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趣味のカメラが“仕事”に→ライカで個展まで…大河、大作映画に引っ張りだこの【国宝級イケメン俳優】が撮り続けた15年

  • 2026.11.4
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2013年11月、TASAKIの写真展の記者会見に出席した玉木宏(C)SANKEI

玉木宏といえば、スポットライトを浴びる「撮られる側」のトップランナーだ。だが彼にはもうひとつ、表現者としての重要な顔がある。ファインダーの向こう側に静かに視線を注ぐ、「撮る側」としての顔だ。

15年前の2011年11月、東京・銀座のTASAKI銀座本店で開かれた写真展の記者発表会に、玉木はカメラマンとして臨んだ。会場には、彼自身がアフリカ南部の大地で焼き付けてきた写真の数々が並んでいた。

7年続けてきた趣味のカメラが、仕事になった瞬間だった。

半分仕事で半分趣味のアフリカ

写真展のタイトルは『Timeless Message Photo Gallery』。TASAKIが売り出すダイヤモンドのオートクチュール『TIMELESS MESSAGE』に合わせた企画で、玉木に託されたのは、ダイヤモンドが生まれる土地を巡り、その原初をフィルムに収める役目だった。

玉木が向かったのは南アフリカとボツワナで、2泊5日という強行スケジュールだった。ダイヤモンド鉱山から雄大な自然、野生動物まで、玉木はシャッターを切り続けた。掲げられたテーマは「永久不変の美しさ、永遠性」。デジタルの即時性ではなく、光をじっくり焼き付けるフィルムでの撮影だった。

会見で「半分仕事で半分趣味みたいな不思議な感覚でした」と振り返った玉木だが、その仕事ぶりは決してタレントの余技にとどまらなかった。TASAKI銀座本店の地下1階に設けた展示空間のディレクションも、玉木本人が担当した。撮った写真をモザイクアートのように組み上げて一粒のダイヤモンドを浮かび上がらせ、さらには覗き窓まで仕掛けた。

発表会の写真撮影で、玉木は2億5000万円相当のダイヤを手に持ち、いつものようにカメラを向けられた。だが同じ銀座本店には、2泊5日の旅で自らが捉えたアフリカの景色が並んでいた。俳優と写真家。ふたつの顔が同じ場所にそろった一日だった。

出演作が相次いだ年の暮れ

写真展のころの俳優としての仕事を並べてみると、このアフリカの写真がいっそう際立つ。

写真展が開幕した11月25日は、玉木が主演したテレビ朝日のスペシャルドラマ『砂の器』の映像ソフトが発売された日だった。翌12月には大作映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』の公開が控え、年が明ければ、清盛の生涯のライバル・源義朝を演じる大河ドラマ『平清盛』の放送が待ち受けていた。

文字通り「撮られる側」の作品が相次いだ時期だ。

『聯合艦隊司令長官 山本五十六』で玉木が演じたのは、激動の時代を目の当たりにし、それを書き留める新聞記者・真藤利一だった。ファインダー越しに世界のありのままを記録しようとする写真家・玉木のまなざしは、この語り部の姿とどこか重なり合って見える。彼にとってカメラとは、撮られる日々から一歩離れ、自分の目で世界を捉え直すための欠かせない錨(いかり)だったのかもしれない。

真珠の海と戦場カメラマンの役

一度きりのコラボレーションでは終わらなかった。2年後の2013年11月、TASAKIは再び玉木にカメラを託す。

今度のテーマは真珠だった。写真展『TASAKI Pearly Planet Photo Gallery』のため、玉木は長崎の九十九島、そしてミャンマーのドーメルを訪れた。会場構成はもちろん、空間に流れるBGMまで手がけた。記者会見では、初めて訪れたミャンマーについて「南洋真珠の大きさに驚いた」と語っている。

この年は、奇しくも演じることと撮ることが重なった年でもあった。同じ2013年の春、玉木は初舞台にして初主演作『ホテル マジェスティック~戦場カメラマン澤田教一 その人生と愛~』で、ベトナム戦争を記録した写真家・澤田教一を演じている。

遠い大地から祖父の島へ

企業のオファーという枠を飛び越え、自らの名を掲げた個展へと結実したのが、2025年3月にライカギャラリー東京・京都で開催された写真展『Roots』だ。ライカの紹介文では、肩書きが「俳優ときどき写真家」と記されていた。

被写体に選んだのは、島根県・隠岐諸島に浮かぶ西ノ島。前の年に102歳で天寿を全うした祖父の生まれ故郷である。

20代半ば、初めてのライカとなったフィルムカメラ「ライカ M4-2」で、ピント合わせに苦労しながら撮る楽しさを知ってから約20年。玉木は祖父が見つめていたであろう穏やかな島の景色や流れる時間に、静かにレンズを向けた。2026年7月には雑誌『Discover Japan』の表紙を飾り、愛用のカメラを手に再び西ノ島を歩いた。誌面には、玉木が撮った島の絶景も載っている。

もちろん、本業である俳優としての歩みも留まることを知らない。2026年1月期には木曜劇場『プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮』で主演を務め、2027年1月からはWOWOWの『連続ドラマW ゴールデンカムイ―樺太追跡編―』で、引き続き鶴見篤四郎を演じる。

15年前の会見で、玉木は「まだ触れたことのないものを撮りたい」と語っていた。あのとき若き表現者が向かったのは、ダイヤモンドが眠るアフリカの大地という遠くの未知だった。

それから年月を重ね、彼が辿り着いたのは、自らの血が流れる祖父の島という原点だった。未知なる遠い世界から、自らの根底にある静かな日常へ。ファインダーを通して世界を見つめ続けてきた玉木宏の15年は、一人の表現者が自らのルーツと出会い直す旅でもあったのだ。


※記事は執筆時点の情報です

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