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飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖

  • 2026.10.24

メジャーの大舞台で存在感を放つ選手たちには、共通して「勝てる理由」がある。飛距離もスイングプレーンもクラブの使い方も異なる3人の連続写真から、世界基準のスイングに秘められた強さを読み解いていく。

ズバ抜けた方向性を生み出す究極のオンプレーンスイング

山下選手の神ワザPointは、微動だにしない前傾姿勢です。左股関節に詰まりがあると、右サイドがボール方向へ近づき、上半身が起き上がるエラーにつながります。しかし山下選手は、インパクトで骨盤が前方へ出ることなく、きれいに目標方向へ回転できている。これが美しいスイング軌道の源になっています。

アドレス~バックスイング

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:シャフトが背骨に対して直角(左)

しっかりと股関節に重心が乗ったアドレスです。シャフトと背骨の角度がほぼ直角の関係にあり、遠心力をかけやすいポジション。

ハーフウェイバックではヘッドが手元に重なるように上がり、完全にオンプレーンで振り上げています。また、フェース面も背骨と同じ角度で、スクエアに保てている。ドライバーの方向性を改善したい人は、このバックスイングをマネするだけでも効果的です。

バックスイング~トップ

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:右前腕の回旋にシャフトが同調している(左)

左腕が地面と平行になったタイミングをよく見ると、右手の親指がグリップから離れています。こうすることで右手の力が抜けて、切り返しやダウンスイングで自然な「タメ」と「リリース」ができる。

トップでは胸が90度以上回っているためシャフトクロスのポジションに見えますが、両腕は体の正面にあります。腕で振り上げてワキがあいているわけではありません。

ダウンスイング~インパクト

ハーフウェイダウンではシャフトが右前腕に重なっているので、バックスイング時よりも少しシャローなプレーンから下りてきています。このタイミングでヘッドが背中側に見えているため、かなりタメが強い。

インパクトではおヘソと胸がターゲット方向を向いています。これだけ体が先行しているからこそ、タメが強くクラブがインサイドから下りてきてもストレートボールが打てるのです。

フォロースルー

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:フォローでもシャフトが背骨に対して直角(左)

フォローではフェースが斜め下を向いているので、腕のローテーションがしっかり入っていることがわかります。そして注目すべきは、やはりシャフトの角度。ここでも背骨とシャフトが直角の関係になっている。

自分の回転軸に対してつねにクラブが直角の位置にあるため、効率よくスピードを上げることも、バランスよく振り切って方向性を出すことも容易になります。

体と腕の運動量、バランスが秀逸世界No.1のスイング

コルダ選手のスイングは、フォローでの前腕部における回転の少なさが特徴的です。この写真を180度回転させると、まるでアドレス時の腕とクラブの関係性に見えるほど、フェース面がスクエアを維持しています。上腕部は回旋しながらクラブはオンプレーンをキープし、前腕部のローテーションは抑える。これはまさに神ワザです。

アドレス~バックスイング

日本ツアーの女子選手に比べて、手元の位置が高いのが特徴のひとつ。バックスイングでは体の動きに比べてクラブの運動量が多く見えますが、それだけでなくスイング軌道の「角度」に最大のポイントがあります。

山下選手に比べて27センチも身長が高く、スイングプレーン自体が「タテ」に近いため、体の動きもタテ回転の成分が多くなる。骨盤の前傾角度が浅いのも、それを中和するためのヨコ回転の成分を追加するためです。

バックスイング~トップ

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:クラブを早めにプレーンに乗せている(左)

左腕が地面と平行になったときでも、まだ体は完全に右を向いていません。最近は飛ばしのために、このタイミングでシャフトを立てておき、切り返しで寝かせてシャフトに負荷をかける方法もあります。しかし、コルダ選手の場合は素直に腕のローテーションを行なって、シャフトがプレーンに重なるように上がっていく。

トップでもクラブヘッドが後方から見て手元にほとんど重なっているので、完全にプレーン上でクラブを動かしています。

ダウンスイング~インパクト

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:切り返し以降も右肩が高い(左)Point:クラブがアンダーから入らない(右)

ダウンスイングでは上半身と下半身の捻転差を保ったまま動き、骨盤が正面を向いているのに対して、胸が後方を向いているのがよくわかります。シャフトは引き続きオンプレーンで、特徴的なのはこのタイミングでも、まだ右肩のほうが左肩より高いことです。

肩を回していくと、いずれ左肩のほうが高くなりますが、コルダ選手の場合はそれに対して手元が下りてくるタイミングが少し早い。右肩がすぐに下がらないので軸が傾かない、クラブがインサイドから入りすぎない利点があります。

