1. トップ
  2. エンタメ
  3. 森田剛がハマり役!『見上げてごらん』の「かなりリアルな中年」像に、映画ファンから共感の声「エールをもらった」「夢への距離感は人それぞれ」

森田剛がハマり役!『見上げてごらん』の「かなりリアルな中年」像に、映画ファンから共感の声「エールをもらった」「夢への距離感は人それぞれ」

  • 2026.10.27

森田剛が夢をこじらせた42歳の“万年マンガ家アシスタント”の主人公を演じる『見上げてごらん』が10月30日(金)より公開される。それに先駆けて開催したMOVIE WALKER PRESS試写会で来場者にアンケートを実施したところ、「じわじわとあたたかい気持ち。ほっこりしました」(20代・女性)や「夢や仕事の捉え方、いろんな視点が愛おしく楽しい作品でした」(40代・男性)など、世代や性別を問わずに「胸に響いた」という声が多数届いた。

【写真を見る】『ヒメアノ〜ル』から10年…森田剛が人間くさい中年マンガ家アシスタントに!?そのギャップに称賛の嵐

“何者か”になるために努力を重ね、それでもうまくいくことばかりではなく、悩み苦しみ、時には誰かを羨んだり…。そんな誰もが一度は経験したことがあるだろう“夢”との折り合いの付け方について、優しく問いかけ、肯定してくれるような本作。いったいどのような点が観客の琴線に触れたのだろうか。本稿では、アンケートに寄せられた感想コメントをピックアップして紹介しながら、ちょっぴり痛くて愛おしい本作の魅力を深掘りしていこう!

“夢”を見たことがある人なら刺さる!監督の経験から生まれたストーリー

“万年アシスタント”の主人公に、大きなチャンスがやってくる? [c]2026「見上げてごらん」製作委員会
“万年アシスタント”の主人公に、大きなチャンスがやってくる? [c]2026「見上げてごらん」製作委員会

マンガ家になるという夢を抱いて業界入りし、気が付けば20年近くも巨匠マンガ家のアシスタントを続けている土屋輝一(森田)。先にデビューした後輩に嫉妬し、人気声優の妻とは別居中で、一緒に暮らす中学生の娘とも気持ちがすれ違ってばかり。そんな土屋のもとにあるマンガ企画が舞い込み、彼は熱量不足に悩む編集者の潮田ユキ(森川葵)と40歳の新人アシスタントの山田ぽてと(川上友里)と共に一歩踏みだしていくのだが…。

「裏側の人間の葛藤や人生が丁寧に描かれていた」(40代・男性)や「人間ひとりひとりの生き方や人生を上手に表現している」(50代・男性)など、感想コメントのなかで特に目立っていたのは、リアルで的確な人物描写を評価する声だ。本作でメガホンをとったのは、是枝裕和監督が率いる映像制作者集団「分福」の森本晶一と佐藤快磨の2人の気鋭監督。森本監督が長年助監督として味わってきた経験を、マンガ家アシスタントの世界に置き換えて描いたオリジナルストーリーであり、職業は違っていても根底にあるテーマやメッセージは変わらない。

アシスタント歴20年。巨匠マンガ家の右腕として生きてきた土屋輝一(森田剛) [c]2026「見上げてごらん」製作委員会
アシスタント歴20年。巨匠マンガ家の右腕として生きてきた土屋輝一(森田剛) [c]2026「見上げてごらん」製作委員会

観客のなかには、マンガ家として活動しているという人や、かつてマンガ家や“ものづくり”に携わる仕事を夢見て叶わなかったという人が多く見受けられた。「大きく夢が叶わなくても、夢を見続けている道中も夢なんだなあ…。ずっと続けていれば、ずっと好きなこととつながり続けていられるんだと思いました」(30代・女性)というコメントからも見て取れるように、土屋と同じような時期を過ごしたことがある人ほど、自身の経験と重ね、振り返りたくなるようだ。

また、キャラクター性が際立った個性的な登場人物たちのアンサンブルや、彼らを優しく見つめるような視点のあたたかさ、作品全体を取り巻く独特のリズムに魅了される観客も多数。

