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【手に入れたい名品バッグ】クラシックで新しい「ディオール シガール」に注目

  • 2026.10.31
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手にするたびに高揚感に満ち、自信をくれる。私たちが信頼を置くブランドの名品は、改めてその歴史に触れることで一層愛着が湧いてきます。ファッション論が専門の平芳裕子教授とともに振り返る本連載。今月は「ディオール」の名品たる所以を紐解きます。

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Dior(ディオール)

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伝統を時代にフィットさせて継承していく
クラシックで新しい「ディオール シガール」

アーティスティック・ディレクターのジョナサン・アンダーソン自身が「ファッションの歴史の中でも特にお気に入りのドレス」と語る「ラ シガール」の彫刻的なシルエットから着想を得た、きゅっと結んだリボンが可憐な印象の新作バッグ。ハンドル部分のアイレットを“Dior”の“o”に見立てた、さりげない遊び心にも気持ちが上がります。バッグ「ディオール シガール」[H18×W28×D8cm]¥740,000(ディオール)

 

戦後の復興期にデビュー、 世界に衝撃を与えた ムッシュ ディオール。 心ときめくエレガンスは、 今なお受け継がれている

2月に代官山に新たなコンセプトストア「ディオール バンブー パビリオン」がオープン。建築、インテリア、庭園、商品のラインナップ…、日本のアーティストが携わり、世界各国で催してきた展覧会の集大成のようなエレガントな世界観は大きな話題となりました。フランスのブランドでありながら、早くから国外に進出。その国の伝統文化を大事にしながら新しいデザイン、ストーリーを紡いでいくという理念は、「ディオール」誕生の頃から現在まで受け継がれています。
1905年、裕福な家庭に生まれた創設者のクリスチャン・ディオールは最初、外交官を志して政治を学んでいました。エリート街道を進みながら、芸術的なセンスも持っていたディオールは、シュルレアリスム(超現実主義)の画家サルバドール・ダリや、詩人ジャン・コクトーらと交流があり、パリで画廊をオープンします。世界恐慌によって画廊を閉じた後、イラストレーションやデザイン画を描き始め、それが当時のフランスのオートクチュールデザイナーたちから評価されていきます。
1930年代後半にはオートクチュールのアトリエで働き出し、いくつかのメゾンでデザイナーとして活躍。そして、1946年についに自分のメゾンを持つことになりました。「ディオール」の誕生です。クリスチャン・ディオールが自身のメゾンで活躍していたのは、この世を去るまでの10年ほど。この短い期間に歴史に残るような数々の新しいファッションを世の中に打ち出し、優美なシルエットやモチーフは今の時代に確かに受け継がれています。その代表が、1947年に発表された革命的なファッション、「ニュールック」です。柔らかな丸みを帯びた肩、ウエストがきゅっと絞られ、膨らんだヒップからなだらかに落ちていく花冠のようなラインの象徴的なシルエットは多くのメディアで取り上げられ、新しいファッションとして女性たちの心を摑みました。第二次世界大戦終結から2年しか経っていない1947年は戦後の復興期でまだまだ生活が厳しい時代。ファッションジャーナリストでさえ物資制限の影響により、直線的で実用的な軍服のような格好をしていた当時、質素な装いから一転、たっぷりと生地を使って女性の曲線美を強調したエレガントなシルエットは世界中に衝撃を与えました。

機能性を求めて工夫を凝らしてきた20世紀の流れに対して、18世紀の優美なラインを思わせる懐古的なムードを纏った「ニュールック」は、ファッションの豊かさを思い出させてくれるものとして多くの人に受け入れられたのです。ディオールは今の時代も尚、ファッションの豊穣性、エレガンスを常に思い起こさせてくれる存在だと思います。
当時の『ハーパーズ・バザー』編集長カーメル・スノウが「新しいルック(New Look)!」と絶賛したことからその名がついたと言われる「ニュールック」以降も、クリスチャン・ディオールは色々なシルエットを生み出して新しい流行を作り出していきます。Aライン、Hライン、Yラインなど、アルファベットに見立てたシルエットをコレクションごとに打ち出し、スカートの長さをコレクションによって変化。“はさみの魔術師”と言われたクリスチャン・ディオールがはさみを持った肖像画が『TIME』の表紙になったことも話題に。当時、「ディオールのスカートの長さが今年の流行」と言われるほど女性たちの関心を集めました。そして、史上初、パリのオートクチュールとして日本に進出。高級既製服がまだない時代、西洋のファッションと言えばディオールというイメージが定着するほど人気を博します。
その後、1952年にディオールを代表する象徴的なドレスを発表。構築的なシルエットに、ウエストの最も細い部分に共布で作られたノット状の繊細なリボンがあしらわれた「ラ シガール」は現在のアーティスティック・ディレクターであるジョナサン・アンダーソンによって発表されたバッグ「ディオール シガール」のデザインに継承されています。ニュールックに通じるシルエットでスカート丈をミニにしたりと、ムッシュのデザインを彷彿とさせつつ、現代風にフィットしたデザインに落とし込んでいくバランスが見事なジョナサン。メンズ、ウィメンズ、オートクチュール、アクセサリーのクリエイションを統括、ムッシュ ディオール以来となる、ファッションのすべてのカテゴリーを一人のデザイナーが統括する体制を確立したことも大きな話題に。ウィメンズとメンズのファッションを総合的にアップデートする彼の新しいエレガンスに注目しています。

実用性だけではない ファッションの豊かさ、 優美さを常に思い起こさせてくれる

ムッシュ ディオール
New York Daily News/Getty Images

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ⒸAssociation WillyMaywaldADAGP, Paris, 2026

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神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授平芳裕子先生

撮影/山口恵史 スタイリング/坂野陽子 取材・文/北山えいみ 編集/城田繭子
*VERY2026年6月号『平芳裕子先生と「読むラグジュアリー」』より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品は販売終了している場合がございます。

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