1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 【コツは「加点方式」】わが子の言語化力を伸ばす親がやっているこれだけの習慣

【コツは「加点方式」】わが子の言語化力を伸ばす親がやっているこれだけの習慣

  • 2026.11.4
cocreco口に出して夢を語ると叶いやすくなる。 写真:Zoey/イメージマート

言葉の数を増やし、具体的に話せるようになったら、最後に身につけるべきは、「相手に届く伝え方」です。

子どもが自分の気持ちや考えを言葉にできるようになると、行動や選択に一貫性が生まれ、夢や目標に近づきやすくなります。

親のポジティブな言葉がけや日常の関わり方を通して、子どもの「伝える力」を伸ばすコツを、引き続き文章の専門家・山口拓朗(やまぐちたくろう)先生にうかがいます(全3回の第3回)。

言語化できると夢が叶いやすくなる

言葉には「言霊」といって、発した言葉どおりの結果をもたらす不思議な力があると信じられています。

「普段から『うれしい』『幸せ』などポジティブな言葉が飛び交う中にいれば前向きに、恨みや妬みなどネガティブな言葉を口にしていると、悪い結果を招くといわれています。

自分が発する言葉を、誰よりも近くで聞いているのは自分自身です。

自分に対してどんな言葉を日常的に使うかが、『なりたい自分』をつくり、その人を動かすエンジンになっているといえます。

日ごろから夢や目標を口にしていれば、脳はそれらを叶えるために必要な情報をキャッチしようと、自然とアンテナを張るようになります。脳が意図的にフィルターをかけ、不要な情報をカットして必要な情報だけを吸収していきます。その結果、夢が実現する確率が高まっていくのです。

夢は書き出して、書いたものを何度も見返すこと、さらに音読することによってアンテナの感度が高まり、より強く記憶に残すことができます。すると、行動も伴って夢が叶いやすくなるのです。

もし、お子さんが何かを『やりたい』といい出したら、それは夢実現への第一歩です。言葉で人に伝え続けることで、情報をくれたり協力してくれたりする人が現れて、夢に近づくスピードが一気に速まります」(山口先生)

子どもの夢を応援するときの親の在り方

山口先生は、わが子の夢を応援するときの親の注意点にも言及します。

「親御さんはお子さんの小さな『やりたい』を『そんなのできっこないよ』などと否定せずに受け止めて、ポジティブな言葉がけをしてあげてください。『それはいいね。チャレンジしてみよう!』という具合です。

お子さんは『応援してもらえる』という安心感を得ることで、自分の気持ちを恐れずに外に出せるようになります。

このとき、親御さんが変に口や手を出しすぎないことが大切です。お子さんのやりたいようにやらせつつ、もし何か聞かれたら答える程度の関わりにしておきます。

『子どもに失敗させたくない』からといって、先回りしてレールを敷いてはいけません。たとえ失敗するとわかっていても、いったんはわが子の思うようにさせてみるのです。

親からの応援という安心感を糧に、お子さんは自分の言動に責任を持つようになり、それがやがて自信につながっていきます。

自分で決めたことであれば、結果が成功であれ失敗であれ、納得できるものです。そうした『自責』の経験を積ませることで、お子さんの自立心が育っていきます」(山口先生)

「減点でなく加点方式」でわが子を見守る親に

子どもの良いところを見つけたら、どんな小さなことでも構わないのでどんどん褒めることも大切だ、と山口先生は加えます。

「なんでもかんでも褒めると調子に乗って逆効果なのでは、と疑念を持つ親御さんもいるでしょう。

しかし、お子さんには、まずは心の扉を開いてもらうために、『へえ、すごいね』『天才!』『完璧』などと、全肯定した声かけをしてあげてください。

その上で、お子さんの行為のどんなことがすごかったのか、どんなところが天才だと思うのかを具体的に伝えていきます。

具体的に伝えるには、親御さんの観察力が必要です。

『字が上手に書けているね』『絵の色使いがきれいだね』『しっかりとした線が描けているね』など、ほんの小さなことでも良いと思ったところを褒めてあげてください。

『もっとこうすればいいのに』と、欠点に目が向く減点方式になりがちですが、親御さんにオススメしたいのは、『できたことを積み上げる』加点方式の接し方です。

いつも褒められて育ったお子さんは、自信を持っていろいろなことに取り組めるようになります」(山口先生)