「いい意味で脱力した。場面の切り替えやシュール感など、この一作そのものがマンガみたい」(40代・女性)

「ゆるいけど考えさせられる作品」(30代・女性)

「シュールなのにシニカルすぎない温かみがありました」(50代・女性)

面倒くさいけれど憎めない!「このキャラは森田さん以外ありえない」

本作を語るうえで欠かせないのは、主人公である土屋の魅力的なキャラクターだろう。V6のメンバーとして26年間も輝きを放ちつづけ、その活動中からも俳優として多くの映画やテレビドラマ、舞台などで類稀なる存在感を発揮してきた森田。一見、土屋とはかけ離れているように思われるが、夢や目標を追うことを諦め、“何者でもない”人生を生きるマンガ家アシスタントへと見事にハマっていた。同年代の男性からのコメントで目立っていたのは、そんな土屋に対する共感の声の数々。

【写真を見る】『ヒメアノ〜ル』から10年…森田剛が人間くさい中年マンガ家アシスタントに!?そのギャップに称賛の嵐 [c]2026「見上げてごらん」製作委員会
【写真を見る】『ヒメアノ〜ル』から10年…森田剛が人間くさい中年マンガ家アシスタントに!?そのギャップに称賛の嵐 [c]2026「見上げてごらん」製作委員会

「娘のためとか生活のために働いている姿が、40代の普通のサラリーマンと同じ感じがした」(50代・男性)

「かなりリアルな中年という人間臭たっぷりでした」(40代・男性)

「夢を持つことってそんなに重要か、という点は共感できる。ただし年を重ねての愚痴はみじめな感じがしたが、にくめないところもある」(50代・男性)

「こじれた感じがよかった。とても元アイドルには見えない」(40代・男性)

「何者にもなれないといいながらも、諦めきれずにもがく姿に共感した」(30代・女性)

一方で、「愛らしい」や「憎めない」という好意的なコメントが、女性を中心にあがっている。しかも40代や50代だけでなく、20代の若い観客からもあがっていたのは少々意外なところだ。

「こじらせてる42歳と聞くと、すごく面倒くさそうなヤツに聞こえるけど、ツッチーさんは人間みがあってどこか憎めない愛らしいキャラクター」(20代・女性)

「周囲の大人たちには当たりが強いですが、娘に対しては基本的に優しくて、かわいらしく感じました」(50代・女性)

「いわゆるいい人ではないけれど、強い信念を持つ熱い心を持っていたり…。憎めないキャラクターだった」(50代・女性)

「森田さんが演じたことによって、さらにキュートな土屋になったと思う」(50代・女性)

別居中の妻に苛立ちながらも、娘想いの一面がグッとくる! [c]2026「見上げてごらん」製作委員会
別居中の妻に苛立ちながらも、娘想いの一面がグッとくる! [c]2026「見上げてごらん」製作委員会

代表作である『ヒメアノ〜ル』(16)のように、これまでハードな役柄を演じることが多かった森田。しかし本作では、本当はマンガを描きたいのに「俺はこれでいい」と後輩の前で強がってしまうなど、どこまでも人間臭く、どこまでも面倒な中年男性という役柄で、従来のイメージからのギャップを炸裂させている。「このキャラクターは森田さん以外にありえない」(50代・女性)と太鼓判をおす声もあるように、本作で新たな一面を獲得し、今後さらに俳優として大成するはずだ。

もちろん「それぞれの登場人物に感情移入してしまい、111分という時間で喜怒哀楽の感情をすべて味わえた」(40代・女性)というコメントからもわかる通り、土屋以外にも魅力的な登場人物が続々登場する。「不思議な存在感が魅力」(40代・男性)や「かなりクセの強いキャラでちょっと引きましたが、だんだんいままで苦労してきた面も明らかになり応援したくなりました」(40代・女性)と、憧れだったマンガ界に意気揚々と足を踏み入れ、猪突猛進に仕事に励む新人アシスタントの山田ぽてとには、男女問わず「応援したくなる」とのコメントが。

迷える大人たちが織りなす人間模様…きっと誰かに共感したくなるはず [c]2026「見上げてごらん」製作委員会
迷える大人たちが織りなす人間模様…きっと誰かに共感したくなるはず [c]2026「見上げてごらん」製作委員会

