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「絶対に塾へ行かない」中学受験直前期に叫んだ娘とスーパー銭湯へ! 「中受伴走パパ」の神対応とは

  • 2026.10.30
cocreco写真:アフロ

中学受験の「伴走」は、宿題の管理や苦手科目の克服、志望校選びなど、親が「やらなくてはならないこと」がたくさんあります。

けれど、そのハードな毎日のなかに、子どもと一緒だからこその楽しさを見つけていたお父さんがいます。

今回お話を伺ったのは、長女の中学受験を終えた山田さん(仮名)ご夫妻。お父さんは教材整理から学校説明会、過去問のコピーまで、さまざまな場面で娘さんを支えてきました。

もちろん、いつも穏やかに過ごせたわけではありません。成績が振るわず、転塾をめぐってご夫婦でぶつかったことも。受験直前には、娘さんが「塾に行きたくない」と訴えた日もありました。

そんなご家族が、最後まで大切にしたこととは何だったのでしょうか。

佐野倫子(さの・みちこ)

東京生まれ、早稲田大学卒。現在、東京大学大学院情報学環教育部在学中。航空業界・出版社勤務を経て作家・教育ジャーナリストに。おもな著書に『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)。2人の男の子の母。現在中受伴走2周目中。

教材整理を頼まれたら、いつの間にか学校選びにも夢中に

──中学受験を考え始めたきっかけを教えてください。

山田母:3年生になった時点で「中学受験、やってみようかな?」と考え、私がこれからの受験について調べ始めたのが始まりです。娘は少々おっちょこちょいだけれど、本を読むことや科学が大好き。

一方で学校では忘れ物をしたり、不器用なところもあって、うまく評定をとれない可能性があると思い、それが重要視される高校受験を危惧していました。とにかく本人に合う環境を探してあげたいという思いがありました。

そこで、「高校受験ではなく、中学受験をしてみよう」と思い、中受伴走経験のある知人ママに勧められ、SAPIXの入塾テストを受けたのですが、最初は不合格。次のテストでギリギリ合格して、新4年生から通い始めました。

cocreco写真:milatas/イメージマート

──お父さんのほうは、最初から伴走に積極的だったのですか?

山田父:はい、私は自分で言うのもなんですが、積極的に伴走していましたね。例えば、SAPIXは毎週、紙の教材を持ち帰ってくるのですが、私がその整理担当をしていました。SNSで整え方を調べて、無印良品や100均で収納用品を購入し、教科や週ごとに分けたりして。

また入塾してからすぐ、中学校についても調べ始めて、資料を取り寄せたり、オンライン説明会に参加したり。そうこうしているうちに、どんどん伴走が面白くなってきたんです。

山田母:パパと娘で説明会に何度も行っていましたね。私より行っているかも。パパはもともと人のお世話をするのが大好きなんです(笑)。ちょうど仕事が落ち着いていた時期でもあって、いろいろ任せていました。

──お父さんがサポートの中心というご家庭はさほど多くはない印象ですが、父と娘、とてもいい距離感ですね!

山田父:勉強では、とにかくできたことに対して「いいね」「頑張ったね」と声をかけるようにしていました。4年生のころなら、私も質問に答えられましたし、時間のあるときに宿題をのぞいたり、週に何度か中身を確認したりしていましたね。

山田母:塾がはじまってしばらくして、夫は大きなホワイトボードを買ってきて、仕事から帰ると夜のうちに翌日やる宿題を書いてくれていました。朝、娘が起きたら、それを見て取りかかっていましたね。

──指示した課題や宿題は順調に終わっていましたか。

山田父:いえ、量が多くて、全部はできていませんでした。SNSで塾の先生の発信などを見るうちに、やりきれないこともあるのだと知って。全部できないからといって、追い詰めないようにはしていました。

転塾をめぐって衝突! 「まだ勝負できる」と夫婦でほっとした

──5年生の後半に転塾を決めたそうですが、どのような思いからですか?

