1. トップ
  2. 住まい
  3. 父親「古くなっても2万円値上げ?」都会の大学に通う娘の家賃が突然9万円から11万円に…宅建士が教える対処法

父親「古くなっても2万円値上げ?」都会の大学に通う娘の家賃が突然9万円から11万円に…宅建士が教える対処法

  • 2026.11.9
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。賃貸の現場に25年携わっている宅建士のひろです。

家賃の値上げ通知が、ある日書面で届いたらどうしますか。

今回は、約1年前に、私に物件の管理を任せてくださっているご両親から受けた、相談のお話です。都会の大学に通う娘さんに「次回の更新から、9万円を11万円に」という通知が届き、地方に住むご両親は驚いていました。私が周辺の相場やほかの部屋の募集条件を調べたところ、わかったことと、その後の話をお伝えします。

「こんなに家賃値上げされたらやっていけない!」

ご両親からの相談は、こんな話から始まりました。

娘さんが住んでいるのは、都会のアパートです。大家さんから書面で「次回の更新時から、家賃を9万円から11万円に値上げしたい」という通知が届きました。更新の約半年前で、娘さんはまだ返事をしていませんでした。

娘さんは、この通知を見て、ご両親にそう伝えたそうです。私はこの話を彼女の父親から聞きました。父親はこう続けました。

「古くなっても値上げをするのか?その上2万円も?このまま納得して受け入れないといけないのか。さすがに2万円は高すぎる」

母親も心配そうに続けました。

「やっぱり、最近多いけどそういうものなの?」

地方では、建物が古くなるにつれて家賃を下げることはあっても、上げることはあまり考えられません。地価も都会のように急に上がってはいません。同じ条件なら5〜6万円ほどが相場です。ご両親には、都会の9万円から11万円という金額が、とても大きく感じられたのです。

そして、不動産会社の私なら何かわかるのではないかと、聞いてくれたのでした。「こんなに上がることってあるの?」と。

周辺の相場を調べてみることに

日頃からお世話になっているご両親でしたので、私は「ちょっと調べてみましょうか」とお答えしました。

まず、アパートの情報を詳しく聞き取りました。そのうえで、同じアパートのほかの部屋の家賃と、周辺の相場を調べたのです。

結果として11万円は周辺の相場より高いことがわかりました。周辺の家賃は、娘さんがいま住んでいる部屋と同じくらいでした。しかも同じアパートの空室が、現在娘さんと同じ9万円で募集されていました。

通知には、値上げの理由として「周辺状況」と「物価の高騰」と書かれていました。しかし周辺の相場や同じアパートの募集条件には、値上がりは表れていませんでした。

「根拠を持って、ご相談してみてはどうですか」

私は、調べたことをそのままご両親に説明しました。物件の情報、ほかの部屋の募集条件、周辺の状況をまとめた資料もお渡ししました。

「娘さんがこの資料を持って、大家さんに話してみてはどうですか。話しにくければ、ご家族が娘さんと相談したうえで連絡してもいいと思います。根拠を持って、ご相談してみてはどうですか」

ただ、もう一つお伝えしました。

「しかし、物価の高騰などで値上げが必要な大家さんも少なくありません。今回は通知の理由と実際の相場に差がありましたが、根拠のはっきりした値上げなら、将来的には受け入れなければいけない可能性もあると思います」

最終的に、ご両親が娘さんの代わりにアパートの大家さんと話をしてくれました。その結果、今回は現状のまま更新することになりました。

家賃は不用意に値上げも値下げもできない

ご両親は、とても喜んでくれました。

「本当に助かりました。こういう話の仕方もあるんですね」

私は、家賃が不用意に値上げも値下げもできないものだと知っています。しかし、一般の方はそのことを知らないため、とても動揺されていました。「どうしたらいいんだろう」と、ご両親も戸惑っていたのです。その方々に感謝してもらえたことが、私は本当に嬉しく思いました。

知っておきたい、家賃の値上げのルール

家賃の値上げ通知が届いたときに、知っておきたいルールをお伝えします。

家賃は、貸主と借主の合意で決まる 家賃は、特約(更新のときに値上げできる、という特約など)がない限り、貸主と借主の合意で決まります。貸主から一方的に通告されただけでは決まりません。

値上げが認められるのは、限られた場合 借地借家法では、増額が認められるのは次のような場合に限られます。

  • 税金などの負担が増えたとき
  • 土地や建物の価格が上がるなど、経済事情が変わったとき
  • 近くの同じような建物の家賃と比べて、いまの家賃が不相当になったとき

納得できないときは、理由の説明を求める 通知が届いても、すぐに同意する必要はありません。納得できないときは、値上げの理由の説明を求めましょう。借地借家法第32条2項では、同意しなくても、従来の家賃を払い続けていれば、すぐに退去させられることはないとされています。

ただし、貸主が従来の家賃の受け取りを拒否した場合は、法務局の供託所に家賃を供託し(預け)、支払いの証明を残しておく方法があります(民法第494条)。また、のちに裁判で値上げが正当と認められた場合は、不足分に年1割の利息を付けて支払う必要があります。

いずれも細かい条件は、法務局や自治体の相談窓口、専門家に確認してください。

家賃の値上げ通知が届いたときの、4つのステップ

最後に、通知が届いたときの4つのステップをお伝えします。

1.すぐに返事をしない
通知が届いても、すぐに同意の返事をする必要はありません。まず、通知に値上げの理由が書かれているかを確かめましょう。

2.周辺の相場や同じ物件の募集条件を調べる
周辺の家賃や、同じ物件のほかの部屋の募集条件を調べてみましょう。理由と実際の状況に差がないかがわかります。

3.根拠があれば受け入れる可能性もある。納得できなければ理由を聞く
物価の高騰などで値上げが必要な場合もあります。根拠がはっきりしていれば、受け入れることも考えましょう。納得できないときは理由の説明を求め、調べた資料を持って話し合ってみてください。

4.難しいときは消費生活センターなどに相談する
ご自身やご家族だけでは難しいときは、お住まいの自治体の消費生活センターなどに相談してみてください。

家賃の値上げ通知は、突然届くものです。慌てず、まず調べてみる。それだけでも見えてくることがあります。


ライター:ひろ宅建士ライター
賃貸仲介で15年、独立後は賃貸管理会社を経営して10年。通算25年にわたり、不動産の現場に携わる宅建士。仲介時代は店舗責任者として、部門全国1位の表彰を受けた。管理会社の経営者として、入居者対応、退去立ち会い、原状回復、空室・空き家の管理など、大家さんと入居者の双方の悩みに向き合ってきた。現場で見てきた「正論だけでは割り切れない場面」をふまえ、わかりやすく、現場に根ざした不動産情報を届けることがモットー。


【エピソード募集】ご近所・引っ越し・内見で…「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