また同僚や後輩ほどマンガ愛がなく、仕事にどこか熱中しきれないことに悩む編集者の潮田には「頑張っているけれど空回りもしていて、自分がどうしたいのかもわからず苦しんでいる姿に共感できた」(50代・女性)、「自分を誤魔化して自分なりにもがいている姿が共感しかなかった」(50代・女性)など、女性を中心に共感する声が多数。

「すべてのキャラクターが『あなたしかいないよね!』と言いたくなるくらいベストマッチしていました」(50代・女性)と、それぞれ異なる魅力を備えた登場人物たちが繰り広げる豊かな人間模様。きっと誰もが、自分自身と重ねたくなるような登場人物に出会えるかも?

解釈は人それぞれ!タイトルから受け取ったメッセージは?

潮田と山田と共にマンガづくりに踏み出す土屋に待つ未来とは? [c]2026「見上げてごらん」製作委員会
潮田と山田と共にマンガづくりに踏み出す土屋に待つ未来とは? [c]2026「見上げてごらん」製作委員会

そしてもう一つ本作を形づくる重要な要素となっているのは、芯を食ったようなセリフの数々。「どのセリフが印象に残ったか?」というアンケートの質問に対し寄せられた回答は、土屋が潮田に対してマンガへの熱烈な愛情を語るシーンでの「好きの質が違う」や、山田の実家で彼女の父親に潮田が言い放つ「娘さんの人生は娘さんのもの」など三者三様。そのなかでも特に多くの観客の心に刺さっていたのは、本作の主題ともいえる土屋のセリフ。「夢を叶えるって、そんなに大事?」だ。

「夢を叶えるのは大切だとずっと思っていたけれど、たしかにそこがゴールではない気がした」(50代・女性)

「私はこの言葉を言われたらなにも言えなくなってしまう。はっとさせられました」(20代・女性)

「人生いろいろでいいし、売れて成功することばかりがすべてではないと思った」(40代・女性)

「夢を叶えない限り幸せになれないのか、という問いとして考えさせられました」(40代・男性)

“夢”にどう折り合いをつけるべきか…なにかを志した経験がある人は必見! [c]2026「見上げてごらん」製作委員会
“夢”にどう折り合いをつけるべきか…なにかを志した経験がある人は必見! [c]2026「見上げてごらん」製作委員会

このセリフと同じように、本作が掲げる“夢との折り合いの付け方”を言い表しているのは、ほかでもない『見上げてごらん』というタイトルであろう。「映画を観終わって、このタイトルになにを感じたか?」という質問には、「上を目指せということではなく、自分のいる場所から少し空を見てみる。それくらいでもいい。夢への距離感やテンポはひとそれぞれ」(40代・男性)など、観客それぞれの多様で深い解釈が寄せられていた。

「肩の力を抜きなよ、というメッセージのように思えた」(40代・女性)

「夢が叶わなくてもいいし、それに向かって頑張ってもいいとエールをもらった」(20代・女性)

「一生懸命自分のやれることをやって胸張れるんだよ」(40代・男性)

「大好きなものを握りしめていけば、そのうちなんとか落ち着くところに落ち着くんだなと思いました」(30代・女性)

「見上げてみたら、自分にはなにが見えるんだろう」(50代・女性)

正解がないからこそ難しく、正解がないからこそおもしろいのが人生というもの。土屋が夢をこじらせた果てに迎えるラストシーンについては「予想外でびっくりした」(50代・女性)や「思わず笑っちゃいました」(40代・男性)という声もあり、これもまたどんなことが起こるかわからない人生模様を描く本作だからこその魅力といえるだろう。

「現実的な仕事について平凡な生活をしている生き方も、夢を追いかけ続ける生き方も、結末が良ければ最後はハッピーなんだと気づける映画」(50代・男性)。忙しい日々を送ることや、夢を追いつづけることにちょっぴり疲れた時にこの映画を観れば、ふと立ち止まって周りを見渡し、ちょっとだけ空を見上げたくなるはず。是非とも映画館で、あたたかな優しさに包まれるようなひと時を過ごしてみてはいかがだろうか。

文/久保田 和馬

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