山田母:5年生になると「わからない」がどんどん増えていって……。算数の組分けテストで5点を取ったこともありました。このままでは、受験をやめるか、塾を変えるかだと思ったんです。でも、それまでおもに伴走していたのは夫ですから、私が途中から口を出す形になり、相当ぶつかりました。

山田父:それまで自分がやってきたところにガツンと言われて、素直に受け止められないところはありましたね。

山田母:それでも説得して、「一度他塾のテストを受けてみよう」と、早稲田アカデミーへ行きました。するとある程度の点数が取れて、二人ともすごくほっとしたんです。「まだうちの子、戦えるね」って。本人も早稲アカの雰囲気が気に入り、5年生の秋に転塾しました。

cocreco写真:beauty_box/イメージマート

山田父:転塾後は、本人のやる気も上がりましたね。先生からの面談や電話でのやり取りも多く、私たちにはその熱心さが合っていたのだと思います。家から近くなり、通いやすくなったこともよかったですね。

山田母:ただ、転塾ですべて解決したわけではありません。6年生になっても算数の基礎は弱いままでした。そこで算数対策に早稲アカの個別指導を加え、重点的に勉強をしました。家でも、間違えた問題の解き直しを朝の短い時間に続けるようにしました。

山田父:テストの見直しでは、できなかった問題を拾い出していました。娘と「よーい、どん」で、一緒に問題を解くこともありましたね。ちなみに私のほうが解けなかったです(笑)。

山田母:そう、パパのほうが負けるんです。合不合のテストも娘と一緒にやっては、「俺、10点だったわ」って(笑)。でも一緒に取り組んでくれるのはありがたかったですね。

「絶対に塾に行きたくない」 その日は、家族でスーパー銭湯に出かけた

──6年生は、かなり忙しい毎日だったのではないでしょうか。

山田母:集団塾に個別指導、記述の対策、土曜のテスト、日曜の特訓と、毎日予定が詰まっていました。6年生の秋からは、毎週日曜日に四谷大塚の志望校対策にも通いました。

第一志望校の対策コースだったのですが、毎週ついていくのが大変で、本人が嫌になってしまったんです。「わからない、できない」って。11月ごろだったと思いますが、朝、「行きたくない! 今日は絶対に行きたくない」となった日があって。

普段、そんなことを言う子じゃないので、この日は「もう休んで気分転換したほうがいいね」と夫婦で意見が一致し、塾を休んで家族全員でスーパー銭湯へ行きました。「今日はもうリフレッシュしちゃおう!」って。

今まで娘が毎日がんばる姿をみているし、1日ぐらいいいやと思って。あと、今日無理させると「受験やめる!」となるのではと心配したからです。

cocreco写真:mapo/イメージマート

──お父さんは、そういうときも受け止めてくださるのですか?

山田母:基本的にパパのほうが無理させないですね。「体調優先」といつも言っていて。それでこの日も「パパに聞いてみて」と言うと、「うん、行かなくていい。気分転換しよう」となりました。

──お二人の意見が合わないことも、もちろんあったのですよね。

山田母:ありました。喧嘩もたくさんしました。でも喧嘩したまま日を跨がないようにはしていました。私から「さっきはごめんね! 謝ったんだからそっちも謝ってよ!」と喧嘩口調で(笑)、その日のうちにお互い謝るようにしていましたね(笑)。

山田父:無理をしすぎて娘の心に傷を負わせたりしないように、そこだけは注意していました。ママのほうは無理をさせるので(笑)。「今日疲れた」と言う日は、塾もオンライン授業に切り替えて参加させたりもしました。とにかく娘が「無理なく続ける」というのを一番に考えていましたね。

たくさん見学したからこそ、最後に出合った学校のよさがわかった

cocreco写真:graphica/イメージマート

──学校選びにも、とても時間をかけたと伺いました。説明会や文化祭にたくさん足を運んだメリットはどんなものでしたか?

