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火薬1樽と若い男女50人を交換、西洋の商品目当てで入信する大名……。秀吉の「バテレン追放令」は残酷なのか。戦国時代の貿易とキリスト教布教の闇

  • 2026.11.5

*TOP画像/秀吉(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』42話(11月1日放送)より(C)NHK

 

『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は戦国時代における「キリスト教の布教」について見ていきましょう。

 

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▶南蛮貿易が始まった戦国時代。火薬一樽に対して差し出したのは……

戦国時代は貿易が盛ん。火薬と引き換えに売られた人も……

日本で戦国時代が始まった頃、ヨーロッパでは大航海時代が幕を開けていました。日本がヨーロッパとの貿易を本格的に始めたのは1543年です。1510年、インド・ゴアを占拠したポルトガルは南シナ海に進出し、マカオを拠点にアジア貿易を始めました。

 

1543年、ポルトガル人を乗せた中国船が種子島に漂着したことをきっかけに、南蛮貿易が始まりました。日本は銀や漆器などを輸出し、ヨーロッパからは鉄砲、火薬、毛織物などを、中国からは生糸や絹織物を主に輸入しました。

 

南蛮貿易はキリスト教(カトリック教会のキリスト教)の布教活動と密接に結びついており、商人は布教を認めた地域を中心に来航しました。このため、戦国大名の中には商品を売ってもらいたいがために、宣教師の布教を認める者、洗礼を受ける者もいました。

 

戦国大名が南蛮人との交易で手に入れた品々の中でも、特に高い価値を見出していたものの一つが火薬です。火薬の原料である硝石は当時の日本ではほとんど産出せず、南蛮貿易に頼るしかありませんでした。大名の中にはキリスト教の布教を認めただけでなく、火薬と引き換えに領民を奴隷として差し出す者もいたとされ、火薬一樽に対して50人程度の若い男女が相場だったともいわれています。

 

▶キリスト教徒に好意的だった秀吉が、バテレン追放令を発したのはなぜか

秀吉がキリスト教徒を追放した真相は?

日本にキリスト教がフランシスコ・ザビエルによって伝わったのは1549年のことです。このとき、織田信長は15歳頃、豊臣秀吉は12歳頃でした。

 

信長はキリシタンではなかったものの、キリスト教徒に好意的で、秀吉も当初はその政策を引き継いでいました。しかし、秀吉は九州平定後の1587年、伴天連追放令(バテレン追放令)を発し、宣教師に20日以内の国外退去を命じました。

 

秀吉が激怒した直接のきっかけは、キリシタン大名・大村純忠が長崎の土地を教会に寄付したことでした。加えて、九州に足を運んだ際、キリスト教が想像以上に勢力を拡大していることを知り、危機感を抱いたためです。

 

さらに秀吉は、南蛮人の目的がたんなる布教にとどまらず、“日本の植民地化にあるのではないか?”と心配していました。また、南蛮人が日本人の男女を安く買い取り、男を兵士に、女を奴隷にしていた事実にも強い怒りを覚えていました。

 

そうした中で、秀吉は伴天連追放令を出し、キリシタン大名には改宗を命じました。しかし、全大名が従ったわけではありません。高山右近は命令に背いて信仰を貫いたため、領地と財産をすべて没収されています。

 

▶宣教師たちが抱えていた任務とは

宣教師はスパイ活動もしていた?

16世紀、ポルトガル人やスペイン人は植民地拡大に力を注いでいました。彼らはターゲットの国をいきなり武力で攻撃するのではなく、“うちはこんなに珍しい品々を持っていますよ。ぜひ、貿易をしませんか?”と接近し、ヨーロッパの技術や宗教を教えるという建前で宣教師を送り込んで内部に入り込んでいきました。

 

キリスト教の宣教師は信心深く布教活動に専念する人物と思われがちです。しかし実際には、布教を名目に植民地化の候補地とする国の情報収集を行っていた側面も強かったのです。人口や富、軍事力、国民性などを現地の人々と交流しながら探っていました。

 

『豊臣兄弟!』の42話で、秀吉(池松壮亮)はキリスト教の信仰をつらぬく高山右近(市川知宏)に以下のとおり、南蛮人の植民地化の手口を説明していました。史実は下記の秀吉の台詞とおおむね重なります。

 

「南蛮人のやり口は決まっておる。まず バテレンを送り込んで 民を手なずけ 国を割る。キリシタンと そうでない者を争わせ 国が疲れ果てたところへ 軍勢を送り込み 丸ごと乗っ取るのだ。わしは 九州で目の当たりにした。日本人を奴隷として売る商人も 長崎をやつらに寄進した大名も 既にたぶらかされ 国を奪うための手駒となっておる」

 

秀吉の伴天連追放令について“自分の政策に邪魔だからキリスト教を排除した。ひどいやつだ”というネガティブな意見もありますが、秀吉は日本のため、国民のために、重い腰を上げたというのが真相です。

 

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<参考資料>

上念司『経済で読み解く 豊臣秀吉』ベストセラーズ、2018年

神谷宗幣『子供たちに伝えたい「本当の日本」』青林堂、2019年

三澤信也『日本史の謎は科学で解ける』PHP研究所、2014年

 

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