大田に、「長い歴史を受け継いだいま、この家を通じて大田さんはこの先の世界に何を残したいと考えられていますか」と小関が問いかける。

「日々の家仕事の中で、花のつぼみが開く瞬間に立ち会ったり、旬の食材のおいしい調理法を発見したりする。そんな小さな出来事を通して、豊かさや幸せを繰り返し感じられることを、この家から伝えていければいいですね」

<写真>「庭の木はなんでもお茶の原料にできるんですよ」と語る大田が、小関を誘い、柿の木の葉を摘み始める。

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小関裕太が撮影した、意識の巡りがつくる必然の“間”

11月6日(金)発売の『エル・デコ』12月号には、この連載のために小関が撮影した写真を掲載。

「自然環境と家、室内に置いてあるもの、人の気配。隅々にまで意識が行き届いた暮らしの様子、全てのものに均整の取れた“間”が存在する様子を写し取りました」(小関)

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今号のオフショットも!

生後4カ月のアフガンハウンド、TAOとはまるで愛犬のような仲良しぶり。ふれあいの間、小関の笑顔もほころびっぱなし。

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小関裕太(Yuta Koseki)
1995年東京都生まれ。ドラマや映画、舞台などで活躍するほか、2024年にはフォトグラファーとしての作品集『LIKES』、25年には30歳を記念したアーカイブブック『Y』を発売。ドラマ『波うららかに、めおと日和』に出演中。

コート¥308,000 ニット¥72,600 パンツ¥168,300 ベルト¥39,600(参考色) シューズ¥129,800 /以上エンポリオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)

Photo : FUTOSHI OSAKO Text : HISASHI IKAI Styling : SATOSHI YOSHIMOTO Hair & Make-up : CHIKA HORIKAWA

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