フォロースルー~フィニッシュ

フォローでもシャフトはオンプレーンで、まさにとてつもない安定性です。フェースは地面に対してほぼ垂直で、これは腕のローテーションが少なく、フェースがスクエアな向きをキープしていることを意味します。骨盤は完全にはターゲット方向を向いていません。これは、ダウンスイングからインパクトにかけて下半身の運動量が減っていき、上半身、そして腕が追い越していった結果の形。

フィニッシュでも右足が完全にはめくれ上がっていないため、とても静かな下半身の使い方をしていることがわかります。

ぶ厚くつかまえて飛ばす強烈ドロースイング

フェースをシャットに使いながらヒッカケを打たないことが、ティティクル選手のスイングの妙。ダウンスイングでクラブを遅らせ、インサイド・アウト軌道を作ることでこれを実現。

ただし、このとき軌道が極端にインサイド・アウトになりすぎると、つかまりすぎてしまうので要注意。強い球を打つためのシャットフェースと、過度なつかまりを抑える軌道のバランスが見事です。

アドレス~バックスイング

どこにもリキみがないとてもバランスのいいアドレスです。手元と体が少し離れていて、インパクト時のクラブの通り道をしっかり確保している。

バックスイングは体から動かすタイプで、シャフトが地面と平行になるタイミングでも、前腕や手首はアドレス時の形を保っています。フェースは前傾角度と平行なので、スクエアのままです。

バックスイング~トップ

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:トップができる前に下半身が動き出す(右)

左腕が地面と平行になるタイミングでは、体の回転はすでに完了しており、それと同時に右腕の外旋が行なわれてクラブがオンプレーンに乗ります。右手は甲側に折れており、フェースの向きはクローズな状態。

トップまでクラブが上がったときにはそれまでよりもヒザが少し深く曲がり、左足への体重移動がはじまる。この時点で下半身は切り返しをスタートさせています。

ダウンスイング

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:体のうしろ側からクラブが下りてくる(左)

手元が腰の高さまで下りてきたときに、まだヘッドは手元より高い位置にあります。腕や手首の力を抜いて時間差を大きく作っているため、インパクトに向かって大きな加速が生まれる。

コルダ選手と比べると、この段階の右肩の高さの違いが顕著です。ティティクル選手の場合、インサイド・アウト軌道でぶ厚くインパクトしたいので、少し体を傾けています。

インパクト~フォロースルー

飛距離と安定感のカギは?メジャー優勝女子プロのスイング大解剖
Point:ヘッドが完全にターンしている(中央)

インパクトで地面をしっかり蹴っていることで少し体が伸び上がり、前傾角度は浅くなります。これは必ずしも悪い動きではありません。伸び上がりの反作用で腕やクラブが地面方向へ強く振り下ろされ、これによって最後までヘッドスピードを加速しきることができる。

フォローを見るとフェースが真下を向いているので、腕のローテーションをフルに使って、ボールをつかまえながらヘッドスピードも加速させています。

いかがでしたか? プロのスイングをぜひ参考にしてみてくださいね。

解説=アッキー永井
●ながい・あきふみ(永井研史)/
1987年生まれ、神奈川県出身。理論的なレッスンで支持を集め、千葉県を拠点にジュニア育成や競技者指導を行なう。日本体育大学女子ゴルフ部では、テクニカルコーチとして選手強化に携わる。Canvath Golf代表。


山下 美夢有
●やました・みゆう
2001年生まれ、大阪府出身。150cm。2022年から2年連続でJLPGA年間女王に輝き、2025年の「AIG全英女子オープン」でメジャー初制覇。小柄な体格ながら、ツアー屈指のショット精度と安定感で実績を積み重ねる。花王所属。


ネリー・コルダ
●1998年生まれ、アメリカ出身。177cm。世界屈指の飛距離と高精度のアイアンショットを兼ね備え、ダイナミックかつ再現性の高いスイングで女子ゴルフ界をけん引。2021年には東京五輪で金メダルを獲得。2026年はメジャー2勝を含むシーズン4勝をあげ、世界ランキング1位に君臨する。


ジーノ・ティティクル
●2003年生まれ、タイ出身。162cm。飛距離・精度・ショートゲーム、どこにもスキがないオールラウンドプレーヤー。2022年にはLPGAツアー新人王に輝き、世界ランキング1位にも輝く。2026年「Honda LPGA Thailand」「Mizuho AmericasOpen」を制するなど、初のメジャー制覇が期待される女子ゴルフ界屈指の実力者。

写真=田辺JJ安啓
※選手の成績やデータは2026年8月15日現在

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