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フェンディ「バゲット(R)」が纏う新しい軽やかさ。マリア・グラツィア・キウリが描く、現代のアイコンバッグ

  • 2026.10.26
Hearst Owned

「バッグは、持つ人のパーソナリティを映し出すもの」。そう語るのは、パーソナルイメージディレクターの植原ほのさん。連載【自分らしく輝くための着こなしレッスン】では、日々の着こなしをブラッシュアップするためのテクニックを学んでいきます。

今回は、FENDI(フェンディ)のアイコンバッグのひとつ「バゲット(R)」に注目。1997年の誕生以来、多彩なデザインが生み出されてきたこのバッグが、新たにチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したマリア・グラツィア・キウリの手によって、軽やかに生まれ変わりました。その背景には、マリア自身のキャリアにも関わる、「バゲット(R)」誕生の歴史があります。マリアが再解釈したバッグの魅力を、植原さんが提案するファッション哲学「オクタゴン」を通して読み解いていきます。

時代とともに愛されてきたフェンディのアイコンバッグ「バゲット(R)」

シルヴィア’s favorite の初代「バゲット(R)」 (C)FENDI

1997年、当時フェンディのクリエイティブディレクターを務め、現在は名誉会長を務めるフェンディ家の3代目、シルヴィア・フェンディによって生み出された「バゲット(R)」。

エレガンスと機能性を兼ね備えたこのバッグの名前は、フランスパンの“バゲット”に由来します。パリジェンヌがフランスパンを小脇に抱えるように、コンパクトで軽快に持ち歩けるバッグとして登場。女性のライフスタイルが大きく変化した1990年代、身体に寄り添い、身体の一部のように持つというスタイルが多くの女性たちの心をつかみ、時代を象徴するアイコンバッグとなりました。

その人気を決定づけたのが、テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』。サラ・ジェシカ・パーカー演じる主人公キャリー・ブラッドショーが劇中で愛用したことで、世界的な注目を集めました。「This is not a bag, it’s a Baguette!(これはただのバッグじゃない、バゲットなの!)」という名セリフとともに、ファッション史にその名を刻んでいます。

原点を見つめ直す、マリア・グラツィア・キウリの新たな解釈

新たにチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したマリア・グラツィア・キウリが、デビューとなる2026-27年秋冬コレクションに向けて最初に取り掛かったのが「バゲット(R)」でした。実はマリア自身、フェンディでこのバッグが誕生した当時、その生みの親であるシルヴィアと同じチームに在籍。そんな彼女にとって、「バゲット(R)」は特別な思い入れのある存在だったことでしょう。

1992年当時のマリア・グラツィア・キウリ (C)FENDI

今回発表された「バゲット(R)26424 リエディション」には、誕生当時に初めて与えられたモデルコード「26424」が冠されています。そのネーミングからも、マリア自身の“原点回帰”への思いが感じられます。来年で誕生30周年を迎える「バゲット(R)」は、これまで歴代デザイナーによる解釈や、さまざまなブランドとのコラボレーションを通じて、時代を映し出す多彩な表情を見せてきました。そうした変遷を重ねてきたバゲットに、マリアは自身のルーツに立ち返り、シルヴィアの精神を受け継ぎながら、現代を生きる女性のスタイルに寄り添う解釈を加えています。

(C)FENDI

今回マリアの手によって再解釈された「バゲット(R)」は、誕生当時のような身体との親密な関係を取り戻したかのよう。フォルムはより柔らかく、スリムで軽やかに。構築的な印象を抑えながらも、シルエットは美しく保たれています。存在感を主張するバッグというよりも、まるでコスメティックポーチのように、持つ人の身体に自然となじむ存在へ。単に荷物を運ぶための機能的なアイテムではなく、装いのムードをつくり出す、より私的でパーソナルなものへと変化したようにも見て取れます。

今回は、植原式「ファッション哲学(オクタゴン)」の「Accessory」「Fabric」「Attitude」という3つの視点から、マリア・グラツィアが手掛けた「バゲット(R)」の革新性を探ります。

