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【医師が徹底解説!】その動悸、疲れのせいだけじゃない? 動悸の原因とセルフケア

  • 2026.10.23

「何もしていないのに心臓がドキドキする」「仕事中に脈が速くなって不安になる」などのお悩みを抱えていませんか? 動悸は疲れや緊張などをきっかけに起こることもあれば、貧血や甲状腺の病気などが隠れている場合もあります。あんしん漢方所属の医師である木村眞樹子さんに、動悸が起こる原因やいざというときの対処法、日常生活で取り入れたいセルフケアについて伺いました。
|1. そもそも動悸とはどういう状態のこと?
 

 

動悸というと「心拍数が速くなっている状態」をイメージしがちですが、必ずしもそうとは限りません。

動悸は、本来は意識することのない心臓の拍動を「ドキドキする」「ドクンと強く打つ」「脈が飛ぶ感じがする」などと自覚する状態のことを指します。脈のリズムが乱れていたり、心臓の拍動をいつもより強く感じていたりする場合もあります ※1。
|2. 動悸が起こる原因
 

 

動悸を引き起こすきっかけはひとつではありません。日々のストレスや睡眠不足といった生活上の要因だけでなく、カフェインの摂り方や病気などが関係していることもあります。動悸が起こる主な原因をみてみましょう。

| 自律神経の乱れ
自律神経の乱れによって動悸が起こっていることがあります。自律神経は、からだを緊張・興奮状態にする交感神経と、休息状態にする副交感神経の2つからなり、両者がバランスをとりながらからだのさまざまな機能をコントロールしています。

心拍数や血圧なども調整しており、不安や緊張などでストレスを感じると交感神経が刺激され、心拍が速くなったり動悸や息苦しさを感じたりしやすくなります。

仕事が立て込んでいる、睡眠不足が続いているなど、心身が休めていないと自律神経が乱れやすく、動悸も起きやすくなるのです。また、女性ホルモンのバランスが大きく変化する時期には、自律神経が乱れやすく、動悸がみられることもあります。

| カフェインの摂りすぎ
カフェインの摂りすぎも動悸を引き起こす要因のひとつです。コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、適量なら眠気覚ましなどに役立つ一方、摂りすぎると交感神経を刺激して動悸や不眠、不安感などにつながることがあります。

朝にコーヒー、仕事中にカフェラテや緑茶、疲れたときや集中したいときにはエナジードリンクというように、別々の飲み物を飲むことで知らないうちに摂取量が増えていることもあります。

| 病気の影響
動悸の背景には、不整脈や甲状腺機能亢進症、貧血などの病気が隠れている可能性もあります。不整脈では脈が速くなる、遅くなる、飛ぶといった変化を感じる場合があります。

バセドウ病などの甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。動悸に加えて手の震えや汗の増加、暑がり、疲れやすさなどがみられることもあります。また、鉄欠乏性貧血では酸素を運ぶヘモグロビンが不足して動悸や息切れ、めまい、倦怠感などがあらわれます。とくに、女性の場合は月経によって鉄分が失われやすいため注意が必要です。
|3. 動悸が起きた際の対処法
 

 

突然動悸が起きると「早く止めなきゃ」と焦ってしまうかもしれませんが、まずは無理に動き続けないことが大切です。歩いている途中などに動悸が起きた場合は安全な場所で立ち止まり、できれば椅子などに座ってからだを休ませましょう。

緊張して呼吸が浅くなっていると感じる場合は、ベルトや首元など苦しい部分をゆるめ、肩の力を抜きます。鼻から無理なく息を吸い、口からゆっくり吐くことを意識すると、気持ちを落ち着けやすくなります。

動悸を何度も繰り返す、胸の強い痛みや息苦しさ、意識が遠のく感じなどを伴う場合は、セルフケアだけでなんとかしようとせず、医療機関へ相談しましょう。
|4. 動悸を防ぐセルフケア
 

 

