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まだ間に合う! 豊穣たる異国からの宝物に大人女子がときめく――第78回 正倉院展への誘い

  • 2026.11.2

まだ間に合う! 豊穣たる異国からの宝物に大人女子がときめく――第78回 正倉院展への誘い

奈良・正倉院の宝物が並ぶ「第78回 正倉院展」(主催・奈良国立博物館、特別協力・読売新聞社)が奈良市の奈良国立博物館で開催中です。

その美しいラインをなでてみたい。球体の水差し

その水差しは、ぷっくりとした球体の胴を持っている。そこから細長い首と小さな水鳥の頭が伸びているが、アンバランスなほどにその胴の張りが目に飛び込む。

じっと眺めていると、この完璧なほど丸いラインをなでてみたいという気持ちがふつふつとわいてくる。

この水差しは、今回展示会のメインビジュアルにもなっている「漆胡瓶(しっこへい)」、聖武天皇の遺愛品とのことだ。天皇自ら水を注ぐことは無かっただろうが、水を注ぐ度に、目に入るこの胴を愛でていたのではなかろうか。

この時代の多くの水差しは胴がしずく形になっていることが多いらしく、このような球体状のものは異例だそうだと、会場となった奈良国立博物館館長の井上洋一氏が語られていた。「第78回 正倉院展」報道内覧会での出来事である。

確かに、同時に展示されている「白瑠璃瓶(はくるりのへい)」というガラス製の水差しは、しずく形をしている。たっぷり水が入って安定性も高そうだ。

豊かな国ペルシアからシルクロードをわたってきた異国の美

ではなぜこのような形に。この水差しは木製で、表面は漆塗りによる、山、草花、鳥、蝶、鹿などの文様が「平脱」という技法で貼られている。文様が丸い胴上で迫力を感じるようにしているのかもしれない。

本作は、サーサーン調ペルシアで制作され、唐を経て日本に伝来したようだが、ペルシアの名工の手によるものだろうか。きっと彼の地では人だけでなく、鳥や動物たちも豊かに暮らしていたのであろう。私にはこの水瓶が水鳥の姿をした女神の化身のようにすら見えてきた。もちろん妄想である。

しかも、この不安定な形のままでシルクロードの長旅を経てきたとは、驚嘆だ。ああそれにしても、なでてみたい、愛でてみたい。私はこの水瓶の前からしばらく動けなかった。

本展では、このほかキラキラと輝く象牙製の紅と紺の地に鳥を配した優美な碁石である「紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)」、「紺牙撥鏤碁子(こんげばちるのきし)」や、透かし彫りの文様が優美で、数多くの鈴が配された華麗な金銅製の幟旗「金銅幡(こんどうのばん)」などが出品されている。

大人女子の胸がときめくものばかりで、見終わった後まで浮き浮きと遥かなペルシアの国を心で思い描いていた。まだ見ぬ世界に心豊かになる、一度は足を運んでいただきたい憧れの展示であることは間違いない。

そうそう音声サービスでは、アニメ『薬屋のひとりごと』で主人公猫猫の声を担当している声優の悠木碧さんがナビゲーターを務められている。アニメのヒロインを思わせる悠木さん声で聴く解説は、耳に優しく、しかも異国情緒が高まるので、ぜひ音声ガイドを利用されることもおすすめである。

第 78 回 正倉院展

会期:11月9日まで(会期中無休)
会場:奈良国立博物館
事前予約が必要な日時指定入場制。日時指定券はローソンチケットなどで販売。

※詳細は下記にてご確認ください。
奈良国立博物館公式ウェブサイト https://www.narahaku.go.jp/
正倉院展公式ホームページ https://www.shosoin-ten.jp/

写真提供/宮内庁正倉院事務所

執筆/野上千夏(Capypaland)

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