【Accessory】ジュエリーのように、装いにアクセントを

2026-27年秋冬コレクションでは、「バゲット(R)」を単に荷物を入れるためのバッグとしてではなく、装いにアクセントを添えるアクセサリーのように取り入れるスタイリングが提案されました。

(C)FENDI

ジュエリーを身につけるような感覚で、洋服との完璧な調和を求めず、あえて少し外して身につける。その小さな違和感が、装い全体の印象を変えてくれます。

(C)FENDI

大きなトートバッグと「バゲット(R)」を組み合わせたルックも、そのひとつ。トートバッグに実用性を担わせながら、バゲットをアクセサリー感覚で添えることで、日常の利便性とファッション性を両立。そこには、女性の身体や暮らしに寄り添うマリアの思想が垣間見えます。

【Fabric】色と素材から広がる、スタイリングの可能性

刺繍やビーズ、プリントなど、多彩な素材や装飾をまとった「バゲット(R)」が登場。マリアはランウェイに登場したもの以外も含め、約30型ものバリエーションを生み出しました。その豊富な選択肢が、スタイリングの幅をさらに広げてくれます。

(C)FENDI

マリアの手によって、より柔らかく軽やかになった「バゲット(R)」。フォルムの主張が抑えられたことで、色や素材そのもののにいっそう目が向きます。バッグを洋服に合わせるだけでなく、色や素材が持つ表情を楽しむという視点が、日々の装いに新たな可能性をもたらします。

(C)FENDI

洋服では主張が強くなりがちな素材や大胆な色使いも、コンパクトな「バゲット(R)」なら、自由な感覚で取り入れられます。端正なテーラリングに意外性のある素材を重ねれば、装いの印象も一変。豊富な色や素材から何を選ぶか、その選択には、持つ人それぞれのパーソナルなストーリーが映し出されるようです。

【Attitude】持ち方が生み出す、余裕のある佇まい

今回の「バゲット(R)」で印象的なのが、ストラップの使い方です。長さの異なる2種類の細いストラップが付属し、かつてのアーカイブに見られた装飾的なベルトとは対照的に、よりミニマルなデザインへと変化。身体との距離を縮めるように、自然に身につけられる仕様となっています。

(C)FENDI

ランウェイで多く見られたのは、長いストラップをあえて短めの位置で留めるスタイリング。クロスボディとしても使えるストラップを短く調整し、ハンドバッグやショルダーとして持つと、余った部分がバッグの両サイドに長く垂れ、歩くたびに身体のまわりで揺れ動きます。その動きが生むのは、「Ease=余裕」というアティチュード。 ストラップのあしらいも、装いにムードを添えるデザインとして存在感を放ちます。

また、その名の由来を思わせるように小脇に抱えたり、クラッチバッグのように手に持ったりと、持ち方によってさまざまな表情を見せます。身体に寄り添う「バゲット(R)」は、持つ人の美しい佇まいを引き立てます。

マリアのデビューコレクションでは、デニムやテーラリング、ユーティリティウェアなど、テーマ性のあるルックに「バゲット(R)」が加わることで、装いにニュアンスが生まれていました。新しい「バゲット(R)」は、持つものから身につけるものへ。単に荷物を運ぶだけでなく、持つ人のパーソナリティやスタイルを映し出します。

スタイルを決定づける8つの要素 「Fashion Octagon」 とは?

まず、植原さんが提案する“ファッション哲学”では、オシャレを完成させるために必要な要素は8つに分類。それが「Fashion Octagon(ファッション オクタゴン)」という方程式です。

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  1. Silhouette(シルエット):全体のシェイプバランス
  2. Color(カラー):カラーチョイスのテクニック
  3. Layer(レイヤー):重ね着や重ね付けなどのテクニック
  4. Fabric(ファブリック):生地選びや生地合わせの効果
  5. Attitude(アティテュード):その人自身が放つムード
  6. Accessory(アクセサリー):靴やバッグ、ジュエリーなど小物使い
  7. Contrast(コントラスト):メリハリをつけるテクニック
  8. Exposure(エクスポージャー):肌見せなど露出加減の効果

問い合わせ先
フェンディ ジャパン
TEL/0120-001-829
URL/www.fendi.com

TEXT:NANA SUZUKI

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