1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「そ、そんな…」退職金500万円を“年利2.0%の社債”に入れた60代男性→3年後、家に届いた“1通の知らせ”に血の気が引いたワケ

「そ、そんな…」退職金500万円を“年利2.0%の社債”に入れた60代男性→3年後、家に届いた“1通の知らせ”に血の気が引いたワケ

  • 2026.11.4
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

「社債は満期まで持っていれば、お金が戻ってくる」。そう思っていませんか。株式ほど価格が動かず、定期的に利息も入ると考え、退職金の運用先に選ぶ方もいるでしょう。

しかし、社債は元本が保証された商品ではありません。発行元の企業が経営破綻すれば、老後のために用意したお金を失うおそれがあります。

退職金から500万円を社債に投じた60代男性も、購入から3年後、予想外の事態に直面します。満期まで保有するつもりだったのに、なぜ元本が戻らなくなるのでしょうか。

「5年後に500万円が戻る」はずが…3年後に届いた知らせ

68歳のMさんは、65歳で勤め先を退職しました。その際に受け取った退職金は約2,000万円です。

このうち1,500万円は生活資金として残し、500万円を運用に回そうと考えました。ただ、株式投資には不安がありました。値下がりによって退職金が減ることを避けたかったのです。

そこで興味を持ったのが社債でした。社債とは、企業がお金を借りるために発行する債券です。一般的には定期的に利息が支払われ、満期を迎えると額面金額が返済されます。

Mさんが選んだのは、期間5年、年利2.0%の社債でした。額面500万円を購入すれば、1年間の利息は10万円です。5年間で合計50万円になる計算でした。※利息は税引前。額面500万円、年利2.0%で計算しています。

Mさんは、途中で売らなければ500万円が戻ると考え、退職金の25%を投じました。最初の2年間は予定どおり利息が入りました。合計20万円に相当しますが、実際の受取額からは税金が引かれています。

毎年利息を受け取れたことで、Mさんの安心感は強まっていました。

ところが、購入から3年が経つころ、状況が一変します。発行会社が経営破綻したとの知らせが自宅に届いたのです。3年目の利息を受け取る前の出来事でした。

Mさんは困惑しました。満期まではあと2年あります。途中売却の予定もなく、利息の支払いも続いていたからです。

「そ、そんな…満期まで待てば、500万円は戻るはずでは……」血の気が引いたMさんが証券会社に問い合わせると、今後の利息や元本が予定どおり支払われるかは、わからないとの説明を受けました。老後のために確保していた500万円が、十分に戻らない可能性が出てきたのです。

「500万円が全部なくなる?」破綻後に直面する現実

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Mさんが心配したのは、500万円をどの程度取り戻せるかという点でした。

実は、発行会社が破綻しても、投資額のすべてを失うとは限りません。残っている会社の財産や、その後の処理によっては、一部が返ってくる場合もあります。

仮に500万円の半分だけ回収できた場合、未回収となる元本は250万円です。さらに少ない金額しか戻らないケースも考えられます。※回収額は仮定であり、実際の回収割合ではありません。

返金される金額や時期も、すぐに決まるとは限りません。Mさんは、銀行預金と同じように元本が守られると思っていました。しかし、実際には発行会社の経営状態によって返済が難しくなることを知ったのです。

満期でも戻らない?FPが解説する社債と預金の違い

社債を購入することは、企業に資金を貸すことを意味します。そのため、約束された返済を受けられるかは、企業の支払能力に左右されます。

日本証券業協会も、発行会社が倒産すると、元本や利息を受け取れないおそれがあると説明しています。一方、銀行の定期預金には預金保険制度があります。

対象となる預金は、1金融機関につき預金者1人当たり、元本1,000万円までと破綻日までの利息などが原則保護されます。

社債は、この保護の対象になりません。国債は国が発行するため、個別企業の社債に比べて信用面のリスクが低いといえます。

ただし、個人向け国債以外の国債は、満期前の売却で損失が生じる場合があります。個人向け国債も原則1年経過後に中途換金できますが、一定の利子相当額が差し引かれます。

利息だけで選ぶと危険?社債の3つの注意点

購入前には、次の3点を確認しておきましょう。

  • 企業の財務状況: 利益や借入金を調べる
  • 社債の格付け: 返済能力の評価を確認する
  • 購入金額: 1社に資金を集中させない

企業の情報は、決算資料や有価証券報告書などで調べられます。商品によっては、目論見書も参考になります。格付けは返済能力を判断する材料ですが、高い評価を得ていても元本が保証されるわけではありません。

また、企業の業績が悪化すると、社債を途中で売ることが難しくなったり、購入価格を大きく下回ったりするおそれもあります。

特に退職金を使う場合、損失が老後の暮らしに与える影響まで考えることが大切です。利息の高さに目を奪われず、発行会社の経営状況や返済能力も含めて判断したいところです。


※プライバシー保護の観点から、内容を一部調整しています。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

の記事をもっとみる

注目コンテンツ