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リリー・フランキーが語る老人の性と純愛! 谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』の映画化作品が来夏全国公開へ

  • 2026.11.4
映画『Diary of a Mad Old Man』場面写真 width=
映画『Diary of a Mad Old Man』場面写真

谷崎潤一郎の最後の長編小説『瘋癲老人日記』を、現代の東京を舞台に映画化した『Diary of a Mad Old Man』が、2027年夏に全国公開されることが、第39回東京国際映画祭の舞台挨拶で発表された。あわせて、上映後に登壇したリリー・フランキー、斎藤工、ウェイン・ワン監督による舞台挨拶のレポートも到着した。

【写真】リリー・フランキーが倒錯した性欲を抱える老人を熱演! 『Diary of a Mad Old Man』場面写真

脳卒中で半身不随となった老人と、リハビリのために彼のもとを訪れる長男の妻との関係を描く本作。メガホンを取ったのは、中国人俳優を主要キャストに起用したハリウッド映画『ジョイ・ラック・クラブ』で興行的成功を収め、ハーヴェイ・カイテル主演の『スモーク』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したウェイン・ワン監督。主人公ウツギ役を『万引き家族』『ルノワール』などのリリー・フランキーが務め、『ブッダ・マウンテン』で第23回東京国際映画祭最優秀女優賞に輝いたファン・ビンビンが長男の妻スースー役、斎藤工が長男ジョウキチ役を演じる。

第39回東京国際映画祭では本作の上映後、リリー、斎藤、ワン監督が舞台あいさつに登壇した。息子の妻に倒錯した性欲を抱く老人の姿を描いた異色作ながら、上映を終えた会場は温かな拍手に包まれた。ワン監督は観客に感謝を伝えると、「明日(11月4日)は、リリーさんの誕生日なんです」と呼びかけ、客席からは祝福の拍手が沸き起こった。

63歳となるリリーは「イヤですね、どんどんジジイになっていくと、こう(=映画の中の主人公のように)なっていく…(苦笑)。(劇中で演じた主人公ウツギと違って)まだ俺はビンビンですから!」と語り、会場の爆笑を誘った。本作については、国際映画祭で賛否両論を巻き起こしていると明かし、「まさに俺と工くんが一番好きなタイプの映画です」とコメント。さらに、観客に向けて「『澱は底に溜まる』と言いますから、みなさん、似たような人だと思っています!」とユーモアを交えて語りかけた。

リリーとワン監督の出会いは、2016年公開の映画『女が眠る時』にさかのぼる。今回の企画について、リリーは「そもそも、ウェインから『“老人の性”をテーマにした映画を撮りたい』と10年ぐらい前から聞いていて、プロットを書くのを相談されていたんですけど、『いろんなアメリカの俳優に断られているから、もう、お前でいい』って言われて、『え? 俺、出るんだ?』と思いました(笑)」と振り返った。

これに対し、ワン監督は「断ったのは彼ら(=ハリウッドの俳優)じゃなくて、私のほうです。みなさん、マーロン・ブランドが(日本を舞台にした映画)『八月十五夜の茶屋』に出ていたのを覚えていますか? やはり、この映画に白人の男性が出演するのは、非常に違和感があると思うんです」と語り、リリーが第一候補だったことを強調した。

リリーはワン監督の言葉を受けて「紆余曲折あって、日本人と中国人(ファン・ビンビン)のキャストで、中国系アメリカ人のウェインが撮るアメリカ映画という、一番平和な成り立ちになりました。やはり『エロは世界をつなぐ』!」と、共に映画を製作することになった経緯を明かした。

さらに、リリーは本作で描かれる老人の“性”への執着についても言及。高齢者や障害者は性的欲望を持たないかのように振る舞うことを求められる社会の風潮を批判し、「でもそれは、若い人たちや健常で生きている人たちのエゴであって。実際はそんなわけないじゃないですか。公園でボーっとしているおじいさんは、ママのケツを見ているわけですから」と、ユーモアと皮肉を交えて語った。

リリーは本作の“意義”について、従来の日本映画で描かれてきた“息子の嫁に手を出す老人”とは異なり、ワン監督の人柄が反映されたポップな仕上がりになっていると説明。カナダでの上映では観客が大笑いしていたことに驚いたと明かしつつ、「でも、最終的に“いとおかし”というような、悲しさもあり、純愛が描かれている。最高の“推し活映画”ですよね」としみじみと語り、斎藤も「純愛だと思います」と深く同意した。

リリーによると、ワン監督の撮影現場では、当初の台本にないことが次々と起きたという。この日、話題に上がったのは、うなぎを使ったある変態的なシーン。リリーは「撮影の中盤、監督から『リリー、相談がある』と言われて。聞くと『この映画はこのまま撮影すると、ただの“良い映画”になってしまう』と悩んでいて、『それじゃダメなの?』と(笑)。その結果、優秀なスタッフのおかげで、3日後にはうなぎが(現場に)来ていました」と振り返った。

斎藤は、改めてワン監督の撮影現場について「リリーさんがおっしゃるように、額面どおりに台本に書かれていることに沿って、用意して現場に行くという作品ではないんだな、というのは、現場の雰囲気からしてありました。どう転んでも、そこに寄り添うという好奇心みたいなものにあふれている現場だったなと思います」と述懐した。

これを受け、ワン監督は「もちろん脚本というのは大切な映画の土台だと思います。ですけど、台本通りになってしまいますと、やっぱりつまらなくなってしまいます。特にお2人のような素晴らしい俳優さん、そしてビンビンさんのような素晴らしい女優さんと仕事をしている時はそうです。ですから、台本通りに撮ることもありますし、そうでない時には、やはりうなぎのシーンを撮るわけです」とユーモアたっぷりに語った。

リリーは、ファン・ビンビンとの共演についても「彼女がいると、華やかで撮影時から“映画”にしてくれるんです。朗らかで明るくて、お芝居に対して真摯な方」と絶賛。さらに、「僕が足を舐めるシーンがありますが、彼女、すごく丁寧な方で、直前までフランス人のペディキュアの技術者を呼んで、足のメンテナンスをしてくれていました」と、舞台挨拶の終了時間が迫る中でも次々と撮影現場でのエピソードを披露し、会場を盛り上げた。

映画『Diary of a Mad Old Man(原題)』は、2027年夏に全国公開。

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