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「ごめんね。もうしないから」母の借金を3度肩代わりした父。隣の部屋から聞こえた笑い声が怖かった

  • 2026.10.27

父が差し出した一枚の紙

仕事を終えて帰り支度をしていた夜、実家の父から突然電話がかかってきました。

「話がある。今夜、来られるか」

「どうしたの?何かあった?」

そう尋ねても、父は詳しいことを話しません。いつもより低く、疲れたような声が気になり、私はそのまま電車で実家へ向かいました。

居間に入ると、父がテーブルの前に座っていました。隣の部屋では母がテレビを見ているようで、閉まったふすまの向こうから音が聞こえてきます。

「急に呼んで悪かったな。座ってくれ」

向かいに座ると、父はしばらく黙っていました。やがて、折りたたんであった一枚の紙を広げ、私の前に差し出しました。

「これ、母さんの借り入れの明細だ。引き出しの奥から出てきたんだ」

「……え?また借りたってこと?」

父はすぐには答えませんでした。

私は紙に目を落としたまま、言葉を失いました。

まさか、また母のお金のことで父に呼び出されるなんて。忘れようとしていた出来事が、一気によみがえってきたのです。

3度も返した母の借金

私たちは、父と母、姉、私、妹の5人家族です。

家族の中で、お金に対する考え方が大きく違っていたのが母でした。

母は欲しいものがあるとクレジットカードで買い物をし、支払いのお金が足りなくなると、銀行から借りて補っていたのです。

最初に借金が発覚したときは、家族で大変な騒ぎになりました。何百万円もの借金を、みんなでお金を出し合って返したのです。

「ごめんね。もうしないから」

母はそう言って笑いました。

ところが、その後も母は大きな買い物をするときにカードを使い続けました。

結局、家族で借金を返すことが3度も繰り返されたのです。

姉も妹も、最後には母を責める言葉さえ出てこなくなっていました。

「もう無理だよ。お願いだから、カードは持たないで」

家族でそう伝え、母のカードを取り上げました。

母は少し寂しそうな顔をしましたが、素直に差し出してくれました。

「これで、今度こそ大丈夫だな」

あのとき父とそう言い合い、私もようやく安心できたのを覚えています。

カードでの買い物をやめれば、もう同じことは繰り返さないだろう。そう信じたかったのです。

隣の部屋から聞こえてきた笑い声

けれど今、目の前には母の借り入れに関する明細があります。

「カードはもう持たせてないよな」

「ああ。だから俺も、もう大丈夫だと思ってたんだけどな…」

父は深いため息をつきました。

「まさか、またこんなものが出てくるとは思わなかったよ」

それが以前の借金に関係するものなのか、別の借り入れなのか、私には判断がつきませんでした。

ただ、何百万円もの借金を家族で返したあの日々が、また繰り返されるのではないか。その不安が頭から離れません。

そのとき、ふすまの向こうから母の笑い声が聞こえてきました。

テレビの番組を見て笑っている、いつもと変わらない明るい声でした。

父は何も言わず、明細をゆっくりたたんで、テーブルの横の引き出しにしまいました。

「……どうしたらいいんだろうな」

私は答えられませんでした。

3度も借金を返して、カードまで取り上げた。それでも、母がお金を借りること自体を止められるわけではなかったのです。

ふすまの向こうから、また母の楽しそうな笑い声が聞こえました。

何も変わっていないように聞こえるその声が、今はひどく怖く感じられました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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