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Snow Man 向井康二さんインタビュー「苦労はあったほうが強い。『がむしゃら』も絶対に一回やったほうがいい」

  • 2026.10.31

お芝居は夢に見るほど役に没入してしまう

撮影中自らアイデアを出しながら、次々と見事なポージングを決めてくれた向井康二さん。「ファッション誌が好きでよく見る」という言葉通り、服のデザインの特徴や空気感を素早く捉えると、指先にまで神経を行き届かせ、その服がもっとも映える世界観をつくり出していく。そんな向井さんの近年の活躍を語るなら、欠かせないのは群を抜いた「切なさ」の表現だろう。

映画『(LOVE SONG)』のカイ役や、金曜ドラマ『フェイクマミー』(TBS系)の黒木竜馬役で見せたのは、言葉に頼らないふとした目線や沈黙の表情。感情をあえて抑えた繊細な演技に引き込まれたというファンは多い。また、バラード曲で見せる儚げな表情や余韻を残すダンスも彼の「切なさ」を際立たせる要素だ。その役づくりについて尋ねると「これ、ファンの方は心配しないでほしいんだけど」と前置きしながら、彼自身の内側を明かしてくれた。

「どの作品でもそうなのですが、たとえば『(LOVE SONG)』なら(森崎)ウィンくんを、『フェイクマミー』なら波瑠さんのことを、撮影中は本当に好きになっているんです。終わると不思議とスッと切れるのですが、とにかく撮影期間中は夢にも出てくるくらいずっと考えている。だからそれが演技としてナチュラルに出ているならうれしいです。

ただ表現としてはまだまだで、セリフを覚えるのは当然として、それをどう言うかのプランを僕はまだ持っていなくて。マネージャーさんに動画を撮ってもらって自分で表情を確認することもありますが、現場で感じたことを自分なりに表現して、監督さんに調整してもらう……という感じですね」

役に没入するあまり、泣く演出がないシーンでも涙が出てきてしまったり、同じ期間にアイドルの仕事があると「感情がぐちゃぐちゃになってしまう」という向井さんのお芝居は、自身の心を丸ごと動かしているから、私たちの胸に迫るものがあるのかもしれない。

繊細な演技も話題。ドラマ『いろはの恋は時代をかける』の見どころは?

そんな向井さんが新たに取り組んでいるのは、現在放送中の火曜ドラマ『いろはの恋は時代をかける』(TBS系)。演じるのは、やることなすことすべてが裏目に出てしまう不運な男、一ノ瀬生琉。

「生琉は小学校教師で、アンラッキーすぎて人生を楽しめていない人。『もういいや』と思っていたときに、江戸時代からタイムスリップしてきた、いろは(上白石萌音さん)に出会うんです。そこから生琉も少しずつ変わって……というラブコメディです」

生琉の魅力は「とにかく一生懸命なところ」。それはそのまま等身大の向井さん自身にも重なりそうだが……。

「確かに、今は一生懸命です! 生琉は今までに演じたことのないキャラクターなので、『やりたい!』と思う反面、『できるかな?』という不安も大きくて。撮影が始まっている今は、素晴らしいお芝居をする萌音さんに助けてもらいながら必死に取り組んでいます」

役者としてのキャリアを着実に重ねる向井さんの「切ない男」が、今作で再び見られることはあるのか、期待が高まる。

30代になって少しずつ余裕が出てきたかも

自然体の佇まいの中に、丁寧なライフスタイルやパフォーマンスへのストイックな姿勢、優しい人柄が滲み出る向井康二さん。その美しさを紐解く心と身体の整え方にフォーカス!

バラエティ番組での明るいキャラクターから、一見のびのびとして無邪気に見える向井さんだが、実は「徹底的に準備する人」としても知られる。

「台本はアホみたいに読み込みます。昔から、ドラマにせよバラエティにせよ、人の何倍もやらないと覚えられない。ダンスや歌も、気を抜いたらメンバーには追いつけないからね。だからたくさん準備して臨むんだけど、それでも本番で100%うまくいくことはほとんどない。今でもよく落ち込むし、反省もします。ただ最近は80%くらいを目指すほうが、ガチガチになりすぎず、逆にうまくいくことが多いのに気がつきました」

