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「試着室で着ただけよ!」汚れのついたアウターを返品しに来た女性客。だが、店長が取り出した白いカバーを見て言葉に詰まった瞬間

  • 2026.10.26

返品されたアウターの首元に残っていた汚れ

10年ほど前、服のセレクトショップでアルバイトをしていたころの話です。当時の私は、まだ仕事を覚え始めたばかりの新人でした。

平日の夕方、20代後半くらいの女性客がレジにやってきました。手には春物の新しいアウターを持っています。

「これ、返品したいんだけど」

私は商品を受け取り、レジ台の上に広げました。

すると、首元のタグのあたりに、うっすらとファンデーションのような汚れがついていることに気づいたのです。

さらに、袖口からはかすかに香水の香りもしました。

店では、一度着用した商品の返品は原則として受け付けていません。

ただ、目の前のお客様が実際に着用したかどうか、私には判断できませんでした。

困った私は、近くにいた店長を呼びました。

店長は私の横に立ち、アウターの状態を確認してから女性客に尋ねました。

「恐れ入ります。こちらは一度、ご試着かご着用をされていますか?」

すると、女性客の表情が険しくなりました。

「はあ?試着室で着ただけよ!」

店長が首元の汚れを確認しようとすると、女性客はレジ台をたたき、さらに声を荒らげました。

「こっちが汚したみたいに言わないでよ!いいから全額返金して!」

突然の大声に、店内にいた数人のお客様もこちらを振り返りました。

私はどう対応すればいいのか分からず、思わず頭を下げました。

「申し訳ございません…」

けれど、店長は落ち着いた様子で女性客に向き合っていました。

店長が取り出した白いカバー

店長はレジの下から、白い布のカバーを取り出しました。

試着室で洋服を着る際、顔の化粧が商品につかないようにするためのフェイスカバーです。

「お客様、当店ではご試着の際、こちらをお渡ししています」

そう言って、女性客にも見えるようにカバーを広げました。

「お化粧が服につかないように、使っていただくものなんです」

女性客は一瞬、言葉に詰まったようでした。

「それが何なのよ…」

店長はアウターの首元を示しながら、続けました。

「こちらにはファンデーションのような汚れがあります。それに、袖口から香水の香りもします」

「だから、私は汚してないって言ってるでしょ!」

「はい。ただ、この状態ですと、着用されていない商品として返品をお受けすることは難しいんです。申し訳ございません」

店長が静かに伝えると、女性客は何か言い返そうとして口を開きましたが、それ以上の言葉は出てきませんでした。

周囲のお客様の視線も気になったのか、女性客は顔を赤くしてアウターをつかみました。

そして、返金については何も言わず、足早に店を出ていったのです。

女性客がいなくなると、店長は私の肩にそっと手を置きました。

「怖かったね。大丈夫?」

私は小さくうなずきました。

「すみません。何も言えなくなっちゃって……」

すると店長は、穏やかに言いました。

「ちゃんと汚れに気づいてくれたじゃない。それで十分だよ」

その言葉を聞いて、ようやく緊張がほどけました。

店長はフェイスカバーをたたみ、レジの下へ戻しました。

私も気持ちを落ち着かせ、もう一度レジに向き直りました。

相手が強い口調で迫ってきても、確認すべきことは確認する。新人だった私にとって、店長の落ち着いた対応は忘れられないものになりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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