山田母:特に5年生の9月・10月は毎週末、文化祭や説明会へ行きました。文化祭をはしごしたこともあります(笑)。あと夫婦で手分けをして参加して、感想を言い合ったり。

「その時間に勉強させればよかった」とは思いません。いろいろ見たからこそ、学校ごとの違いや、娘に合いそうなところがわかってきました。

一方で、今通っている学校の説明会に行ったのは、6年生の秋でした。というのも、足を運べていなかったから気になっていて、急遽ナイト説明会に滑り込んだんです。

忙しい時期だったけど、本当に行ってよかった。学校説明がとてもわかりやすく、校長先生のお話も素晴らしかった。たくさんの学校を見てきたからこそ、短い時間でこの学校のよさを感じ取れたんです。入試についても、算数の加点や、得意な理科の配点の高さを知り、娘に合っていると感じました。

──学校の相性以外に、ご家庭で一番大切にしていたことは何でしょうか。

山田母:睡眠は一番大事にしていました。遅くとも夜10時30分までには寝かせるようにしていました。8時間以上の睡眠は確保したくて、帰宅後はすぐ布団にたどり着けるように準備していました。

山田父:周りでもっと長時間勉強している子がいても、娘には体力的に難しいと思い、無理させませんでした。何時間もやらせて、やる気まで下がってしまっては、続きませんから。

cocreco写真:Hakase/イメージマート

第一志望への未練は、親のほうに残っていた

──第一志望には届かなかったものの、娘さんはとても人気の伝統女子校へ進学されました。今のお気持ちはいかがですか。

山田父:実は第一志望校への思いは、私のほうが引きずっています。何ならまだ今も……。というのも、私も学祭や説明会に何度も通って、その学校が大好きになっていましたから。

でも、先日、娘と動物園へ行ったとき、イモリを見て、娘が「これ、○○学校にいたよね」とさらっと言ったんです。第一志望だったその学校の学祭で見たことを思い出したんですね。最終日まで3回も臨んだ学校です。その学校の名前を、そんなふうに自然に口にできるんだ、と思いました。正直私はまだ口にできません……。

──お父さんが引きずるとは、それほど伴走に向き合われていたのだと思うのですが、伴走中のことをどのように振り返りますか?

山田父:のめり込んだことも含めて、伴走は楽しかったですね。もともと待つことが苦ではないので、テストの付き添いで2~3時間待つのも平気でしたし。テストが終わってから、娘と一緒にラーメンなど好きなものを食べに行くのが定番になっていたので、「今日はどこで食べようか」と考えるのも楽しみでしたね。

仕事が終わってから、夜な夜な過去問をコピーするのも楽しかったですよ(笑)。この学校の過去問との相性はどうかな、などと考えたり。

ただ、もう一度伴走するならば、4・5年生のうちから復習をもっとしっかりしておけばよかったと思っています。特に算数の苦手単元の復習。当時は宿題で精いっぱいになっていて、宿題をやり切ればいいと思っていました。

でも総じて伴走も結果も満足しています。伴走を経験させてくれた娘にも感謝しています。

───◆───◆───教材を分ける。翌日の予定を書く。隣で同じ問題を解いてみる。そして、ときには一緒に休む。

山田ご夫妻のお話には、子どものためにできる、具体的な工夫が詰まっていました。同時に、夫婦でぶつかったことも、第一志望への未練も、率直に語ってくださいました。

親だって迷いますし、いつも正しく判断できるわけではありません。それでも、目の前の子どもに合わせて、支え方を選び直すことはできます。Aさんご夫妻のお話を伺って、受験勉強のさなかでも、親子の時間を大切にしながら、長い受験の日々を歩いていけたら理想的だと思いました。

取材・文/佐野倫子

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cocreco『中学受験伴走力 親がすべきこと、知るべきこと』(講談社+α新書)著:佐野倫子
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