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「定期預金みたいなもの」銀行が勧める商品に“1,000万円”を入れた60代女性→2年後、解約すると提示された額に“目を疑ったワケ”

  • 2026.11.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで退職金の運用と老後資金の相談を数多く受けてきた柴田です。

銀行の窓口なら安心、と考える方は少なくありません。ただ、銀行の窓口で扱っているのは預金だけではありません。

今回は、退職金を銀行の窓口で勧められた商品に預けた60代のAさんのお話です。

「定期預金みたいなもの」と聞いて

Aさん(60代女性)は2024年の夏、退職金の振り込みを確認しに銀行へ行きました。

窓口の担当者から「定期預金みたいなもので、利率は年3.5%です」と勧められ、退職金のうち1,000万円を預けることにしました。

それから2年。家のリフォームでまとまったお金が必要になり、解約を申し出ると、提示された金額は約955万円でした。「利息が付いて増えているはずなのに、45万円も減っている」。Aさんは目を疑いました。

預けていたのは「外貨建ての保険」だった

相談に来られたAさんの書類を確認すると、Aさんが契約していたのは定期預金ではなく、米ドル建ての一時払い保険でした(相談をしている最中、「全然定期預金じゃないやんけ」と突っ込みたくなりました)。

外貨建て保険は、払い込んだ円を米ドルなどの外貨に替えて運用し、受け取るときに円に戻します。年3.5%は、外貨で運用するときの利率でした。

私が計算してみると、契約した2024年7月は1ドル162円前後の円安で、1,000万円は約6万1,700ドルになっていました(1,000万円÷162円)。2年間の運用でドル建ての積立金は約6万6,100ドルに増えています。ところが早期に解約したため、解約控除として積立金の8%が差し引かれ、受け取れるのは約6万800ドル。これを今の1ドル157円で円に戻すと、約955万円になります。

為替と解約控除の二重のリスク

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

外貨建て保険には、主に二つのリスクがあります。一つは為替です。契約したときより円高になれば、円で受け取る額は減ります。もう一つは解約控除です。契約から一定期間内に解約すると、積立金から一定の割合が差し引かれます。

また、外貨建て保険は保険商品なので、預金保険の対象ではありません。国民生活センターにも、銀行で定期預金のつもりで契約し、後から保険だと気づいたという相談が寄せられています。同センターによると、外貨建て生命保険の相談では、契約者の約半数が70歳以上でした。

正直なところ、私は「定期預金みたいなもの」という説明をした銀行側に問題があると考えています。預金と保険はまったく別の商品であり、そのような言い方は誤解を招きます。ただ、契約書類には商品の内容が記載されており、最終的に署名・押印をして契約を決めたのはAさん自身です。「銀行の窓口だから大丈夫」と任せきりにせず、商品の中身を自分自身で確かめる防犯意識のような姿勢も欠かせませんでした。

保険契約には、申し込みの日か書面を受け取った日の遅いほうから原則8日以内なら、契約を取り消せるクーリング・オフがあります。銀行の窓口で申し込んだ契約も、多くの保険会社では対象にしています。ただ、Aさんのように商品の中身に気づいたときには、期間が過ぎていることがほとんどです。

契約の前に「預金ですか」と聞く

銀行の窓口で勧められた商品は、契約書類に「預金ではありません」「元本保証ではありません」と書かれていないかを、その場で確認してください。わからなければ「これは預金ですか、保険ですか」と担当者に聞き、すぐに決めずに家族と相談することをおすすめします。

生命保険協会のガイドラインでも、高齢の方に保険を勧めるときは、家族の同席や複数回の面談など、慎重に進めることが求められています。不安なときは「家族と一緒に話を聞きたい」と伝えて構いません。

私が計算してみると、同じ1,000万円をその銀行の1年定期で預け直していれば、この2年で金利が上がった分を含めても受け取れた利息は数万円程度です。大きくは増えませんが、少なくとも元本の1,000万円は守られていました。使う時期が近いお金ほど、増やすことより減らさないことを優先したいところです。

忘れてはいけないのは、銀行はボランティアではないということです。窓口の担当者も「売上」を求められています。窓口で相談すれば、手数料の高い投資信託、中身の複雑な外貨預金、コストの高い保険といった「金融商品のデパート」のような品ぞろえの中から、その人が買ってくれそうな商品を提案されるのが実情です。

銀行は、私たちの資産を増やしてくれるパートナーではなく、商品を売る側のセールスマンです。そう認識しておくだけで、窓口での受け止め方は変わります。

まとめ

Aさんは「銀行で勧められたから、預金の一種だと思い込んでいました」と話していました。残った分は、使う時期に合わせて定期預金と個人向け国債に分けて預けるそうです。

退職金のようなまとまったお金ほど、勧められた商品が「預金なのか、そうでないのか」を確かめてから預けましょう。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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