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「心が歪(いびつ)になってしまった」笑ってしまうのは、たくさん傷ついてきたから【#むちぞん】

  • 2026.10.24

世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。

情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。

第3回のテーマは、知らないことで、近くにいる人を傷つけているかもしれない…「性の多様性」について考えます。

ゲストに、HBCテレビ「今日ドキッ!」のコメンテーターであり、Sitakkeでもお悩み相談連載を担当している満島(みつしま)てる子さんをお迎えしました。

聞き手は、HBC本間吏成(ほんま・りせい)アナウンサーと、WEBマガジン「Sitakke」編集長・幾島奈央(いくしま・なお)です。

これまでの記事は連載「むちぞん」に掲載しています。

「心が歪(いびつ)になってしまった」

幾島)てる子さんは「自分は発信者だからとことん対話する」とおっしゃいましたけれど、直接悪意をぶつけられて傷つかないわけないじゃないですか。

傷つきながらも発信を続けていこうと思われるのは、どうしてですか?

てる子さん)そうですね……これって自分で反省したり「自分ってそうなっちゃってるんだ」と思ったりすることでもあるんですが、私、傷ついたときに逆に燃えたり「おもしろいね!」と思っちゃうようになっちゃってるんですよね。

この前、友達と旅行に行ったときに、私ともう1人のゲイの女装、そしてもう1人の3人でご飯を食べていたときに、隣の席の人から不適切な言葉を言われたことがあって。女装していない友達は「そんなこと言うなんて!」とすごく怒っていたんですが、私と女装の友達は「久々に言われたね!テンション上がるね!」って盛り上がっちゃったんですよ。

Sitakke

てる子さん)だけど後から考えると、悪意を向けられたときも自分たちのエネルギーに変えていかないと生き残れないくらい、いろんな傷つきが今まであった証拠だなと思ったんですよね。そうやって傷つかないように心のかたちを変えてしまっている当事者もいるし、うまくできなくて深く沈んでしまっている当事者もいる。

私の心も歪(いびつ)になってしまっているのかもしれません。だけど、私はそのいびつさを上手く使って、他の仲間たち、LGBTQのコミュニティの誰かが無知によって傷つくことがないように、自分はどんなことを言われても表立っていこうと思っているんです。

本間アナ)強いなと思う反面、その強さは今までたくさんのダメージを負ってきたからこそなんですね。

「みんな違ってみんないい」?

幾島)今日お話を聞いていて、「多様性は当たり前に大事」と思うけれど、ただ「みんな違ってみんないいよね」ときれいごとで終わらせちゃいけないんだなと思いました。もう多様性って当たり前の時代だよねじゃなくて、傷ついてきた歴史にもちゃんと目を向けなきゃいけない。

Sitakke

幾島)私自身も、「4つの指標」(くわしくは2回目の記事で紹介)で言うと、ご覧の方は私は髪も長いし見た目から女性だなと思われていると思う。ただきょうもパンツスーツだし、髪型も内側ツーブロックで刈り上げているんですよね。性表現は女性性があまり強くないほうだと思う。

女性というカテゴリーの中でもいろんなグラデーションがあるなって、みなさんも周囲の方々を思い浮かべるとわかると思うんですよ。

みんなそれぞれ違う部分があって、自分の中にマイノリティな部分もマジョリティな部分もある。そして私の中にもきっと差別がある。そういう自分の中の差別・偏見にちゃんと向き合う覚悟を持たなきゃいけないなと思いました。

Sitakke

てる子さん)本当にそうなんですよね。よくLGBTQの話題になると「みんな違ってみんないい」と言われたりするんですが、日常生活のトイレの仕様ひとつ取っても、結婚という人生のターニングポイントにおいても、当事者は平等な扱いを受けられているわけではないという社会課題があるんです。「みんな違ってみんないい」けれど、違うことで苦しんでいる人がいることを知らなきゃいけない。

差別やヘイトによって精神的に参ってしまったり、命を落としてしまう仲間も実際にいるんです。だからこそ無知ではない状況になっていってほしいなと思います。

本間アナ)自分の無知が理由で、無意識に傷つけてしまっている人がいる。知っておかないといけないですね。

Sitakke

本間アナ)この番組「むちぞん」では、ゲストから次回のゲストへ質問のリレーを行っているのですが、てる子さんから次回のゲストに聞いてみたいことはありますか?

てる子さん)私はLGBTQという観点から社会構造が変わっていったらなと思って発信を続けている人間なので、次の方に「社会を変えていくためには、何をしたらいいと思いますか?」というのを聞いてみたいです!

本間アナ)ありがとうございます!しっかりとお渡ししておきます。

収録を終えて

本間アナ)いやあ、自分がどれだけ無知だったかと思い知らされましたね。特にトイレの話、外出時にどこに多目的トイレがあるかマップで調べて出かけている人がいるなんて考えたこともなかったので、大きな衝撃でした。自分の知識の浅さを感じましたし、意識を変えていかなきゃいけないなと強く思いました。

Sitakke

幾島)私もいろんな取材をしてきたけれど、きょう初めて知ることもあった。私はわかっている、という状態になることってたぶんないんですよね。自分の中の差別や無知に向き合い続けるのが大事。

今回、それに付き合ってくれたてる子さんに感謝ですし、結婚の自由訴訟の原告ですとか、日ごろ批判にさらされるこわさがあるのに取材に応えてくれる方々のおかげで社会が少しずつ変わっているんだと思う。メディアとしても、知るきっかけを発信し続けていきたいですね。

本間アナ)悪意なく自分も傷つけていたことがあっただろうなって、なんか自分が嫌になりました(笑)

幾島)そうだよね、自分の発言で傷つけてしまうんじゃないかってこわさがある収録だった中で、本間アナも付き合ってくれてありがとうございました。

本間アナ)ありがとうございました。これからもたくさん勉強させていただきます!

むちぞん~無知は損する~

Sitakke

HBCニュースのYoutubeで動画を公開しています。

HBCアナウンサー・本間吏成

稚内市出身。HBCラジオ「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」パーソナリティ、野球実況、HBCテレビ「キタコイ」を担当。Sitakkeでは「むちぞん~無知は損する~」や「アライマ(アラサーの今、話してみた)」に出演。好き勝手に喋るので、リスナーからは「ナルミッツの毒」と言われる。

Sitakke編集長・幾島奈央

報道記者時代に、結婚の自由を求める訴訟などを通して性の多様性について取材。現在はWEBマガジン「Sitakke」と、クマと人のいい距離の保ち方を考えるサイト「クマここ」の運営を担当。

ゲスト:満島てる子さん

三重県出身、北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。札幌・すすきののバー「7丁目のパウダールーム」店長。HBCテレビ「今日ドキッ!」コメンテーター、HBCラジオ「したっけラジオ」パーソナリティ、Sitakkeお悩み相談コラムのライターを務める。

※掲載の内容は収録時(2026年7月)の解説・議論に基づきます。

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