子どもが話す意欲を削ぐ親の対応

一番避けたいのは、子どもの「今、伝えたい!」という意欲を削ぐ行為だと、山口先生は警鐘を鳴らします。

「言語化の意欲は鮮度が命です。子どもは『今』いいたいので、親が『忙しいからあとでね』とあと回しにすると、お子さんの言語化するチャンスを奪ってしまいます。

お子さんがいいたいと思ったときに話に耳を傾けてあげると、いつでも親が聞いてくれることに安心して、学校で嫌なことがあったなどのいい出しづらいことも伝えてくれるようになります」(山口先生)

普段から聞いてもらえる状態でないと、子どもは話すきっかけを失い、親に相談する習慣がなくなっていきます。それどころかいってはいけないと思い込み、本当に困ったときに誰にも打ち明けられなくなってしまいます。

親は子どもが安心して話せるよう、質問上手・褒め上手になって、子どもの伝える力を育てていきましょう。

気持ちを言葉にした先にやってくる未来

人は自分にないものを他人に与えることができません。

普段から褒められたり、ポジティブな言葉をかけられたりして、親の愛情を受け取って育った子どもは、友だちの良いところを見つけて褒めるということが自然にできます。

「環境は人を育てます。親子の対話から始まる優しさの連鎖は、お子さんが接する友だちにも同じように伝播していき、大きな社会の輪へと広がっていきます。望む世界は言葉で作り出すことができるのです。

また、第2回でお伝えした『ことば遊び』のゲームは、目と耳と頭を使って考え、手をたたいたり身体を動かしてジェスチャーをしたりする体験です。これらは、感情や想像力と深く結びつき、記憶に刻まれていきます。

日ごろゲームに夢中なお子さんでも、家族や友だちとやり取りしながらドキドキワクワクが味わえる『ことば遊び』の楽しさを感じてくれるでしょう」(山口先生)

cocreco「ことば遊びゲーム」は3歳の子どもでも楽しめる。画像は、「ことば遊びゲーム」で遊ぶ山口先生のご家族(お孫さんと) 写真:山口拓朗氏提供

AI時代に必要になってくる「言語化力」

この先AIはもっと日常に入り込んできて、人の悩みに答えたり課題を解決したりする流れは進んでいくと予測されます。

「AIを使いこなすにも、『何をどう伝えたらいいか』という言語化力が欠かせません。ですから、小学生という早い段階から言語化力を高めておくことは、大きなアドバンテージになります。

自分の言葉で考えや気持ちを表現できるようになったお子さんは、積極的に行動できるようになり、周りからの信頼も勝ち取れるようになっていきます。

お子さんの言語化力が高いほど、周りの人や環境に左右されず、自分の力で幸せをつかみ取ることができるのです」(山口先生)

忙しい毎日の中で、子どもの話にじっくり耳を傾けてつき合うことは、根気がいるかもしれません。しかし、長期的にみれば、わが子が大人になってから人間関係のトラブルを回避できるなどのリスクを下げることにつながります。

大人が楽しそうに話しているのを見れば、子どもは「話すことは楽しい」と学び、親子の会話の中から、話して伝える楽しさを見出すことでしょう。

自分の言葉で未来を切り拓く土台を作れるのは、親御さんのもとで過ごす今この瞬間だけです。「ことば遊び」を通じて、親子で楽しみながら「一生モノのスキル」を磨いてみてはいかがでしょうか。

取材・文/石牟礼ともよ

─◆─◆─◆─◆─◆─◆─

◆山口 拓朗(やまぐち たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を経て独立。29年間で3800件以上の取材・執筆歴がある。現在は文章の書き方や伝え方など言語化やアウトプットの分野で、実践的なノウハウをセミナーやメディアを通して提供。NHK「あさイチ」ほかメディア出演多数。著書は『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)など、国内外で60冊以上がある。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