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「定期預金より有利」銀行員の勧めで“1,000万円”を米ドル建てに預け替えるが…→3年後、60代女性を襲った“100万円”の大誤算

  • 2026.11.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

大学卒業後、国内大手生命保険会社に35年間勤務し、営業や営業所長、企画、事務などを経験してきた「あしふみ」です。

定期預金が満期を迎えると、銀行の窓口で「もっと有利な預け先がありますよ」と声をかけられることがあります。銀行で勧められる商品なら預金と同じように安心、と感じる方も多いでしょう。ところが、銀行の窓口で扱っている商品が、すべて預金とは限りません。

今回は、満期を迎えた定期預金を預け替えた65歳女性の事例をご紹介します。個人が特定されないよう、内容の一部を変更しています。

満期の定期預金を「有利な預け先」へ

Aさん(仮名・65歳)は、夫の退職金の一部を定期預金に入れていました。1000万円が満期を迎え、手続きのために銀行へ行くと、窓口の担当者から勧められます。

「米ドル建てで、今の予定利率は年4%ほどです。定期預金より有利ですよ」

為替についての説明も受け、書類にも目を通しました。それでも、なじみの銀行で契約したこともあり、Aさんの中では「利回りの高い定期預金のようなもの」という理解に落ち着いていきました。

3年後、通帳に印字された数字

3年後、自宅のリフォームでまとまったお金が必要になり、Aさんは解約を申し出ました。

「ドルではお預けいただいた額より増えています」と聞き、ひと安心。ところが後日、記帳した通帳に振り込まれていたのは、約900万円でした。

「増えていると聞いたのに、1000万円より少ないなんて。どうして?」

預け替えた先は「預金」ではなく「保険」だった

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Aさんが契約していたのは、米ドル建ての一時払終身保険でした。銀行が窓口になって販売していますが、保険会社の保険商品です。

外貨建ての保険は、受け取るお金がドルで計算されます。「予定利率年4%」もドルでの運用の利率で、円での受取額を約束するものではありません。円で受け取るときは、その時点の為替レートで換算されるため、円高になると受取額が減ります。たとえば次のような計算です。

  • 契約時:1000万円 ÷ 1ドル145円 = 約6万9000ドル
  • 3年後:ドル建ての解約返戻金 約7万2000ドル × 1ドル125円 = 約900万円

ドルでは増えていても、円に換えると減ってしまう。これがAさんの「どうして?」の答えでした。さらに商品によっては、契約から一定期間内の解約で差し引かれる費用(解約控除)や、金利の動きで受取額が変わる仕組みがあります。

また、保険は預金ではないため、預金保険制度の対象にもなりません。生命保険には「生命保険契約者保護機構」という別の仕組みがありますが、元本を保証するものではありません。

※為替レートや利回りは説明のための例です。

契約の前に確かめたい3つのこと

国民生活センターは2020年、外貨建て生命保険の相談が増えているとして注意を呼びかけました。相談のうち約半数は、70歳以上の方からのものでした。

外貨建ての保険には、円より高い金利で運用できる、死亡保障がある、といった良さもあります。ただ、近いうちに使う予定のお金を入れるのには向いていません。銀行で商品を勧められたら、次の点を確かめましょう。

1. 預金か、保険か:パンフレットや契約書に「保険」「保険会社」の文字がないか

2. 円で受け取るといくらになるか:円高になった場合や、途中で解約した場合の例を見せてもらう

3. いつ使うお金か:数年以内に使う予定があるなら、預金で持つことも考える

契約後でも、原則として申し込みの日か書面を受け取った日の遅いほうから8日以内なら、クーリング・オフができます。ただし、円で払い込んでも外貨で返金される契約では、円に換えるときに為替差損や手数料が生じる場合があります。返金の方法は商品ごとに確認が必要です。勧められてもその場で決めず、不安なときは家族や消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談しましょう。 

Aさんは、リフォーム費用の足りない分を手元の預金で補いました。その後は、使う予定のあるお金は預金で持ち、長く使わないお金と分けて考えるようにしています。

「銀行で契約したから、預金と同じだと思い込んでいました」

次に窓口で商品を勧められたら、「これは預金ですか、保険ですか」と一言聞いてみてください。その一言が、通帳の数字に目を疑わないための備えになります。


執筆:あしふみ

大学卒業後、国内大手生命保険会社に35年間勤務。個人・法人営業、営業所長、企画・販売促進、事務部門などを経験。FP2級の知識と保険実務の経験を生かし、保険や家計に関する情報を分かりやすく伝えている。


※外貨建て保険の利回り、為替の影響、解約時の費用、クーリング・オフの取り扱いは、保険会社・商品・契約時期によって異なります。詳しくは契約先の保険会社や販売した金融機関にご確認ください。


【参考】

・国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」

https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200220_2.html

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