1. トップ
  2. エピソード
  3. 「お父さん、この通帳は何?」実家で口座を整理していたら母も知らない通帳。だが、父が言いにくそうに明かした中身

「お父さん、この通帳は何?」実家で口座を整理していたら母も知らない通帳。だが、父が言いにくそうに明かした中身

  • 2026.10.24

実家の座卓に広げた通帳

数年前から、私は実家の両親と、これからのお金のことを話し合うようになりました。

以前は両親とも「まだ大丈夫だから」と、貯えについてあまり話したがりませんでした。

けれど、今後の介護や医療のことを考え、少しずつ口座を整理しておこうという話になったのです。

その日、私は昼過ぎに実家を訪ねました。居間の座卓には、両親の通帳や書類が並んでいます。

父と母が並んで座り、私は向かい側で一冊ずつ確認していきました。

「これが年金の口座でしょ。こっちは電気代とかの引き落としね」

母の説明を聞きながら、使っていない口座には付せんを貼っていきます。

思った以上に時間がかかり、気づけば外は真っ暗になっていました。

「もうちょっとだね。今日中に終わらせようか」

そう言うと、父は湯のみを持ったまま「そうだな」とうなずきました。

母も知らなかった父名義の通帳

最後に残った書類の束を確認していたときのことです。

古い保険の案内と家電の保証書の間から、見覚えのない通帳が一冊出てきました。

表紙には父の名前があります。

「あれ?お父さん、この通帳は何?」

私が差し出すと、母も不思議そうにのぞき込みました。

「えっ、何それ。私、そんなの知らないわよ」

父を見ると、なぜか目をそらしています。

「お父さん?」

「いや、それは…」

いつもならすぐに答える父が、珍しく口ごもっていました。

母も黙って父の返事を待っています。

まさか、母に内緒で何かしていたのでしょうか。そんな考えが頭をよぎり、私まで緊張してきました。

「怒らないからさ。何の通帳か教えてよ」

すると父は、少し困ったように笑いながら通帳を受け取りました。

「いや、別に大したもんじゃないんだけどな…」

そう言ってページを開き、残高の欄を指さします。

私と母が顔を近づけると、そこに記されていたのは、たった数百円でした。

「……えっ、これだけ?」

思わず聞き返した私に、父は照れくさそうに笑いました。

「昔のへそくりだよ。もう、成れの果てだけどな」

「へそくり?」

母が目を丸くします。

「若いころに、ちょこちょこ貯めてたんだよ。でも、いつの間にかほとんど使っちゃってさ」

父が頭をかくと、母はとうとう吹き出しました。

「ちょっと、何よそれ!そんなに言いにくそうにするから、何かと思ったじゃない!」

私も、さっきまでの緊張が一気にほどけて笑ってしまいました。

父は少し恥ずかしそうにしながらも、つられて笑っています。

母は目じりをぬぐいながら、その通帳をほかの書類の上に重ねました。

「まあ、これもちゃんと整理しないとね」

「そうだな」

父は小さくうなずきました。

あれほど心配した通帳の正体が、使いかけのへそくりだったとは。

そこから先は、父の昔話を笑いながら聞くような、和やかな雰囲気で整理を終えることができました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