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一般投票“14位”の夫婦が選ばれたワケ。23年前、1位の大物夫妻を抑えて「いい夫婦」に輝いた【おしどり夫婦】

  • 2026.11.4
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2003年10月、「パートナー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた奥田瑛二(左)と安藤和津(C)SANKEI

11月22日の「いい夫婦の日」が近づくと発表されるのが、その年の理想の夫婦を一般から募って選ぶ「パートナー・オブ・ザ・イヤー」だ。今から23年前の2003年、この栄冠に輝いたのは、安藤和津と奥田瑛二の夫妻だった。

ただ、一般投票の順位は意外なものだった。二人の得票順位は14位だった。1位は木村拓哉・工藤静香夫妻である。

ではなぜ、14位の二人が選ばれたのか。審査委員会が上位20組の中から協議して二人を選んだ決め手は、その年のテーマとして掲げられていた「夫婦で奏でるライフセッション」という言葉にあった。

人気投票の順位ではなく、互いの人生をどう響かせ合っているか。いわば合奏の相性で選ばれた二人。その足跡をたどると、表現者として奔走する夫の隣で、言葉を紡いできた安藤和津の確かな存在感が浮かび上がってくる。

「知的で大人のカップル」というパブリックイメージ

二人には、主催団体の名誉会長を務める落語家の桂文珍から、賞状と副賞のプラチナ・パートナーリングが贈られた。夫妻に票を入れた人からは「知的で大人のカップル」という声が寄せられ、互いを尊重し合いながら共に成長している夫婦だとも評された。

当時の奥田は、2001年に『少女』で映画監督デビューを果たし、絵画の個展も開くなど、俳優の枠を超えてマルチな表現者として脂が乗りきっていた。一方の安藤も、TBS系『ジャスト』やニッポン放送『テレフォン人生相談室』で活躍するエッセイストだった。2003年には下関市文化振興財団の理事長と法務省の法教育研究委員にも就き、公の役職も担っていた。

互いに自立し、それぞれのフィールドで独自の楽器を鳴らす夫婦だった。

夫が絵筆を握り妻が言葉を紡ぐ

そんな二人の「セッション」を最も分かりやすく形にしていたのが、夫婦共作の絵本だった。

1988年刊行の『月うさぎ』と2002年の『さくらうさぎ』は、いずれも奥田が絵を描き、安藤が文章を手がけた共作だ。

一般投票に寄せられた「才能や個性がうまく調和」という声は、この2冊の組み合わせにそのまま重なると思う。

合奏は娘たちを巻き込んだ家族のアンサンブルへ

二人の表現のセッションは、やがて映画の世界、そして家族全体へと広がっていく。

受賞から3年後の2006年、奥田がメガホンを取り、緒形拳が主演を務めた監督第3作『長い散歩』が公開された。モントリオール世界映画祭でグランプリに輝いたこの作品の脚本クレジットには、「桃山さくら」というペンネームが記されていた。「桃山さくら」は、安藤和津と長女の桃子、次女のサクラの母娘3人による共同名義だ。

安藤はこの映画の小説版も執筆。劇中に登場する絵本『ねぼすけぴーちゃん』もまた、奥田の絵と安藤の文によって生み出された。

さらに翌2007年には、山口県下関市に奥田が支配人を務める映画館「下関スカラ座シアター・ゼロ」(現在は閉館)がオープン。こけら落としとなった奥田監督作『風の外側』では次女のサクラが主演し、初日の舞台挨拶には奥田とともに安藤も登場した。下関は、安藤が2003年に文化振興財団の理事長になった街でもある。

夫を長男と呼んだ安藤和津のリアル

だが、世間が抱く「知的で大人のカップル」というイメージに、安藤自身はこだわっていなかったように見える。

2010年9月、長女の桃子とともに映画祭のトークイベントに登壇したときのこと。家族の話題になると、安藤は夫の奥田について、ずっと夫というより長男という感覚だったと明かした。その奥田が還暦を迎えたこの年にやっと大人になったと続け、「この間はコンビニの荷物を持ってくれたの!」と感慨深げに語った。

「知的で大人のカップル」と称賛されてから7年。世間から貼られた立派なラベルをさらりと脱ぎ、人前で夫を長男と呼んでしまう。言葉を仕事にしてきた人の、絶妙な肩の力の抜け具合だと思う。

23年目のライフセッション

あれから年月が流れ、今年2026年5月。かつて母とともに脚本に名を連ねた長女の安藤桃子が、第18回ベストマザー賞を受賞した。授賞式で桃子は、受賞を両親に報告したら驚かれたと笑って明かした。

23年前、14位から選ばれて「大人のカップル」と呼ばれた二人は、家族で物語を紡ぎながら、いつしか娘の受賞の知らせに驚く父母になっていた。


※記事は執筆時点の情報です

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