動悸の原因となる病気がない場合や生活習慣がきっかけになっている場合は、毎日の過ごし方を見直すことで動悸を感じる機会を減らせる可能性があります。自分の生活に取り入れやすいものから始めてみましょう。

| 十分な休息をとる
睡眠不足や疲労が続いているなら、まずは「休むこと」を意識しましょう。寝る直前まで仕事や家事を続けたり、ベッドに入ってからもスマホでSNSや動画などを眺めて夜更かししたりする習慣が続いていると、からだが刺激を受けてなかなか寝付けなくなります。就寝前にはできるだけリラックスして過ごし、からだを休息モードに切り替えましょう。

平日だけでなく、休日の過ごし方もポイント。予定をぎっしり詰めるのではなく、ときには何もしない時間をつくるのも立派なセルフケアです。疲れている日は家事を少し簡単にするなど、休息を後回しにしない工夫を取り入れましょう。

| カフェインの摂り方を見直す
動悸が気になるときは、カフェインの摂り方を見直すことも効果的です。コーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどにもカフェインが含まれています。「仕事中はいつもコーヒー」と習慣化している場合は、2杯目をデカフェにしたり、夕方以降は麦茶やハーブティーなどノンカフェインの飲み物に替えたりすると続けやすいでしょう。

大切なのは、好きな飲み物を無理にすべて禁止するのではなく、自分にとって動悸が起こりやすい量やタイミングを知ること。動悸の症状と飲んだものを一緒に記録しておくと、見直すポイントがわかりやすくなります。

| リラックスタイムを設ける
自律神経を整えるため、からだを緊張した状態から休息モードへ切り替える時間を意識的につくることも大切です。忙しい日々が続いているときこそ、好きな香りを楽しむ、静かな音楽を聴く、ゆっくり呼吸するなど、自分が「ほっとする」と感じる方法を取り入れてみましょう。

ぬるめのお湯につかるのもおすすめです。40℃程度のお湯に10〜15分程度浸かると、からだを芯から温めるとともにリラックス効果が得られ、寝付きの改善にも役立ちます。ただし、熱すぎるお湯は交感神経を刺激し、心拍や血圧に負担をかけることがあるため注意しましょう。

| 栄養バランスのいい食事を心がける
主食・主菜・副菜を組み合わせ、栄養バランスのいい食事を心がけることも大切です。食事を抜いたり特定の食品だけで済ませたりする日が続くと、必要な栄養素が不足しやすくなります。

特に女性は鉄不足になりやすいため、鉄分を含む食材を積極的に摂りましょう。鉄は赤身肉や魚、レバー、小松菜などに含まれます。肉や魚に含まれるヘム鉄は吸収されやすく、野菜などに含まれる非ヘム鉄も、たんぱく質やビタミンCを含む食品と組み合わせることで吸収されやすくなります。

| 漢方薬を活用する
動悸が気になるときには漢方薬を試すのもひとつの手です。漢方薬は自然由来の生薬を複数組み合わせてつくられており、不調の根本原因にアプローチします。飲むだけでいいため、セルフケアとして続けやすいのも特徴です。

動悸には「水分代謝を整える」「自律神経のバランスを整える」「血流を改善する」などの働きがある漢方薬を選びましょう。

< 動悸におすすめの漢方薬 >
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
体内の水分の偏在や水分代謝を改善して余分な水分の排出を促す漢方薬です。めまいやふらつき、動悸、頭痛などに用いられます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
過敏になった神経の興奮を抑え、自律神経のバランスを整えて、ストレスを和らげる漢方薬です。不安や不眠、イライラなどの神経症、動悸などに用いられます。

漢方薬は体質や症状によって合うものが異なり、自分に合っていないとなかなか効果が実感できないどころか思わぬ副作用が出ることもあります。自分に合う漢方薬を知りたいなら、専門家に相談しましょう。


|5. 動悸に振り回されない毎日のために
動悸の原因はストレスやカフェインなど身近なものから、貧血や不整脈などの病気までさまざまです。動悸が気になるときは休息の確保や食生活の見直しなど、できることから整えてみましょう。

症状を繰り返す場合や、胸痛、息苦しさなどを伴う場合は医療機関へ相談してください。専門家の力も借りながら、動悸に振り回されない毎日を目指しましょう。
<この記事の監修者>
 

 

 医師
木村 眞樹子(きむらまきこ)

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
<参考文献>
※1 社会福祉法人恩賜財団済生会「動悸」

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