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「ちょっと車に上着、取りに行ってくる」会計になると姿を消す義弟。だが、席に戻ったところで待っていた店員の一言

  • 2026.10.23

会計になると席を立つ義弟

2年ほど前まで、私たち親戚8人は、年に何回か少し高めの和食店で食事をしていました。

会計は全員で均等に割ることにしていたのですが、妻の弟には困った癖がありました。

食事が終わり、私が伝票を手に計算を始めると、決まって席を立つのです。

「ちょっとお手洗いに行ってくる」

そして戻ってくるのは、いつも支払いがすっかり終わったころ。

座布団に腰を下ろすと、満足そうにお腹をさすりながら言います。

「ごちそうさま!いくら払えばいい?」

そう言いながら、財布を出す様子はありません。

私たちも場の空気を悪くしたくなくて、つい答えてしまっていました。

「今回はもう、まとめて払っておいたから」

「あ、そう?悪いね。じゃあ次は俺が出すよ」

結局、義弟の分は残りの7人で負担することになります。

しかも、その「次」が来たことは一度もありません。しまいには、席を立つ前に高いお酒まで追加で頼むようになりました。

同じことが5回以上も続くと、さすがに私たちも嫌な気持ちになります。

帰りの車では、妻がため息をつきながらこぼしました。

「もう、あの食事会に行くのがしんどいよ…」

私も同じ気持ちでした。ただ、親戚同士でお金のことで揉めるのも避けたかったのです。

義弟が戻ったところで差し出された伝票

次の食事会を前に、私はほかの親戚たちと相談しました。

そして予約の電話で、店にお願いしたのです。

「すみません。今回は一人ずつ、別々に会計してもらえますか」

当日、料理が終わりに近づいたころ、店員の女性が個室に入ってきて、一人ずつの伝票を配り始めました。

すると義弟は、その途中で座布団から腰を浮かせました。

「ちょっと車に上着、取りに行ってくる」

自分の伝票を受け取らないまま、襖の向こうへ出ていきます。

店員の女性は義弟の分の伝票を手に、入口のそばに控えていました。

しばらくして、上着を腕にかけた義弟が戻ってきました。

そのときです。店員の女性が、義弟に伝票を一枚、両手で差し出しました。

「お客様の分はこちらです」

「えっ……?」

義弟は立ち止まり、伝票と親戚たちの顔を交互に見ました。

ほかの7人は、それぞれ自分の伝票を手にしています。

「あ、いや……いつも、みんなでまとめて払ってるんじゃ……」

すると店員の女性が、穏やかな声で答えました。

「本日は、お一人ずつのお会計で伺っています」

義弟は何か言いかけましたが、結局それ以上は何も言いませんでした。

顔を赤くしながら、ズボンのポケットから財布を取り出し、自分の分を払ったのです。

店を出たあと、妻の妹の夫が私の隣に並び、小さく笑いました。

「最初から、こうすればよかったね」

「本当にね」

思わず私も笑ってしまいました。

それ以来、食事会は毎回一人ずつの会計になりました。

店員が伝票を配り始めても、義弟が席を立つことはもうありません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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