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“3,000万円の実家”を相続した50代息子→「親が住んでいた土地だから相続税0円」のはずが…待ち受けていた“160万円”の大誤算

  • 2026.11.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

親が亡くなり、実家を相続することになったら、相続税がどのくらいかかるのか気になったことはありますか?

「親が住んでいた土地なら、評価額を8割減らせる」と安心している人もいるかと思います。しかし、別居していたことや、自分名義の家に住んでいることが理由で、特例を受けられない場合があります。

今回お話しする思わぬ相続税の負担に直面した50代男性。なぜ、実家の土地なのに8割の評価減を受けられなかったのでしょうか。

相続税0円のはずが…3,000万円の実家に思わぬ落とし穴

55歳のNさんは、半年前に父親を亡くしました。母親も数年前に他界しており、父親の財産を相続するのはNさん1人です。実家の土地は200平方メートルで、相続税上の評価額は3,000万円。建物や預貯金を含む遺産総額は5,000万円でした。

Nさんは15年前に自分名義の家を購入し、妻や子どもと暮らしています。父親とは別居でしたが、休日には実家を訪れ、買い物などを手伝っていました。

相続の手続きを調べていたNさんは、「小規模宅地等の特例」という制度を知ります。一定の条件を満たせば、実家の土地の評価額を80%減らせる制度です。

「父が住んでいた土地だから、うちも使えるだろう」

そう考えたNさん。土地の評価額が3,000万円から600万円に下がれば、遺産全体の評価額も2,600万円になります。相続人が1人なら、相続税の基礎控除額は3,600万円。特例を使えれば、相続税は0円になる計算です。

ところが、税理士への相談で、その見込みが大きく崩れることになります。

税理士の指摘に愕然。「160万円の納税」が必要に

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

税理士は、父親との同居だけでなく、Nさんの自宅の名義や居住年数も確認しました。Nさんが「15年前に買った自分の家です」と答えると、税理士は今回の相続では特例を使えないと説明しました。

別居していた子どもには、住まいの所有状況についても厳しい条件があるためです。特例が使えなければ、遺産総額は5,000万円のまま。基礎控除3,600万円を引くと、税金の計算対象は1,400万円です。

今回の条件では、相続税は160万円になります。税金はかからないと考えていたNさんにとって、想定外の出費です。

しかも、相続税の申告・納付期限は亡くなったことを知った日の翌日から原則10か月以内。父親が亡くなって半年が過ぎ、残された時間も多くありません。Nさんは急いで納税資金を確保することになりました。

実家でも8割減にならない?FPが解説する適用条件

小規模宅地等の特例では、亡くなった人が住んでいた土地について、330平方メートルまで80%の評価減を受けられる場合があります。しかし、実家を相続すれば誰でも使える制度ではありません。誰が土地を引き継ぐかによって条件が異なります。

例えば、配偶者が相続する場合、取得する人に住み続ける条件はありません。同居していた子どもなどが相続する場合は、原則として相続税の申告期限まで住み続け、土地も持ち続ける必要があります。

つまり、親が暮らしていた土地であっても、相続する人の状況によっては80%の評価減を受けられないのです。

別居・持ち家は危険?160万円の差を生む条件とは

特に注意したいのが、親と別居していた子どもです。この場合、亡くなった人に配偶者がおらず、実家に同居していた相続人もいないことなどが前提となります。

さらに、原則として相続開始前の3年間に、自分や配偶者、一定の親族などが所有する住宅に住んでいないことが必要です。相続時に住んでいる家を過去に所有したことがないことや、申告期限まで土地を持ち続けることなども条件となります。

Nさんは15年前から自分名義の家に住んでいたため、特例を使えませんでした。ただし、持ち家がある人でも、亡くなった人と同居していた場合などは、別の条件で対象になることがあります。

今回の事例では、特例の有無によって相続税に160万円もの差が生じています。

なお、80%減るのは相続税ではなく土地の評価額です。実際の税額は遺産の金額や相続人の人数などによって変わります。また、特例を使って相続税が0円になる場合でも、原則として申告が必要です。

相続税の申告・納付期限は通常、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内となります。

実家の相続では、土地の評価額だけで安心せず、自分や家族の住まいと名義も確認しておく必要があります。特に持ち家がある場合は、相続後に慌てないよう、事前に適用条件を確かめておきたいところです。


※プライバシー保護のため、一部の情報を変更しています。税額は記載の条件に基づく概算です。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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