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産後うつで「助けて」その返事は…子育て中のママへかける 「何かあったら言ってね」の一歩先

  • 2026.10.24

かつて産後うつだったひとりのママと、子育てに悩み笑顔を失いかけたママたちの姿を見てきたひとりの助産師。
2人の出会いから「ママたちの居場所」づくりが始まりました。

北海道で初めての産後ケアホテル事業「Cocokara」を通して、高橋奈美さんと荒木美里さんの2人が感じてきた思い…
それが「子育てに正解はない!」ということ。

ときに悩み、しんどくなったそのときに。
【連載|子育てに正解なし!ママの居場所から見た景色】がそっと寄り添い、明日ふっと笑える一助になりますように。

Sitakke

連載|子育てに正解なし!ママの居場所から見た景色

前編の記事ではCocokara代表の高橋さんが、産後、子育てに孤独を感じ、一人追い詰められていった経緯をお伝えしました。

産後うつを経験した高橋さんがようやく「助けて」と伝えた先で感じたことと、今、ママたちに伝えたい「人に頼る」ことへの思いを聞きました。

返ってきたのは…感情がわいてこない…

Sitakke

立ち上がることもできず、ごはんも食べられない。
ただ横になって、ぼんやりと時間が過ぎていくような状態…
本当に限界だと感じたその日、夫に「助けてほしい」と伝えると…

返ってきたのは「美容室に寄ってから帰る」という返事でした。

夫にも予定があったのだと思います。
ただ、あのときの私は、できることならすぐに帰ってきてほしかった。

たった一言の「助けてほしい」では、私がどれほど追い詰められていたのか、夫には伝わっていなかったのかもしれません。
でも、あのときの私には、それ以上自分の状況を説明する気力も残っていませんでした。

悲しいとか、腹が立つとか、そんな感情すら湧いてきませんでした。
ただ、何も感じなくなってしまったような感覚でした。

「何かあったら言ってね」の、その先

Sitakke

あのころの私は、産後うつの状態にありました。

今なら、もっと早く誰かに相談してもよかったんだと思えます。
でも、あのころの自分に「どうして助けを求めなかったの?」とは言えません。

人に頼ることが苦手な人にとって、「助けて」と伝えることは、とても勇気が必要だからです。

心も体も疲れ切ってしまうと、自分が何に困っているのか、何をしてほしいのかさえ、わからなくなることもあります。

「何かあったら言ってね」

その言葉に救われることも、もちろんあります。
でも、何かあっても言えない人がいることも、知ってもらえたらと思います。

助けを求めること自体が難しい人にとっては、その言葉をもらっても、尚、頼るのが難しい場合があります。

だから、もし身近に子育て中のお母さんがいたら、少しだけ踏み込んで声をかけてみてほしいのです。

「赤ちゃんを見ているから、少し寝ておいで」
「ごはんを持っていこうか?」
「きょうは私がこれをやるね」

もちろん、相手の気持ちを確かめることも大切です。
でも、誰かが具体的に手を差し伸べてくれることで、初めて「頼ってもいいんだ」と思える人もいるのではないでしょうか。

今も、頼ることは得意じゃない

Sitakke

そんな経験をした私ですが、実は今でも人に頼ることが得意ではありません。
夫との関係も、あの日を境に劇的に変わったわけではありませんでした。

私自身も、長年溜め込んだ思いをどう伝えていいかわからず、言えないまま我慢を重ねていました。

初めて本音でしっかりと話し合えたのは、それから数年が経ち、娘が3歳になったころ(昨年)のことです。
それまで伝えられなかった思いを、数日かけてお互いに話しました。

あのころの私のつらさを100%理解してもらうことは難しいかもしれません。
それでも、夫は私の話に耳を傾け、当時の私がどんな状態だったのかを知ろうとしてくれました。

私自身も、「すべてを理解してもらおう」と期待するのではなく、事実として自分の状態を伝え、「何ができて、何ができないのか」「どんな助けが必要なのか」を具体的に言葉にする練習を少しずつ始めました。

お互いにすぐには変われませんし、今でも自分の気持ちをうまく伝えられず、話し合いを重ねることがあります。

それでも、相手にわかってもらうためには、まず自分の気持ちを言葉にして伝えることが大切なのだと、少しずつ感じるようになりました。

たとえ断られても、頼ったことは間違いじゃない

Sitakke

今、私はCocokaraでたくさんのお母さんたちと出会っています。

赤ちゃんのお世話を一生懸命がんばっている方や、疲れていても「大丈夫です」とおっしゃる方。
そんな姿を見ると、あのころの自分を思い出すことがあります。

私自身、今も試行錯誤の途中ですが、あのころと比べて一つだけ、考え方が変わったことがあります。

以前の私は、人に頼ることをどこか申し訳ないことだと思っていました。

Sitakke

でも今は、誰かに頼ることも自分や家族を大切にするための一つの方法なのだと思っています。

もちろん、勇気を出して誰かに頼っても、断られてしまうことはあるかもしれません。

人に頼ることが苦手な人ほど、一度断られただけで「やっぱり頼らなければよかった」「迷惑をかけてしまった」と、自分を責めてしまうこともあると思います。

でも、断られたからといって、あなたが頼ったことが間違いだったわけではありません。

相手にも事情があって、たまたまタイミングが合わなかっただけかもしれない。
誰かに頼ることと、そのお願いを相手が引き受けられるかどうかは、別のことなのだと思います。

だから、一度断られたとしても、誰かを頼ることをあきらめないでほしいのです。

何気ないときに頼っていい

Sitakke

一人に頼れなかったとしても、ほかの誰かや、専門家、産後ケアなどのサービスを頼るという選択肢もあります。

子育ては、誰かと比べてがんばりを競うものではありません。

「こんなことで頼っていいのかな」
「みんながんばっているのに、私だけ休んでいいのかな」

そんな風に思うこともあるかもしれません。
でも、誰かに頼るために、限界までがんばる必要はありません。

疲れたとき、少し休みたいとき、誰かと話したいとき。
そんな何気ない理由でも、人を頼っていいんです。

もちろん、すぐに誰かに頼れるようになるのは難しいかもしれません。私自身、今でも練習中です。

それでも、どうか限界を迎える前に、誰かにSOSを出してほしいと思います。
あのころの私に声をかけられるとしたら、こう伝えたいです。

「一人で全部がんばらなくても大丈夫。頼ることは悪いことじゃないし、たとえ断られたとしても、自分を責めなくていいんだよ」

そして、今同じように一人でがんばっているお母さんにも、この言葉を届けたいと思っています。

Sitakke

私がCocokaraを始めたのも、そんな自身の経験があったからです。
今では、この想いに共感してくれたスタッフたちが、一緒にお母さんと赤ちゃんを迎えてくれています。

赤ちゃんを大切にするのはもちろんですが、お母さん自身にも、安心して休んでほしい。
誰かに頼ることを、少しでも心地よく感じてもらえる場所でありたいと思っています。

もし、いつか誰かの力を借りたいと思ったとき、Cocokaraも頼れる場所の一つとして思い出してもらえたらうれしいです。

連載|子育てに正解なし!ママの居場所から見た景色

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文:Cocokara 高橋奈美
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は執筆時(2026年10月)の情報に基づきます。

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