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『死亡保険金1,000万円』の保険に加入していた70代夫→死後、妻が請求したところ…保険会社から告げられた“280万円”の減額

  • 2026.11.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大学卒業後、国内の生命保険会社に35年間勤務し、個人・法人営業や営業所長、企画、事務部門などを経験してきた「あしふみ」です。

「終身保険で1,000万円入っているから、自分に何かあっても家族は安心だ」

そう思って保険証券を眺めてはいませんか?実は、解約せずに資金を用立てられる便利な「契約者貸付」を利用したまま返済せずに放置していると、想定外の資金不足に陥る恐れがあるのです。

今回は、71歳男性の事例を通じて、契約者貸付の盲点と正しい対処法をお伝えします。

「保険金は1,000万円あるから大丈夫」と考えていたAさん

Aさん(仮名)は71歳の男性です。

40代のころ、妻や子どもの生活を支えるために、死亡保険金1,000万円の終身保険に加入しました。子どもが独立したあとも契約を続けており、家族には常々、

「自分に何かあっても、保険金が1,000万円あるから大丈夫」

と話していたそうです。

しかし60代に入ると、自宅の修繕費や生活費など、まとまったお金が必要になる場面が増えてきました。そこでAさんが利用したのが、加入している生命保険からお金を借りられる制度でした。正式には「契約者貸付」と呼ばれます。

生命保険からお金を借りられる「契約者貸付」

契約者貸付とは、解約したときに戻ってくる「解約返戻金」がある生命保険などにおいて、その一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です。保険を解約する必要はなく、契約を続けたまま利用できるのが特徴です。

Aさんはこの制度を数回に分けて利用し、借入額は合計で230万円ほどになっていました。ただし、Aさんはこれを、

「自分が積み立ててきた保険のお金を、少し先に使っているようなものだろう」

と捉えていたようです。ここに大きな誤解がありました。

契約者貸付は、自分が積み立てたお金をそのまま引き出す仕組みではありません。あくまで保険会社からの「借入れ」であり、利用した金額には所定の利息がかかります。返済せずに放置すれば、利息はその間も積み上がっていきます。

遺族が請求して初めて分かった「約280万円」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

その後、Aさんは71歳で亡くなりました。妻は保険会社へ連絡し、死亡保険金1,000万円の請求手続きを進めます。家族は当然、証券に記載されたとおり1,000万円を受け取れるものと思っていました。

ところが、保険会社から告げられた金額は違っていました。

「お支払いする死亡保険金から、契約者貸付の元金と利息を差し引くことになります」

借りていた元金230万円に、返済されないまま積み重なった利息などが加わり、貸付残高は約280万円にまで膨らんでいたのです。その結果、家族が実際に受け取った死亡保険金は約720万円となりました。

妻は驚き、

「1,000万円の保険に入っていると聞いていました。280万円も少なくなるなんて知りませんでした」

と話しました。Aさんは契約者貸付を利用していることを、家族に詳しく伝えていなかったそうです。

借りたままにすると死亡保険金が減ることも

契約者貸付は、急な資金需要に対応できる便利な制度です。一方で、借りたまま返済しなければ利息は増え続けます。そして、死亡時点で貸付残高が残っていた場合、その元金と利息は死亡保険金から差し引かれるのが一般的な仕組みです。

Aさんのケースでも、保険証券には死亡保険金1,000万円と明記されていました。しかし、実際に家族が受け取れた金額は、契約者貸付の残高を差し引いた約720万円でした。「保険金額」と「実際に受け取れる金額」は、必ずしも一致しないケースがあるのです。

契約者貸付の元利金残高を把握することが大切

生命保険の契約者貸付は解約返戻金の範囲内で借入れができる便利な制度ですが、積立金の引き出しではなく利息が発生する借金である点に注意が必要です。

返済を据え置いたまま死亡すると、膨らんだ元利金が死亡保険金から一括で相殺されるため、証券記載の満額を受け取れず遺族の生活設計が狂うリスクがあります。さらに利息の累積によって借入残高が解約返戻金を超過した場合、保険契約そのものが失効する危険性も孕んでいます。

貸付を利用している場合は現在の残高や返済条件を速やかに確認し、家族にも利用状況を共有しておくことで、いざというときの経済的トラブルを未然に防ぎましょう。


執筆・監修:あしふみ
大学卒業後、国内大手生命保険会社に35年間勤務。個人・法人営業、営業所長、企画・販売促進、事務部門などを経験。FP2級の知識と保険実務の経験を生かし、保険や家計に関する情報を分かりやすく伝えている。

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