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【実は身近なヤングケアラー】「自分が我慢すれば」小3で母の介護と家事を抱えた少女の過酷な日常

  • 2026.10.30
私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋
私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋

ウォーカープラスで人気の漫画をお届けする今回は「ヤングケアラー」を題材にした水谷緑(@mizutanimidori)さんのコミック『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』(文藝春秋)を紹介する。

ヤングケアラーとは、家族や親族に病気・障害があり、18歳以下の子どもが日常的に家事や家族の世話を担っている状態を指す。本作は実際の当事者への取材をもとに、家族を守るために心を閉ざした1人の少女が、自分自身を取り戻すまでの過程を描いた物語だ。

小学3年生で家庭を支える主人公 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋
小学3年生で家庭を支える主人公 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋
母親は統合失調症という心の病を持っていた 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋
母親は統合失調症という心の病を持っていた 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋
感情の起伏が激しくものを投げてくることもある 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋
感情の起伏が激しくものを投げてくることもある 画像提供:「私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記」(C)水谷緑/文藝春秋

※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

小学3年生で背負った「家族の重圧」と押し殺した感情

主人公の音田ゆいは母親が統合失調症を患う家庭で育つ小学3年生だ。料理や洗濯、掃除、買い物といった家事全般を幼い身で担い、下校途中に夕飯の食材を買うことも日常だった。部屋の洗濯物を見て「今日は大丈夫かな?」と母親の機嫌を窺う姿からは、幼少期から抱えてきた重圧の凄まじさが伝わる。症状が悪化した母親からティッシュ箱を投げつけられ、押し入れに隠れて耐える日もあった。

父親は弟の世話を優先し、母親への対応はすべてゆいに委ねられた。その結果、彼女は自らの感情を抑え込んで生きるようになる。同級生と遊ぶ気力も湧かず、学校で助けを求める方法さえ分からない。「自分が我慢すればいい」という思い込みは、大人になってから「うつ」という形で限界を迎えることになる。

10人以上の取材で浮かび上がった当事者の孤立

作者の水谷緑さんは、10人以上の当事者に取材を重ねて本作を描き上げた。当事者の抱える課題について、水谷さんは次のように語る。

「困っていることに自分自身で気づけないケースが大半なので、自発的に助けを求めるのは難しいと思います。もし若い世代であれば、まずは普段使っているSNSなどのツールで、自分と似た境遇の人や支援団体を見つけることから始めてほしいです。手を差し伸べたいと考えている人はたくさんいます」

このように、孤立しがちな当事者が外部の支援につながることの大切さを訴えている。

傷ついた少女が歩む「自分を取り戻す」再生の軌跡

本作は、ゆいが学生時代を経て就職、結婚、子育てを経験しながら、少しずつ自分自身の人生を取り戻していく過程を丁寧に取り上げている。全編ルビ付きで読みやすく、巻末や作中には支援団体の情報も掲載された。ヤングケアラーという現実を深く知り、社会全体で考えるきっかけを与える作品だ。

取材協力:水谷緑(@mizutanimidori)

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