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「今売れば利益が出る!」金の高騰で“純金積立”を全て売った40代女性→数日後、口座に振り込まれた“驚きの額”を見て「えっ…?」

  • 2026.11.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さん、こんにちは。現役銀行員ライターの加藤隆二です。

報道やネットで「金(ゴールド)の価格が過去最高値を更新!」といった話題を目にすることもあると思います。ご自宅に眠っているアクセサリーを買い取り専門店に持ち込む方の映像などを見て、「私も持っている金を売ったら儲かるかも?」と考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

たしかに、価値が上がっているタイミングで売却するのは資産運用の基本です。しかし、実は「利益が出たから売ろう」と慌てて行動した結果、思わぬ落とし穴にハマってしまい、後悔するケースが後を絶ちません。

今回は、銀行の窓口で実際に私がご相談を受けた、金の売却にまつわるエピソードをご紹介します。投資の利益をしっかりと手元に残すための大切なポイントが隠されていますので、ぜひ最後までご覧ください。

相場が高騰したから金を売却した女性の悲劇

金相場が連日高騰し、世間が湧いていたある日のこと。窓口にいらっしゃったお客様が体験した、思いがけない出来事です。

ご相談に見えたのは、40代の会社員女性・Aさんです。Aさんは将来の資産形成のために、3年半ほど前から毎月数万円ずつ、積立形式で金の購入を続けていらっしゃいました。

「金は安全資産」という言葉を信じて始めたそうですが、毎月少しずつ残高が増えていくのを、通帳を見るたびに楽しみにされていたとのことです。

そんな中、連日のように「金価格が高騰!」というニュースが飛び込んできました。

「今売れば利益が出るはず!」

そう確信したAさんは、勢いよく全額売却の手続きを行いました。頭の中では「これだけ利益が出たら、欲しかったあのバッグを買おう」と皮算用をしていたそうです。

しかし数日後、指定口座に振り込まれた金額を見て、Aさんは絶句しました。

「えっ…?計算していた金額より全然少ない。手数料がこんなに引かれているの!?」

資産運用や家計相談の窓口へ相談に駆け込んでこられた、というわけです。しかし、Aさんのショックはこれだけでは終わりませんでした。

口座明細に記された“想定外の差額”

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

なぜ、Aさんの口座に振り込まれた金額は想像よりも少なかったのでしょうか。その直接の原因は、金取引特有の「スプレッド」にありました。

金を取り引きする際、「私たちが買う時の値段(小売価格)」と「私たちが売る時の値段(買取価格)」には差があります。この差額のことをスプレッドと呼び、取扱会社の実質的な手数料となります。

Aさんはニュースで報じられていた「小売価格」の高い数字だけを見て計算していましたが、実際に適用されるのはそれより安い「買取価格」でした。結果として、思っていた以上の手数料(スプレッド)が差し引かれたように感じてしまったのです。

数カ月後、Aさんを襲った“第2のショック”

窓口でスプレッドの仕組みを知り、ひとまず納得したAさんでしたが、本当の悲劇は年が明けた「確定申告」の時期に訪れました。

株式投資であれば「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおけば売却時に自動で税金が引かれ、確定申告が不要なケースも多いですが、純金積立や金地金の売却益は制度が全く異なります。

売却代金から税金が天引きされることはありません。利益から特別控除(年間最大50万円)を差し引いても所得が残る場合は、自分で確定申告をして税金を納める必要があります。(会社員で、給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。)

売却益はおよそ80万円。特別控除の50万円を差し引いても、30万円に税金がかかることになりました。

さらにAさんを青ざめさせたのが、売却益にかかる税金の「保有期間によるルールの壁」でした。

このケースでは利益が「譲渡所得(じょうとしょとく)」として所得税や住民税の対象となります。さらに重要なのが「保有していた期間」です。金地金の譲渡所得は、保有期間が5年を超えると課税対象となる金額が「半分(2分の1)」に軽減される優遇措置があります。しかし、Aさんの場合は積立期間が3年半だったため保有期間5年以内の「短期譲渡所得」に該当し、利益から特別控除(年間50万円)を差し引いた残額の全額が課税対象となってしまったのです。

慌てて売る前に! 知っておくべき金投資の鉄則

Aさんの事例を振り返り、皆さんが同じ失敗をしないための対策をお伝えします。

この例では、Aさんは売却手続きをする前に「金の保有期間が5年を超えているか」をしっかり確認すべきでした。もし、あと1年半待って5年を超えた分から段階的に売却していれば、税負担を大きく減らし、手元により多くのお金を残すことができたはずです。売る前に、契約書類や取引履歴で正確な保有期間を確認しましょう。

また、金投資はそもそも「短期的な利益を狙うものではなく、長期的な資産保全に向いている」という原則を思い出すことも大切です。金はインフレに強い資産と言われますが、スプレッドがあるため短期的な売買には不向きな側面があります。

日々のニュースや相場の動きを見ると、どうしても気持ちが焦ってしまうものです。しかし、大切なお金を守り育てるためには、一時的な情報に踊らされず、「いつから持っているか」「売る時と買う時の価格差はいくらか」を冷静に判断することが欠かせません。

Aさんはその後、窓口で税金の一般的な仕組みと長期保有のメリットを知り、具体的な税額や申告の方法は税務署で確認して、納税を無事に済ませました。そして、今度は5年以上の長期保有を前提として純金積立を再スタートされました。

皆さんもお持ちの資産を動かす前には、まずはご自身の積立期間や保有期間が「5年」を超えているか、取引明細を1度確認してみてくださいね。


執筆者:加藤隆二

現役銀行員ライター。銀行勤続30年以上の豊富な融資・預金業務の現場経験を活かし、生活に直結するお金のリアルな事情を発信し続けています。

保有資格:FP2級(個人資産相談業務)

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