2006年の入所後、約13年間にわたる関西ジュニア時代には、ユニットの解散やメンバー変更を経験、アイドルを辞めることを本気で考えたこともあるという。それでも持ち続けたハングリー精神とストイックに磨き続けたスキルが今の彼を形づくっている。

「苦労はあったほうが強いな、とは思います。『がむしゃら』も絶対に一回やったほうがいい。それでなんとかなることもたくさんあるから。20代は僕も必死やったからね、なかなか余裕はなかったです。今年の6月で32歳になったのですが、ようやく少し落ち着いてきました。いろいろなお仕事を経験させていただいて、最近は『空回り』も減ってきたし、『今ははしゃがない』『ここは一歩引こう』なんて、僕なりに見極めて振る舞えるようにもなってきました」

もともと「優しい」と言われる向井さんだが、「余裕」を手に入れたことで、まとう雰囲気はさらに柔らかくなったようだ。

「そうね、人に優しくしたいなとは思っています。それは、2025年に出演した映画『(LOVE SONG)』や、タイで放送されたドラマ『Dating Game~口説いてもいいですか、ボス!?~』で、タイの方とたくさんお仕事したことが大きいかな。僕はタイ生まれで、子どもの頃に暮らしていたこともあるのですが、本当に優しい人が多くて。たとえ現場でなにかトラブルが起こっても、みんな絶対に怒らない。

そんな姿を間近で見ていたら、自分ももっと優しくなりたいなって。仕事でもなんでも、『この人がやってくれたらいいのに』『もっと頑張ってくれたらいいのに』なんて思うことがありますよね? でもそれ、違うんですよ! その人はその人なりの100%をもう出してるの。人によってキャパシティは違うから、自分の基準では考えないほうがいい。イライラするなら、それは自分に向ける。それでストレスが溜まったら、趣味のゴルフや、最近はテニスなんかで発散。タイでの経験から、最近はそう考えていますね」

ストイックさも苦労も優しさも、決してひけらかすことなく、自分のなかでそっと重ねていくのが向井さん。本人は「いやいや、もちろん、見返りは求めていますよ(笑)」と茶化すけれど、私たちが向井さんに「切なさ」を感じるのは、その穏やかな表情の下に、苦悩や努力を決して感じさせまいとする、凛とした決意を感じるからかもしれない。それでは、向井さん自身は「切なさ」についてどう感じているのだろう。

「なんやろうね、『切ない』って。わからないけど、みんないつかは死ぬからね。だから僕はとりあえず毎日一生懸命やって、思ったことは言葉にして伝えて、そうしながら自分も何かを探してるんじゃないかと思いますね。それが『切なさ』につながっているのかはやっぱりわからないけど……」

そういえば、瞬間を表す「刹那」と「切ない」は似た響きを持っている。どんな瞬間も全力の向井さんに「切なさ」を感じるのは、あるいはそんな所以もあるかもしれない。

今の向井さんが目指すのは、誰もが親しみを感じる「お茶の間のアイドル」。実際、向井さんがバラエティ番組で演じるヒーローキャラクター「マッサマン」は大人のみならず、子どもたちの間でも大人気!

「マッサマンはひたすら一生懸命やっていて、失敗してもわざとじゃないことが伝わるから、子どもたちにも好かれているんだと思う。最初は想定外の反響に驚いたけど、もう4年かな。昨日一緒に仕事をした小学生はみんな僕を『コージ』呼び。(笑)子どもたちが自分と対等だと思ってきてくれるのはうれしいし、僕の強みかもしれないね。僕は特別にあれをしたいこれをしたいはないんだけど、しいて言えば、みんながいいと思うことをやれているならば僕もポジティブでいられる。ベースには『人に好かれたい、愛されたい』があるから、喜んでもらえるのがうれしいんです」

PROFILE KOJI MUKAI

1994年生まれ、奈良県出身。関西ジュニアの中心として活躍後、2019年にSnow Manに加入し、2020年CDデビュー。バラエティ力を多数の人気番組で発揮しつつ、俳優としても主演映画『(LOVE SONG)』をはじめ高い評価を受けている。自身のYouTubeチャンネル『ハマちゃんとコージのお上手です!』も話題に。

撮影/後藤啓太(W) ヘアメイク/三浦由美(jouer international) スタイリング/三浦玄 取材・文/小川聖子

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