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「夫婦の財産だから」“2,500万円”を夫名義の口座で貯めてきた60代夫婦→夫の死後、妻を襲った“想定外の悲劇”に「うそでしょ…」

  • 2026.10.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、夫を亡くした60代女性Aさんの体験談です。長年、家計を管理してきた口座が使えなくなり、Aさんが直面したこととは。

息子が銀行に連絡してくれた、はずだった

先日、相談にいらした64歳のAさん。パートをしながら、近くに住む息子と行き来して暮らしています。

夫を亡くしたのは、ひと月ほど前のこと。葬儀を終え、ようやく落ち着いた頃でした。

結婚してから40年、家計はすべて夫名義の口座で管理してきました。夫の給与も年金もそこに振り込まれ、公共料金やクレジットカードの引き落としもその口座から。退職金も入ったままで、残高は2,500万円ほどです。

Aさん自身の口座には、パート代が振り込まれるだけでした。

「生活費は夫の口座からです。夫婦の財産だから大丈夫だと思っていました。」

葬儀の後、息子から「銀行には連絡しておいたよ」と言われました。スマートフォンから手続きできたそうです。Aさんは、悪用されないように止めてくれたのだと受け止めました。

引き落としも、現金も、すべて止まった

異変に気づいたのは、その数日後でした。

電気料金が引き落とせなかったという通知が届いたのです。不思議に思いながら、Aさんは生活費を下ろそうとATMへ向かいました。ところが、カードを入れても取引ができません。

窓口で聞いて、Aさんは初めて知ります。銀行が名義人の死亡を知った時点で、その口座は凍結されます。出金も振込も、公共料金の引き落としも、すべて止まるのです。

「うそでしょ…口座に2,500万円あるのに、1円も使えないということですか…」Aさんは立ち尽くしました。

凍結を解くには、相続の手続きが必要です。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、遺産分割協議書。書類をそろえるだけでも時間がかかります。

名義が夫である以上、その預金は夫の相続財産です。Aさんが家計をやりくりして貯めた分であっても、名義で判断されます。夫婦の共有名義にすることはできません。

当面の生活費には、制度がある

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

では、手続きが終わるまでどうするのか。担当者が案内したのが、遺産分割前の払戻し制度でした。

相続人が1人で手続きでき、引き出せるのは、口座ごとの残高に自分の法定相続分の3分の1を掛けた額です。ただし1つの金融機関あたり150万円が上限となります。

Aさんの法定相続分は2分の1。計算上は150万円を超えますが、上限があるため150万円までです。必要なのは戸籍などの書類で、遺産分割協議書は要りません。

「それだけあれば、当面はしのげます」

そしてもう一つ、担当者が伝えたのは、これからのことでした。Aさん自身の名義の口座に、生活費を何か月分か置いておくこと。名義が違えば凍結されないので、相続の手続きが終わるまでの間も自分で動かせます。

公共料金やカードの引き落としも、どちらの名義の口座から落ちているかを確認しておきたいところです。すべてを一方の名義に集めていると、その人が亡くなったときにまとめて止まります。

夫婦のどちらが先に亡くなるかは分かりません。片方の名義にすべてを集めていると、遺された側が動けなくなります。

Aさんは、年金の受取口座の変更手続きとあわせて、自分の口座にも生活費を置くことにしました。

夫婦で名義を分けておきたい理由

どちらかに何かあったときのために、確認しておきましょう。

  • 銀行が名義人の死亡を知ると口座は凍結される
  • 出金も振込も引き落としもすべて止まる
  • 名義が夫なら、妻が貯めた分も夫の相続財産
  • 預金を夫婦の共有名義にすることはできない
  • 凍結を解くには戸籍などの書類が必要
  • 遺産分割前の払戻し制度は1金融機関あたり150万円まで
  • 生活費の何か月分かを自分名義の口座に置いておく
  • 引き落としがどちらの名義の口座からか確認しておく

相続の手続きに必要な書類は、取引先の金融機関で確認できます。遺産分割前の払戻し制度についても、窓口で案内してもらえます。年金の受取口座の変更は、年金事務所または年金相談センターが窓口です。

「夫婦の財産だから大丈夫」と考える前に、誰の名義になっているかを確かめておくことが、遺された家族の生活を守る第一歩です。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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